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世界的パティシエ・辻口博啓氏の創作の過程を描くドキュメンタリー映画『LE CHOCOLAT DE H』

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フランス・パリで毎年開催される、世界最大のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」において5年連続で最高評価を獲得した辻口博啓氏。2018年の品評会に向けた新作ショコラの素材探しから完成まで、日本が誇る天才パティシエの創作の過程に密着したドキュメンタリー『LE CHOCOLAT DE H』が公開されます。

世界的パティシエ・辻口博啓氏の創作の過程を描くドキュメンタリー映画『LE CHOCOLAT DE H』

◼︎世界的ショコラティエ・辻口博啓氏の飽くなき挑戦

DRESS読者のみなさん、 あけましておめでとうございます!

新年1作目にご紹介したいのは、世界的パティシエ・辻口博啓氏のドキュメンタリー『LE CHOCOLAT DE H(ルショコラドゥアッシュ)』です。

フランス・パリで開催される世界最大のチョコレートの祭典『サロン・デュ・ショコラ』の品評会において、5年連続で最高評価の『ゴールドタブレット』を受賞。昨年は『外国人部門最優秀賞』の栄冠にも輝いた、辻口氏。
      
そんな彼が今目指しているのは、日本の食文化である「発酵」と、世界のカカオの「発酵」のマリアージュ。本作は、エクアドルでのカカオ探求からはじまり、日本の発酵技術をテーマにした辻口氏の素材探しの旅に密着します。

物語のクライマックスは、2018年のサロン・デュ・ショコラ。渾身の新作チョコレートは、果たしてどのような評価を受けるのでしょうか?

◼︎パティシェ・辻口博啓のプロフィール

石川県七尾市内の有名和菓子店『紅屋』の3代目の跡取り息子として生まれた辻口博啓氏。

和菓子店の跡取りとして生まれた彼が、パティシエへの道を選んだきっかけは、小学3年生のとき、友達の誕生日会で生まれて初めて食べたバースデーケーキでした。

そのケーキのあまりの美味しさに「世界一の洋菓子職人になる!」と決めた辻口氏は、高校を卒業すると単身上京し、東京の洋菓子店で住み込み修業をスタート。ところがそんな折、父親が多額の借金を抱え、実家の『紅屋』が倒産してしまいます。「出稼ぎして家族に金を送る」と言って家を出た父が、妻と子供たちを残し、そのまま行方をくらませてしまったのです…。

困り果てた母は辻口氏を呼び戻し、地元のかまぼこ製造会社への就職を懇願しますが、彼は母を説得して再び上京します。

母を安心させたい一心で修業に邁進した辻口氏は、23歳で『全国洋菓子技術コンクール』で最年少優勝。そして29歳のときパティスリーの世界大会といわれる『クープ・ド・モンド』に日本代表として出場し、飴細工部門で史上最年少優勝を果たしたのです。

◼︎「LE CHOCOLAT DE H」のストーリー

素材探しの旅ーーエクアドル・カカオ農園

チョコレート好きな方なら、「Bean to Bar(ビーントゥバー)」という言葉を聞いたことのある方もいるのではないでしょうか?「Bean to Bar」とは、カカオ豆からチョコレートバーになるまで一貫して製造を行うことを指します。

そして今、ショコラ業界の新たな潮流は「Tree to Bar(ツリートゥバー)」。カカオ豆を厳選することだけでなく、良質なカカオ豆の栽培を自らマネージメントすることへと進んでいるのです。

辻口はその先頭を走るサンティアゴ・ペラルタ氏の案内で、カカオを巡る旅へと出発します。南米・赤道直下のエクアドル、エスメラルダスのカカオ農園。そして、ジャングル地帯が大部分を占めるナポ州。カカオが人間にもたらす恩恵とその神秘性に、辻口氏は大きな感銘を受けます。

