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「ワーママ」よ、死語になれ⁉

「ワーママ」よ、死語になれ⁉


最近、ワーキングマザー向けイベントで登壇させていただくことも多く、こちらのDRESS「女の内閣」でも「ワーママ担当相」なるものを仰せつかっておいてナンですが、「ワーママ」という言葉なんぞ、早く死語になればいいと思っています。

女性を子供がいるかどうかで分断し、さらに働いているかどうかでカテゴライズする「ワーママ」。最近こそ「ワーキングペアレンツ向け……」という表現も増えていますが「ワーパパ」とは言わないのに、女性だけこのように区別されて呼ばれる事態は本音でいえば早く終わってほしいです。

女性にとって仕事と家庭がトレードオフになる社会だから「女性の選択」で分断されるのではないでしょうか。本当は、トレードオフにならない中で、仕事で人生を輝かせる人も、家庭を存分に充実させる人も、両方選べる人もいたらいい。私はその日が来るまでしばらく、両方を選びとろうとしている「ワーママ」が直面する課題とその改善案を中心に発信ができたらと思っています。


社会起業家の方とお話すると、「自分たちがいなくなっても構わないという状態になることが理想」とおっしゃるケースが決して少数ではなく、そのような発言に共感します。私は女性活用ジャーナリストを名乗っていますし、「ワーママ」が死語になったらまず食っていけなくなるのはお前だろうと思われそうですが、女性活用やワーママの問題に一生こだわるつもりは全くありません。できれば3年くらいで決着がついてくれないかと思っています。

学生時代から「メインストリームを疑って、そこから零れ落ちる視点を取り上げていきたい」「目の前のおかしいことを1つ1つ解決していくような発信をする」ということをしたいと思ってきました。社会の問題がすべて解決されるということはないでしょうし、何か新しい主流が出てきたら必ず綻びが出てくるでしょうから、それを常に拾っていくような仕事をしたいと思っています。

なので、女性が当たり前に活躍できる社会、「ワーママ」なんてカテゴライズしなくてもいい世界が実現したら、それ以外の問題に早く移りたいです。でも、今そうなっているのは、やはり「ワーママ」特有の課題がそこに存在し、ある程度光を当ててもらう必要があるからでもあります。

『「育休世代」のジレンマ』という本に書いていますが、女性が子供を産むかどうか、働くかどうかなどによってそれぞれジレンマを抱えたりお互いに分断されたりしてしまうのは、女性を取り巻く様々な環境要因のせいだと思います。選ばざるを得ない「選択」によって道は分かれていくものの、根っこは同じ問題だと感じます。とかく何かを諦めざる方向に働きがちな女性への圧力が払しょくされ、すべての人が自由に生き方を選択できる社会が実現しますように。

中野 円佳

女性活用ジャーナリスト/研究者。『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)著者。東京大学教育学部卒業後、日本経済新聞社入社。金融機関を中心とする大企業の財務や経営、厚生労働政策などを担当。14年、育休中に立命館大学大学院先端総...

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