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秋の夜長のお供に。ペンドルトンのおしゃれなブランケット

オレゴン州の小さな街で創業以来、今も進化を続ける老舗繊維メーカー「ペンドルトン」。そのブランケットは、地元のネイティブ・アメリカンから流行に敏感なヒップスターにまで、幅広く愛されています。世界中にファンを持つブランケットを100年以上も前から作っている片田舎の工場を訪ねました。

秋の夜長のお供に。ペンドルトンのおしゃれなブランケット

■ペンドルトンってどんなブランド?

「ペンドルトン(PENDLETON)」は、100%バージンウールのみを使用したウールウェアやブランケットの老舗ブランド。カラフルで特徴的なネイティブ・アメリカンの伝統的な柄で知られています。

初めて購入したスローとピローのセット

数年前にポートランドに引っ越して来るまで、私自身このブランドを知らなかったのですが、さすがに地元では愛用者の多いブランドで、日本人の女性を含め、たくさんの人に勧められました。

ちょっとお高いので最初は迷っていたのですが、カタログを見ていたら好きな柄のスロー(スローケット)があり、ポートランドのショップで思い切って買ってみました。

早速、家でこのスローを広げると、カラフルなパターンがリビングを暖かく彩ってくれて、買って正解! と嬉しくなりました。無造作に置かれていても、なんとなくいい感じに見える点も気に入っています。

ペンドルトンの工場にあるネイティブ・アメリカンとの交易を示す展示

ペンドルトンのアイデンティティにもなっているネイティブ・アメリカンのパターンは創業当初から、ペンドルトンのパターンデザイナーたちが、ネイティブ・アメリカンの伝統、神話学、デザインの趣向について学び、彼らに喜ばれるものを作る努力から生まれたそうです。

現在は、これらの知識や経験を最新のテクノロジーと組み合わせることで、伝統的な織り方では実現できないような、より複雑で色鮮やかなパターンを編み出しています。

ペンドルトンのブランケットとアパレルのカタログ

バージンウール100%のシャツも、保温性、耐久性、撥水性に優れたペンドルトンのアパレル部門を代表する製品として有名です。

1924年にメンズ用として誕生したのですが、60年代には「ビーチ・ボーイズ」のメンバーがアルバムのジャケットで身につけたことから大ブレーク。カルフォルニアのサーファーたちがこぞって着ていたそうです。

2018年の現在も、変わらず支持される人気の品で、地元ポートランドのヒップスターたちはもちろん、世界中に多くのファンがいます。

私はいまいち自分に似合う気がせず、未だアパレルは持っていないのですが、うちの夫はおしゃれな親友に、「ポートランドでクールに見られたいなら、これを着とけ」とプレゼントされ、使うたびに「また褒められたよー」と嬉しそうにしています。

■ペンドルトンの歴史がスタートした街

歴史的建造物の多いペンドルトンの街

今夏、オレゴンの東部へと家族旅行へ出かける際に、前から気になっていたペンドルトンの街にも立ち寄ることにしました。

ペンドルトンの街は、ポートランドから州間高速道路84号線(I-84E)をひたすら東に向かって3時間半ほど走ると到着します。人口1.7万人弱という小さな街ですが、ロデオで知られるだけあって、西部劇に登場しそうな雰囲気です。

ご想像の通り、この街で「アメリカ最古のアパレルメーカー」(※)と言われる「ペンドルトン」の歴史がスタートしました。

歴史的建造物の多い街ですが、1909年創立のペンドルトンの毛織工場「Pendleton Woolen Mills」も街のランドマークのひとつで、観光地にもなっています。


※Pendleton.jp - History http://pendleton.jp/?mode=f1 より

この建物の中には、広々とした旗艦店、お得なアウトレットショップ、「ヘリテージ・コレクション(Heritage Collection)」というブランド遺産の展示室、それにブランケットの工場が入っています。

ちなみにアパレルは、1912年に操業を開始したワシントン州のワシューガルの工場(Washougal Woolen Mill)で作っています。

展示室の中には、ネイティブ・アメリカンとの交易を示す歴史ある製品や写真がたくさん展示されています。ペンドルトンがいかにネイティブ・アメリカンとのつながりを誇りにしているかを感じます。

■ブランケット・ミル見学ツアーレポ

工場内を見学するためには、平日に1日4回開催される無料ツアーに申し込む必要があります。

見学時間になると参加希望者が呼ばれ、列に並んでガイドさんの声が聞こえるイヤフォンを受け取ります。工場内は、機械が大きな音をさせて稼働しているため、イヤフォンをしていないとガイドさんの話している声が聞こえないのです。

ツアーで最初に訪れる部屋には、カラフルな糸が積まれています。ペンドルトンでは毎年、500種類以上の色にウールを染め上げているそうです。

このブランケット工場では、染色したウール(dyed wool)の繊維を細かく梳ってほぐすことで粗糸(carded roving)にし、さらに「より」をかけて織り糸(spun yarn)にする工程から行われています。

粗糸にしていく工程

この紡績の工程は、手間暇がかかることはもちろん、太さやよりのかかり具合を調整し、理想の織り糸に仕上げるには、かなりの経験や技術が求められるそうです。

完成した織り糸は、最先端のコンピューターシステムを使い、複雑でカラフルなパターンの布へと織り上げられていきます。

織られた布は、熟練の職人が、細かく手作業でチェックしていきます。両面にパターンのあるブランケットは、片面が終わった後、反対の面も同じように丁寧に見ていきます。

アウトレットでブランケットの「難」の部分を見ると、言われないと気づかないようなレベルの細かさでチェックされていることがわかりました。

この厳重なチェックをパスした布は次の工程へと進み、フェルト状の厚みのある生地になります。

それから、洗濯、剪毛、ナッピング(織物の表面に毛羽を立てる仕上げ加工)といった工程を経て、縁取りやラベルが手作業で取り付けられ、検査を経て、ついに完成品として店舗に並ぶんだとか。

これだけ手間暇がかかれば、高価になってしまうのもわかる気がします。

みんなのお気に入りの席

ペンドルトンの工場には、最新の技術を取り入れながらも、歴史と伝統を大切にする想像以上に丁寧なもの作りの姿勢がありました。

使えば使うほど味が出るという暖かで美しい一生物のブランケット。これからの季節、アウトドアや夜のソファで大人の女性が包まるのにぴったりだと思いませんか。

Pendleton Woolen Mill & Retail Store - BLANKET MILL
1307 SE Court Place, Pendleton, OR
(541) 276-6911
BLANKET MILL TOUR 月曜から金曜, 9 am, 11 am, 1:30 pm, 3 pm
https://www.pendleton-usa.com/
http://pendleton.jp/

東 リカ

フリーライター。アメリカで出会ったブラジル人の夫と、リオデジャネイロ、レシフェ、東京、サンパウロを経て、2014年末よりポートランドへ移住。現在は、フリーライターとして現地情報を日本メディアに提供。得意分野は、カルチャー、ラ...

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