イギリスのクリスマス~ロンドン通信#04
クリスマスプレゼントにデコレーション、ターキーにシャンパン、クリスマス・ホリデー。クリスマスにイギリス国民が使う金額は、実に20億ポンド(2800億円)! との驚くような数字が出ています。
イギリスでは夏休みからクリスマスプレゼントの用意に取りかかる、用意の良い主婦もいるくらいです。街がクリスマスらしく彩られ、午後4時には暗くなり始めるロンドンも、イルミネーションがきらめくことで、とても美しく見える季節がやってきました。
有名なバースのクリスマス・マーケットも人でごった返しており、皆それぞれにクリスマス・プディングやおもてなしに使うワイン、チーズ、そして気の利いたクリスマス・プレゼントを探すのに余念がありません。
■イギリス人にとって、クリスマスはお正月
こちらに20年以上住んで感じるのは、イギリス人にとってのクリスマスは、日本のお正月みたいだな、ということ。華やかさやパーティーより、家族で集まり、一緒に時間を過ごすことが最も大切とされます。日本で誰もが帰省するように、イギリスでも多くは実家に帰り、一族で過ごす家も多いようです。
特に小さいお子さんがいる場合、おじいちゃん、おばあちゃんやいとこたちと過ごす数日はとても楽しみであり、親にとっても長いクリスマスホリデーに退屈しがちな子どもたちをエンターテインしなくて済むというメリットがあります!
■イギリスのクリスマスディナー事情
日本ではチキンだと思いますが、イギリスではクリスマスといえばターキーが定番です。
ただ、家族が集まり始めるのはクリスマス前ですから、クリスマス・イブや翌日のボクシング・デイにも大人数に食事を作る必要があり、その場合よく作るのはやはりローストです。
ロースト・ビーフ、ロースト・ポークなどいろいろですが、ロースト・ハムはクリスマスの時期には欠かせないごちそうのひとつ。
我が家では昨年はビーフ・ウェリントンを作りました。ビーフをマッシュルームやフォアグラで作ったパテで包み、さらにパイ皮で包んでオーブンで焼くこの料理、ボリュームもあるので人気です。
私はテーブルをクリスマスらしくしつらえますが、お店のディスプレイではなく、実際に家族が座って寛いで食事できることが目的ですから、ある意味現実的なセッティングにします。
とてつもない大きさのオーナメントやお花がテーブルの中央にあっても、話の邪魔になりますし、倒したらどうしよう? と思うほど、モノがいろいろと乗っているテーブルも寛げないのではないでしょうか……。
■おもてなし時のアフタヌーンティー
家族だけでなく、お客様をおもてなしするときは、仕事柄、アフタヌーンティーにすることもあります。
ここでもクリスマスらしさを演出するために、スコーンにクランベリーを焼き込んだり、サンドイッチにターキーとクランベリーを入れたり、お菓子にミンスミートを焼き込んだりと、工夫するのも楽しいもの。
ツリーの下には、プレゼントがたくさん並びます。もはや大きくなった子どもたちは期待してはいませんが、なんとなくクリスマスストッキング(プレゼントを入れる靴下)も暖炉の横に飾りました。
ヨーロッパの他の国ではクリスマス・イブにお祝いの食卓を囲むところが多いですが、イギリスは25日のランチ、またはディナーでお祝いします。
この日はやはりターキーをローストしました。付け合せには必ず、クランベリーソースとブレッドソース、グレービーソースの3種のソースに加え、芽キャベツやローストポテトも欠かせません。
日本のおせちのように、さまざまなものを並べるわけではなく、豪快にワン・プレートでおしまいではありますが、すべてを同時に仕上げて熱々で出すのはそれなりに難しいもの。
特にターキーは何キロなのかによって、オーブンに入れる時間を計算したり、表面が乾かないようにしょっちゅう肉汁をかけたり、気をつけてもなかなかパーフェクトにはいきません。
それでも家族で囲むテーブルは楽しいもの。その分、お正月には悲しいほど何の伝統もなく、前夜の年越しパーティーで二日酔いで過ごすことが多いのですが……。