◼︎素材探しの旅ーー日本

香り豊かなカカオと、日本の食材を掛け合わせ、いかに新しいショコラを作るか――

日本に戻った辻口氏は、「発酵と発酵のマリアージュ」を追求し、和の食材へとたどり着きます。

まず、日本の食卓に欠かすことのできない味噌と、その発酵のもととなる米こうじです。長野県の美麻高原にある味噌蔵では、11年もの長い時間熟成された「究極の味噌」と出会います。

そして、次に出会ったのが米のリキュールでもある「みりん」です。 愛知県碧南市にある角谷文治郎商店の3代目・角谷利夫さんは自然の発酵にゆだねて時間をかけ、米が持つ豊かな甘みを最大限に引き出したみりん作りを行っています。その味はまさに“米のリキュール”。みりんの持つ甘みは、カカオとどうマッチするのでしょうか。

そして最後に出会ったのが「米粉」です。スイーツをひとりでも多くの人に楽しんでほしい。辻口氏のそんな思いに共鳴した老舗の製粉会社・群馬製粉は、およそ10年前に辻口氏とグルテンフリーの米粉を共同開発しました。その米粉を特殊加工して焙煎し、米の持つ香ばしさを100%引き出したスフレは、ショコラと相性抜群です。

◼︎故郷・能登半島への愛

辻口氏が18歳まで過ごした故郷・能登半島に広がる「能登の里山里海」は、2011年に日本で初めて『世界農業遺産』に認定された地。日本の原風景ともいえる美しい風景の中で、自然と調和した 農業や人々の営みが受け継がれています。

故郷をこよなく愛する辻口氏は、能登の「揚浜式塩田」を訪れます。海水を汲み上げ、砂に撒き、集めた砂にさらに海水を注いで塩分濃度を高めた水を作り、大釜で炊いて塩を作るという手間と時間のかかる製法で、国の重要無形民俗文化財に登録された同手法。

こうして作られた塩を、辻口氏は 2018年の新作ショコラに取り入れる決意をします。

■サロン・デュ・ショコラ・パリ

ついに、辻口氏の新作ショコラが誕生します。

新作ショコラのテーマは「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」。谷崎潤一郎の随筆のタイトルであり、陰翳の中にこそ美を見出す、という日本人の美意識を表した言葉です。

そして物語はクライマックスの舞台となる、2018 年のチョコレートの祭典『サロン・デュ・ショコラ・パリ』で表彰されるショコラ品評会へと移ります。

辻口氏渾身の新作チョコレートは、パリのチョコレート愛好家たちから、一体どのような評価を受けるのでしょうか?

現在はモンサンクレール(東京・自由が丘)をはじめ異なるコンセプトを持つ13ブランドを手掛け、総数 700人もの従業員を抱える辻口氏。

実業家としても顔も持ち、パティシエの枠を飛び出したその多彩な活動、そして常に前進し続けるエネルギッシュ な生き様に迫る『LE CHOCOLAT DE H』は、まさに必見のドキュメンタリーです。

◼︎『LE CHOCOLAT DE H』公開情報

『LE CHOCOLAT DE H』
1月18日(金)から石川県のイオンシネマ4館にて先行上映
【石川県】金沢・金沢フォーラス・御経塚・新小松
1月25日(金)から全国のイオンシネマ6館にて上映
【全国】浦和美園・シアタス調布・市川妙典・港北ニュータウン・名古屋茶屋・津
監督:渡邉 崇
出演:辻口博啓、坂井宏行、落合務、片岡護、横山歩ほか
配給:テレビ朝日映像
上映時間:80分
公式サイト:https://chocolat-movie.com/

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古川 ケイ

映画ライター。新作映画情報サイト「木曜日のシネマ」運営。 大学卒業後、インディペンデント系映画配給会社に入社し、映画業界誌の編集・ライター業務に従事したのち、宣伝部にて洋・邦映画作品の宣伝を手がける。その後テーマパーク運営...

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