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自傷行為をやめたら、「さみしさ」がオマケに付いてきた。まんきつ×青木真也 2/2


■無敵な時代は自傷行為を繰り返していた

青木:ちなみに格闘家って、最終的に自死を選ぶ人がいるんですけど、それもちょっとわかるんですよね。自傷行為を繰り返していくうちに、行き着く先としてそこがある。

僕の場合は、自分がすでにおじさんで右肩下がりであることを受け入れた上で、執筆活動をや講演をしてみたり、別のフィールドを持てたことがよかった。結果、ただ目の前の敵を倒すことだけに考えをシフトできた。そういう意味では、格闘技だけやっている人ってどうしても視野が狭くなってしまうところはあります。結果的に弱くなったり自死に走ったりする人もいる。

青木さん「“格闘技だけ”になると、結果的に弱くなってしまう」

まんきつ:私も漫画だけで生きるのは辛くて、いろんな場所に出歩いていた方が漫画が描けていました。ただ、30代の頃とか、本当に無鉄砲だったんですよね。売られた喧嘩は相手を刺し違えてでも勝ちにいこうとしていたし、精神状態がむちゃくちゃで血気盛んでした。

若い頃はとにかく、自分のことを無敵だと信じていた。でも、いま冷静に振り返ると、心のどこかでは傷ついていたのかもしれない、とも思う。さみしくなかったんじゃなくて、脇目を振らずに生きていくことで孤独やさみしさを誤魔化していたというか。20代、30代は、自傷行為を繰り返していたおかげでさみしさと向き合わずに済んだんですね。

ただ、じゃあ昔に戻れと言われても、冷静になってしまった今はもう、しんどいから嫌だなあ……。

青木:その気持ちもわかります。僕も昔を振り返ると、もっとしんどいトレーニングを繰り返していたんですよ。そのときに比べたら、いまはずっと自分のことを甘やかしている。当時にはもう戻りたくはない。というか、戻れる気がしないな。

――おふたりともしんどい自傷行為を繰り返してきたけど、歳を重ねるにつれて自分を甘やかす術を覚えてきたというか。

まんきつ:そうそう。そしたら、さみしさが付録としてついてきちゃった!

――でもそう聞くと、さみしさは必ずしもネガティブなものではない気がします。

まんきつ:そう、今は犬もいるしね(笑)。これからまた何年か経ったら、さみしさとの向き合い方も変わってきているかもしれない。また自傷行為に戻っているのかも。

青木:さみしさって若さの特権かと思っていたけど、そんなことは全くなかったですね。大人になればなるほど、悩みって尽きない。

まんきつ:今はきっと自分を甘やかす時期なんですよ。さみしさの捉え方はこれからまた変わるかもしれないけど、「今はそういう時期」でいいんじゃないかな。

(※)ブラジルの格闘家

Photo/阿部萌子(@moeko145

園田 もなか

記事を書く仕事をしています。ハリネズミのおはぎとロップイヤーのもなかと暮らしている。Twitter:@osono__na7

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