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相撲にかけるお金は、私の人生の必要経費

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31歳の冬に相撲の面白さに出会ってから1年2カ月が経ちました。大相撲本場所の生観戦はもちろん、応援する力士が所属する相撲部屋の後援会に入会したり、地方場所へ遠征したり。相撲にかけるお金は「気にならない」。そんな32歳が相撲を見ることで得たものとは。

相撲にかけるお金は、私の人生の必要経費

カッコよくて、かわいくて、粋。面白いし、見れば見るほど、知れば知るほど、ますます楽しくなる。そして、応援する人がいる生活は幸せ――。相撲という競技が私にそれを教えてくれました。

相撲を見るようになったのは、知り合いの女性編集者から『相撲めし』(著 琴剣、扶桑社)という本をいただいたのがきっかけです。

【関連記事】食通なお相撲さんたちの“お気に”を集めた『相撲めし』が食べ歩きに使える!

彼女が担当編集者として携わったこの本は、力士が体を大きくしてきた食事や力士行きつけの店、相撲部屋の「ちゃんこ」の一例など、相撲×グルメという切り口でまとめられていました。

食べることが大好き、プロレスなど強靭な肉体を持つ人がぶつかり合う競技が好きなので、あっという間に一気読み。その後、ふと気づくのです。「相撲をじっくり見たことがなかった」と。

90年代半ばの「若貴ブーム」のころ、小学校中学年でした。NHKのニュースで大相撲のダイジェストが流れるのを見て、元横綱 貴乃花(元 貴乃花親方)を「すっとしていて、カッコいい人だな」と感じた記憶があります。

高校生のころは、「角界のベッカム」と呼ばれた元大関 琴欧洲(現 鳴戸親方)を「端正な顔立ちで素敵」と認識していたのも覚えています。

その後は元横綱 朝青龍、史上最多となる41回の幕内優勝をはじめとする、歴史に刻まれる記録を重ね続けてきた白鵬関など、横綱として名を馳せた力士の名前を知っているくらいで、相撲とは無縁の生活を30年以上送っていました。

■「一回は大相撲を見てみたい」からのドハマり

2018年一月場所を見るのに備えて、最初に買い求めた書籍たち

そんなこともあって『相撲めし』を読んだ後、「人生で一回は大相撲本場所(1年に6回、各15日間の日程で開催される。相撲界のメインイベント)を見てみたい」と思い、2018年の一月場所を見始めたのです。

相撲の知識がゼロの状態だったので、相撲のルールや伝統などを収録した『大相撲手帳』や相撲協会に所属する全力士約700人が掲載された『大相撲力士名鑑』などを購入。

それらを手元に置いて、「この力士はどんな人だろう?」と思ったときや、調べたいことが発生したりしたときに都度参照しながら、Abema TVの大相撲中継、取り組み結果を中心に短く伝えるダイジェストをできる限り見ていました。

チケットを取って会場へ行かなかったの? と思う方もいるかもしれませんが、本場所のチケットは人気で今、なかなか確保しづらい状態です。

初めて力士を生で見たのは2018年4月の巡業。花道横の席だったので、こんなに近い

本場所が開催される約2カ月前からチケット争奪戦が始まるほど。三月場所は大阪で開催されることもあり、初めて生で力士を見たのは2018年春の「草加巡業」で、初めて見にいった本場所は2018年の五月場所でした。

■推しが所属する部屋の後援会員に

家にある相撲関連書籍の一部

相撲ビギナー向けにゆるめな解説をしてくれるAbema TVとそこで足りない情報を補うための名鑑、相撲雑誌、相撲ブログなどから知識を得るうちに、相撲の見方が変わっていきます。

「この力士が気になる。戦い方が好み。もっと強くなって、上にいくからこれからも注目したいし、応援したい」と思える、“推し力士”が出てきました。力士の成績(勝ち、負け、休場)や抱える怪我の有無、得意技、土俵上での振る舞いなど、それぞれの細かい情報にふれるにつれ、自分の感情を揺さぶる特定の力士が現れるのです。

たとえば、推し力士のひとりは、一度関取(十両という地位以上の力士。十両以上にならないと給料がもらえず、一人前とみなされない)になったものの、股関節を負傷する大怪我に見舞われ、大手術・過酷なリハビリの末に休場を繰り返し、どんどん地位を落として、4年ほど下の方の地位で戦うという、苦しい日々を送っていました。

