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スキンケアは“装飾”じゃない。アトピーに悩んだ私が、究極のシンプルケアにたどり着くまで

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子どもの頃からアトピー性皮膚炎に悩まされたマドカ・ジャスミンさん。皮膚科を渡り歩き、高級な基礎化粧品を試し、さまざまな葛藤の末にたどり着いた、究極の「シンプルケア」とは。

スキンケアは“装飾”じゃない。アトピーに悩んだ私が、究極のシンプルケアにたどり着くまで

浴室に持ち込んだのは、皮膚科処方のチューブ状保湿クリームと白ワセリンがたっぷり入った大きめの容器。

髪を洗った後、無添加石鹸のボディソープで顔を洗い、そのまま身体全体に泡を行き渡らせていく。「洗う」というより「滑らせた」だけの泡をザーッとシャワーで流す。そして、濡れたままの顔と首に保湿クリームを塗り、そこから下へ手のひらで温めて伸ばした白ワセリンをこれでもかと塗る。気分は、たっぷりのバターを塗られたトーストのよう。

驚かれるかもしれないが、私のナイトスキンケアはこれで終わりだ。

「え? 化粧水は? 美容液は?」「ボディクリームも塗らないの!?」。美容に精通している人たちが、軒並み揃って半ば呆れるかのように驚いている表情が脳裏に浮かぶ。実際、端から見れば超絶ズボラスキンケアを友人に話すと、人によっては乾いた笑みを浮かべ、また別の人は心配そうな視線を送ってくる。

別に基礎化粧品を一式揃える経済力がないだとか、スキンケアに興味がないというわけではない。何なら、スキンケアデビューは小学生の頃まで遡るぐらいだ。肌と向き合い、今年で早18年。時の流れの早さに恐れ慄くと同時に、人生で一番目に見えて効果のあるスキンケアと出会うまで10年以上の時間を要したことに涙が出そうになった。

■アトピー性皮膚炎と闘い続けた人生

そもそも、私にとってのスキンケアは、「“女子力”の底上げ」や「モテたい」が理由ではなく、むしろ楽しくもない背負った宿命に対する反抗というニュアンスが近い。何を隠そう、私は物心つく前からアトピー性皮膚炎を患っていて、今でも皮膚科で処方された前述の保湿クリームやステロイド軟膏、抗ヒスタミン剤とは切っても切れない絆で結ばれている。逆に言うと、保湿とアレルギー反応への対処さえしっかりと行えば、別に付き合いづらくもない。

歳は重ねているも肌の調子は年々良くなっているぐらいだ。極めつけは季節問わずの日焼け止めの使用。アメリカの皮膚科学会の発表によると、スキンケア=保湿とUVケアで事足りるらしく、その検証結果を身を以って証明しているとも言えてしまうかもしれない。

ではなぜ、現状に辿り着くまでに10年以上の時間を要したのか。

私の母親は、アトピー性皮膚炎である私を非常に気遣っていた、いや、気遣いすぎていた。

部屋やシーツ類が常に清潔なのは当たり前。ありとあらゆる洗剤類(身体や服、その他すべて)を無添加石鹸や自然由来のものにし、カップ麺やレトルト食品もほとんど出さず、何もかもが手作り。クロレラのサプリメントを摂取させられ、果物に野菜をこれでもかと食べさせられる。塗られていた保湿剤も天然素材の高級品。
このまま成長すれば、今以上に綺麗な肌をしていたのだろうが現実は非情だ。小学3年生の終わりに親が離婚し、父親を選んだ私。待っていたのは今までのアトピー性皮膚炎対策生活とは真逆のものだった。

ストレスと添加物とハウスダストに塗れた生活の始まりが、ちょうど第二次性徴期の始まりと被ったことで、私の肌はまるでジェットコースターのように短期間で絶好調と絶不調を繰り返し続けた(当時は、粉末状スープを飲むと蕁麻疹が出た)。

幸い父親がドラッグストアやスーパーで基礎化粧品を買ってくれて、それを用いてスキンケアをするも、母親に塗られていた1本1万円超えの保湿剤にはまったくもってかなわない。配合されていたアルコールで肌がかぶれたり、保湿力を謳われているアイテムを使うも乾燥しすぎて粉が吹いて目頭や口周りが赤ギレを起こしたり、やっと合うと思ったアイテムが次の日には痒さの要因になったり……一言で表せば、まさに地獄。

