マギーズ・ハウスとは? がん患者がリラックスできる場所を有名建築家がデザイン
イギリスで生まれ、香港にも開設されている、チャリティ団体が運営するマギーズ・センターはがん患者とその家族・友人のために様々な支援とサービスを提供しています。2016年秋に日本でもマギーズ東京が開設されました。※こちらの記事は2015年に書かれたものです。
フランク・ゲーリー、ポール・スミスなど、著名な建築家やデザイナーがデザインする家。その目的は?
いきなり、おしゃれなお家の写真を紹介しましたが、
さてこれは、どなたのお宅でしょう?
なんと、これは個人のお宅ではなく、イギリスの国営病院に隣接する、がん患者のためのサポートハウスなのです!
マギーズセンターは様々な支援を行い、静かに過ごせる場所
「マギーズ・キャンサー・ケアリング・トラストMaggie Keswick Jencks Cancer Caring Trust) 通称Maggie‘s(マギーズ)」というチャリティ団体が運営するハウスでは、食事・運動のアドバイス、専門家による心のケアなど、がん患者本人、その家族や友人のために、様々な支援・サービスを提供しています。
他のがん患者たちと交流し情報交換ができる居心地の良い空間、自分を取り戻すためにお茶を飲みながら静かに過ごせる場となっています。仕事や子育て、助成金や医療制度の活用についてなど、生活面のことも全て無料で相談が受けられるそうです。
1996年にエディンバラに最初のセンターが誕生してから現在にいたるまで、英国に15か所、香港に1か所のセンターが造られ、さらに、英国内に11か所、英国外に東京を含めて7か所が開設に向けての準備中です。
冒頭で紹介したハウスは、2011年に完成した地方都市ノッティンガムのマギーズ・センター。
建築家ピアーズ・ゴフ(Piers Gough)の設計、ファッションデザイナーのポール・スミス(Sir Paul Smith) がインテリア・デザインを担当したそうです。
(気持が明るくなる、リラックスできる空間ですね!)
こちらは建築家ピアーズ・ゴフとポール・スミスがこのハウスについて 語っている動画です。
病気と向き合える最善の方法を。創始者の想い
マギー・センターの創設者は、マギー・K・ジェンクス(Maggie Keswick Jencks)という、中国の庭園に造形の深い造園史家であり、ガーデン・デザイナーとして活躍していた女性です。乳がんが再発し、がんと向き合いながらも、夫や家族に支えられながら、最後の時を楽しく過ごし、1995年に53歳で亡くなりました。
彼女は、「余命数ヶ月」と医師に告げられた時、がん患者にとって一番必要なことである時間、友情、情報、心のサポート、そして、病院では受けることはできない、病気と向き合える最善の方法を提供する“がんサポート・センター”を創りたい、と闘病中に(そして死ぬ直前まで)青写真を描いていました。
その意思を遺された夫や看護を担当していたローラ・リー(Laura Lee、現在マギーズ・センターのCEO)が受け継ぎ、マギーが旅立った翌年の1996年にエディンバラに最初のマギーズ・センターを誕生させました。
夫のチャールズ・ジェンクス氏はアメリカの著名な建築評論家、ランドスケープデザイナーなので、どのマギーズ・センターも建築が素晴らしいのです!
フランク・ゲーリー(Frank Gehry、ティファニーのジュエリーデザインも手掛けてましたね)や リチャード・ロジャース(Richard Rogers、パリのポンピドュー・センターの建築でも有名)など、大御所建築家たちがセンターのデザインをしています。
日本の建築家、黒川紀章さんも2007年に亡くなられる直前にセンターのスケッチ・デザインをしていました。それが、13番目に作られたSouth West Walesのマギーズ・センターです。
デザインと建築がマギーズセンターの力に
私も“がん”サバイバーとして、以前より関心を持っていたマギーズ・センター。日本にも、このようなポジティブにがんと向き合える場が絶対必要。なにかできないかな〜と思っていました。
そんな中、去年*、東京でもマギーズ・センターを建設しようと「NPO法人マギーズ東京」がプロジェクトをスタートさせました! クラウド・ファンディング等で1500人を超える人たちから寄付が集まったそうです。(すごい!)
*2015年5月現在
「マギーズ東京」の一日も早い完成が楽しみです。マギーズ・センターが日本各地にできるよう、私もぜひ応援したいと思っています! そして、たくさんの日本を代表する建築家の方々に関わってほしいと願っています。(なぜなら、そのデザインの力が、マギーズ・センターを加速的に日本で広めることができる可能性の鍵を握っていると思うので………。)