それでも、稽古熱心・真面目な性格で知られる彼は、決して腐ることなく、再び上位の地位に戻ることを目指して、稽古を続けた結果、関取の地位を取り戻し、今も活躍しています。長い手足を活かし、真っ直ぐ前に出る、駆け引きのない潔い相撲をとる彼を「素敵な力士だな」と感じ、応援したい一心から後援会に入会することに。

後援会とはファンクラブのようなもので、年会費を一口数千〜数万円収めて、後援会員になることで、本場所前に力士が地位順に並んだ「番付表」が手元に届いたり、千秋楽祝賀会や年末の相撲部屋での餅つき会への参加資格が得られたり、応援する力士が所属する相撲部屋とつながりを持つことができます。

2018年、ふたつの相撲部屋の後援会会員となり、各3万円の年会費を収めました。もうひとり、彼と同じように、特に力を入れて応援したい推し力士がいたからです。今となっては、2部屋同時に入会するのはいかがなものかと思いますが、どちらにも応援したい力士がいたこと、相撲部屋の各種イベントに行ってみたかったことから、ひとつに絞りきれなかったのです。

■博多、名古屋……地方遠征にも

福岡国際センターで開催される十一月場所。11時前後には会場入りして、地位が下の力士の取り組みから観戦する

初めて見にいった2018年五月場所に話を戻します。

その会場で、推し力士へ目いっぱいの声援を送る最中に心が満たされること、取り組み内容にドキドキ・ハラハラさせられること、勝負師としての表情や振る舞いを近くで見られることなど、大相撲を生観戦する醍醐味を知ることになります。

さらに、大相撲を象徴する「満員御礼」の垂れ幕が下がる土俵の吊り屋根や、関取たちが土俵入りの際に身に着ける美しい化粧廻し、彼らが本場所中に結う大銀杏(おおいちょう。関取だけが結うことができ、銀杏の形に見えることからそう呼ばれる)のカッコよさ、鬢付け油(びんつけあぶら)のうっとりするような香り、力士に漂う神秘性……大相撲特有の様式美にも魅了されるようになったのでした。

東京での本場所開催は1月と5月と9月のみ。3月と7月と11月は地方場所での開催です。でも、できるだけ生観戦したい。非日常ともいえる場所で、思いっきり興奮したい。

そう思い、五月場所が終わると、名古屋で開催される七月場所、博多で開催される十一月場所と、私は「遠征」をするようになりました。

旅費交通費3〜4万円、観戦チケット約8000円〜1万5000円(席種によって異なる)と、一度の遠征に5万円前後はかかっても、自分の心を潤す「生活をより楽しくするための投資」だと捉えているので、これからも相撲を好きでいる間は、遠征を楽しむだろうと思います。

■相撲にかけるお金は人生の必要経費

東京での本場所(両国国技館)は着物で行くように。和な空間に合わせた格好で臨みたい気分

2018年1月から相撲にハマって1年2カ月。今までどれくらい相撲にお金を使ったのか、意識せずに過ごしてきました。この記事を書くにあたって振り返るべく、算出できる出費を見直して計算してみました。

後援会会費や千秋楽祝賀会参加費、相撲に関する書籍や雑誌、観戦チケット、本場所で買う土産、遠征費など、把握できる限りでは35万円ちょい。月にならすと25000円くらいでしょうか。

2カ月に一度の本場所15日間は当然のことながらワクワクしっぱなしで、それ以外の日々も相撲とゆるく接しているおかげで楽しく過ごせています。推し力士のメディア情報やSNSなどをチェックしては「カッコいい」「かわいい」と癒やされることも。そう考えると相撲にかけているお金は高いとか安いとかいう概念がない、人生における必要経費なのかなあと思います。

ここ数カ月の間に、相撲好きな人たちや相撲界の人たち、元力士などとのつながりもできました。そこで好きな関取、若い世代の注目力士、出世しそうな力士、各相撲部屋の話など、いろいろと情報交換をしたり、知らないことを教えてもらったりと、交友関係も広がりました。共通の好きなモノを通じて親しくなった人たちとの交流も財産です。

日々の生活を彩り、より面白くしてくれた相撲を好きでいる限り、できるだけ生観戦をしに行くし、推し力士はもちろん、推し力士が所属する相撲部屋を応援し続けるつもりです。今後大相撲をもっと楽しくしてくれるであろう若い力士たちにも注目し、なんらかの形で応援していきたいと思っています。

Text/池田園子

2月特集「身を焦がす偏愛」

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池田 園子

DRESS編集長。

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