【今からできる相続対策#20】急な資産の増加で相続税の負担が増えた! そんなときは法定相続人以外に贈与させよう
近年では高齢の親よりも先に子どもが亡くなり、子どもの資産を親が相続するということがしばしばあるようです。このようなケースの場合、きちんと対策しないと残された子どもに多額の相続税が課税される可能性があります。
■1億5000万円の資産を95歳の母親が持つことになったケース
一郎さん(65歳)の家族には、結婚をしておらず子どもがいない弟の次郎さん(60歳)と母の富子さん(95歳)がいました。
次郎さんは1カ月前に肺がんで他界。
次郎さんの身辺整理をするために資産を計算してみると、なんと預貯金で1億円もありました。富子さんと一緒に住んでいた次郎さんは、老後の一人暮らしのためにコツコツと貯蓄をしていたのです。
子どもがいない次郎さんの遺産は母親の富子さんに相続されますが、富子さんには夫(一郎さんと次郎さんの父)から相続した遺産の5000万円がすでにありました。
富子さんも高齢なので数年後には亡くなる可能性があります。
そうなると1億5000万円の遺産は一郎さんに相続され、相続税が課税されることに。
控除額は相続人の数多いほど増えますが、相続人は一郎さんしかいませんので相続税が高額になると予想されます。
この場合は、どのように相続税の節税を考えれば良いのでしょうか?
■生前贈与をうまく活用して相続税を抑える
もし一郎さんに子どもや孫がいるのであれば、生前贈与を活用するのが相続税を抑えるひとつの手です。
一郎さんの子どもや孫に生前贈与するのは、「相続財産の3年以内加算」を回避するためです。
相続開始前3年以内に、法定相続人や遺言書で遺贈を指定された人が被相続人から財産を贈与されていた場合、その財産は課税財産として加算されてしまいます。ですので、富子さんが遺産を一郎さんに贈与してから3年以内亡くなってしまうと、一郎さんは相続税を支払わないといけなくなるのです。
一方で、一郎さんの子どもや孫は富子さんの法定相続人ではないので、富子さんの財産を相続しません。
贈与から3年以内に富子さんが亡くなったとしても課税財産として加算されないのです。
教育資金の一括贈与制度など、生前贈与の手法の中には非課税となるものがあります。うまく活用すれば相続税を抑えられるのです。