結婚したら考えたい“保険”のキホン【おんなのマネー道#3】
同棲、結婚、独立、出産……。仕事でもプライベートでも、女性の人生にはさまざまなライフイベントが待ち受けています。人生の節目にまず考えたいのは、お金のこと。「こんなとき、どんな制度が使えるの?」「老後に向けたお金の使い方もきちんと考えたい」という女性の皆さんに、フィナンシャルプランナーの荒木千秋さんがアドバイスします。
人生の一大イベントである「結婚」。
好きな人とずっと一緒にいられる! という幸せに浸るのももちろん大事ですが、家族として一緒に生活をしていくという現実的なこともきちんと考えなければいけません。
その中でも特に大事なのが“保険”のこと。
考えたくもないですが、自分や相手にもしものことがあったら……と想定し、将来の備えをする必要があります。
ただ、保険をはじめとする金融商品には聞き慣れない用語も多く、「仕組みを理解するのが難しい」「何を基準に選べばいいかわからない」という声も……。
まずは 「保険料の支払いタイプ」「保険の種類」を押さえておけば大丈夫。
結婚したら知っておきたい、保険のキホンを確認しておきましょう!
■掛け捨て型と貯蓄型
最初に押さえておきたいポイントは、保険料の支払いタイプ。
保険料には、一度支払うと戻ってこない掛け捨て型と、保険料を積み立てていく貯蓄型(積立型)の保険があります。
……と言われると、「お金が戻ってくる貯蓄型のほうがいいな」と感じるかもしれません。
それでは、質問です。
掛け捨て型と貯蓄型、同じ保障内容の保険があった場合、どちらの保険料が安いと思いますか?
答えは「掛け捨て型の方が安い」です。
「掛け捨て」と聞くともったいない感じがしてしまいますが、支払総額で考えると、掛け捨て型の方が割安な保険料で加入することができるのです。
自分たちの年齢や体質なども踏まえて検討してみましょう。
■結婚したら押さえておくべきふたつの保険
保険の目的には、「病気に備える」「死亡に備える」「長生きに備える」などがあります。
中でも、結婚したときにまず押さえておきたいのは、病気と死亡の備えです。
■医療保険
医療保険は主に病気に備えた保険です。
入院や手術をしたときに、保険金を受け取ることができます。
医療保険を検討する前に、国の制度で賄える部分も知っておきましょう。
前提として、入院や手術の費用は全額自己負担ではありません。
もちろん健康保険の対象外の治療もありますが、一般的な健康保険の対象になる治療の場合は、私たちの負担は医療費の3割。
さらに「高額療養費制度」という仕組みがあり、医療費が1カ月の一定の金額(※)を超えてしまった場合、超えた分のお金が戻ってきます。
(※)所得に応じて決まる
万一の入院や手術に備えて加入する医療保険ですが、残念ながら、“いつ・いくら”の入院費や手術費がかかるかはわかりません。
「不安だしとりあえず保険に入っておこう」ではなく、医療保険に加入する前に国や会社の制度を調べ、ふたりで話し合って決めていくことが大切です。
■死亡保険
死亡保険に加入すると、契約の対象者(被保険者)が亡くなったときに保険金を受け取ることができます。
ここでも最初に、国の制度で賄えるポイントをチェックしましょう。
まず、国の年金制度に加入していれば、世帯主に万一のことがあったときに「遺族年金」を受け取ることができます。
遺族年金も老後にもらえる年金制度と同様、自営業者などの第1号被保険者と、公務員・会社員などの第2号被保険者によって受け取れる年金の種類が異なります。
家族構成や配偶者の年齢、加入年金の種類、納付要件に応じて、受け取れる遺族年金は違うので、自分の場合を確認しておくと安心です。
この制度を利用すれば、世帯主が死亡したあとの生活は、死亡保険だけに頼る必要はありません。
遺族年金では賄いきれない不足分を死亡保険として備えておきましょう。
死亡保険を考えるときのポイントは、「自分たちがどんなライフプランを想定しているのか」をきちんと話し合うことです。
夫婦ふたりの場合と子どもがいる場合では、生涯に必要な生活費の金額もずいぶん違います。
夫婦だけなら、手厚い死亡保障が必要ではないかもしれません。
一方で、子どもがいれば、子どもにかかる教育費や、親やベビーシッターなど外部の人に協力してもらうためのお金が必要になる可能性も……。
始めのうちは最小限に考え、家族が増えたら見直すなどライフステージに合わせて考えていきましょう。
■ふたりで、ゆっくり話し合おう
幸せいっぱいのときに、“もしものこと”なんてできれば考えたくありません。
でも、ライフプランを考えるにあたって、健康や保険の話は避けては通れない大事なポイントです。
結婚したら、
「万一のことがあった場合、どの程度の金額を受け取ることができれば安心か」
「お互いが、これからのライフプランをどう考えているか」
をじっくり話し合って、自分たちに合う保険を検討してくださいね!