高校生からは「スキンケアだけではどうにもならない!」と皮膚科に通うようになったが、これもまた地続きの地獄でしかなかった。強すぎる薬を処方されることなんてザラ。医者によっては、生活リズムの説教が始まる。私は悪いことをしていないのに、ただただ普通の肌に、日によってコンディションの差が激しくない肌になりたかっただけなのに……。

■「人より良いアイテムを使い、丹念にスキンケアをする自分」を手放して

そんな皮膚科ジプシーを繰り返し、今はようやく相性抜群のクリニックと出会え、肌のコンディションも非常に安定している。そのクリニックは以前の勤務地に近く、たまたま駆け込んだことをきっかけに通院を始めた。美容皮膚科も兼ねていて、女性医師が診察してくれるので、女性ならではの肌トラブルにも親身に話を聞いてくれるのが心強い。処方薬のバランスも良く、何かない限りはずっとこのクリニックにお世話になろうと心に誓っているほどだ。

とはいえ、最近までは化粧水やらパック、ブースター、美容液、乳液などをたんまりと使っていたし、それらを使っている自分に心酔していた節も否定できない。

人よりも丹念にスキンケアをしている自分。人よりも良いアイテムを使っている自分。自分自身の肌と紆余曲折ありながらも向き合ってきたのに、辿り着いた先で行ったのは他者ありきの自己肯定。自分じゃなくて、他人がどう思うか。どう思われるか。そればかりに固執し、時に息苦しくもなったけれど、最終的にはすべてが面倒くさくなった。

ポイントメイクはリムーバーで落とすも、メイククレンジングはせずに無添加石鹸で二度洗い。しっかり洗い、しっかり保湿する。外出時はしっかりUVケア。これで十分なのだと心から納得した瞬間、人生24年目にしてスキンケアを楽しむ余力が生まれたのだった。

「何を使っているから」「誰と比べて良いアイテムを使っているから」そんな感情で自分を縛る必要がなくなり、メディアに載っている情報に踊らされることもなくなり、スキンケアに対する執着が消えて気づく。私は今まで、スキンケアを“手入れ”ではなく、“装飾”として捉えていたのだと。いくら装飾ばかりを施したところで、土台の手入れが行き届いていないのなら、短期的には美しく見せられても長期的には何も意味がない。

元々、ケチな性分でなるべく固定費は下げたいタイプ。なおかつ、大して効果があるのかわからないような高価なアイテムを使って承認欲求を満たすぐらいなら、安価でもいいから自己満足に浸りたい。価値観の大きな変化だった。

■スキンケアはライフケア

でも、スキンケアは肌だけケアすればいいわけじゃない。
生活……つまりは食事や睡眠、ストレスの有無(加減)がダイレクトに現れる部分が肌なのだ。スキンケアはライフケア、と言っても過言ではないだろう。

腸内環境も肌に影響すると知り、ここ2年ほどは積極的に発酵食品や食物繊維を摂取している。でも、決してそればかりを食べることはしない。肉、魚、野菜、果物などをバランス良く食べる。女性が避けがちな糖質や脂質も、適量は美肌に必要不可欠。お酒も飲み過ぎない。アルコールの摂取量が増えれば、乾燥肌や炎症などの肌トラブルの原因となるからだ。

有名ブランドの基礎化粧品、香り高い洗顔料やボディソープ、美白効果を謳うボディクリーム。日々、世に出ていく“スキンケア”アイテムの数々。

それらを使う前にまず行うべきは、当たり前とされている価値観に疑問を抱き、調べに調べ、時にプロの力も借り、本来自分が必要なケアを知ること。そして、今の生活を見直すことではないだろうか。

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マドカ・ジャスミン

持ち前の行動力と経験を武器にしたエヴァンジェリストとして注目を浴びる。また性についてもオープンに語る姿が支持を集め、自身も性感染症防止の啓蒙活動を行う。 近年では2018年に著書「Who am I?」を刊行。テレビ番組や雑誌...

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