【今からできる相続対策#12】二次相続対策は、夫婦どちらが先に亡くなるかで変わってくる
「二次相続」とは、夫もしくは妻が死亡して一次相続が完了した後、残された配偶者が死亡したときの相続を指します。
「二次相続」とは、夫もしくは妻が死亡して一次相続が完了した後、残された配偶者が死亡したときの相続を指します。
しかも、一次相続と二次相続までの期間は、一般的にはあまり長くありません。
相続対策は一次相続と二次相続の両方を考えておく必要があります。
その際、夫と妻のどちらが先に亡くなるかで、対策の中身が変わってくるのです。
一般的に、一次相続から二次相続までの期間は、「夫が先に亡くなり、妻が残される」ほうが「妻が先に亡くなり、夫が残される」よりも長い領向にあります。また、財産の大部分は夫が所有しています。それゆえ、二次相続まで踏まえた相続対策は、夫と妻のどちらが先に亡くなるかで変わってきます。
■夫が先に亡くなった場合は残された妻の生活を考えよう
夫が先に亡くなった場合の相続対策です。
このケースでは、残された妻の生活が心細くなります。妻の生活を第一優先順位とした相続対策を考えましょう。
大事なのは、妻の生活費確保です。
女性は男性より平均寿命が6歳ほど長く、もともとの夫婦の年齢差があると仮定すると、最低約15年分の生活費は必要だと思われます。
妻の自己資金や年金等を勘案した上で、金融資産で生活費を確保できるよう対策を考えましょう。今後、妻に多額の医療費がかかることも想定し、資金には余裕を持たせておきましょう。
また、子が自宅を相続すると、妻は居候のように肩身の狭い思いをするケースがあります。安心して住めるよう、自宅は妻が相続、もしくは共有するとしても妻の持ち分を入れたほうがよいでしょう。
しかし、必要以上に妻に相続財産が集中すると、二次相続のときに多額の相続税がかかってしまう恐れがあります。妻と子で、適度にバランスをとっておきましょう。
■妻が先に亡くなった場合は二次相続対策にウエートを置く
妻が先に亡くなった場合はどうでしょう。
夫は生活費や多くの財産を持っていることがいまだに多いこと、二次相続までの期間が長くないことを加味し、夫が亡くなったときの二次相続対策にウエートを置きましょう。
財産を多く持っていない妻が先に亡くなったら、相続税がかからないケースが多いかもしれません。
この場合、財産は可能な限り、子に相続させましょう。
夫が多く相続すると、二次相続のときに多額の相続税を課せられる可能性があるからです。
夫が亡くなった際には、不動産など多くの財産が動きます。円滑に進められるよう、分割しやすい状態にしておきましょう。あらかじめ土地の測量や分筆を行っておくと、遺産分割の負担が小さくなります。
もうひとつのポイントとして、一次相続が起きた時点から「暦年贈与」を早めに始めておきましょう。理由は、ニ次相続までの期間が短いことが予想されるからです。相続発生前3年以内の贈与は相続税の課税対象になってしまうことを念頭に置いてください。
夫婦のどちらが先に亡くなるかは、誰にも予想できません。いずれのケースも想定して、専門家に相談して、シミュレーションしておくことが望ましいでしょう。