1. DRESS [ドレス]トップ
  2. 美容/健康
  3. 「ステロイドを使っても大丈夫?」と不安な人へ。ステロイドの働きを医師が解説

「ステロイドを使っても大丈夫?」と不安な人へ。ステロイドの働きを医師が解説

ステロイドが体内でどんな働きをするのか、内科医/皮膚科の赤池智子医師が解説します。ニュースで見聞きすることの多い「ステロイド」を恐れず、リアルを知るために、知識を持っておくことが大事です。

「ステロイドを使っても大丈夫?」と不安な人へ。ステロイドの働きを医師が解説

医師の赤池智子です。皆さん、お久しぶりですが、お元気でしょうか。

多くの方が花粉症で悩んでいた春が終わり、症状が落ち着いたと思ったら、この暑さ。汗で体がかゆい、虫やくらげに刺されてしまった、日焼けで肌が真っ赤になり火傷のようになってしまった……。

そこで、病院へ行くといろんなタイプ(塗り薬、目薬、吸入薬、飲み薬など)の「ステロイド」を処方されたけれど「本当に使っても大丈夫なの?」そう聞かれることが最近たくさんあります。

こうやってよく処方される「ステロイド」。これは、副腎という臓器から出される副腎皮質ステロイドホルモンの働きを薬にしたものだという話をしてきました。

このホルモンはわたしたちの体では、早朝に分泌される量がピークを迎え、徐々に下がっていき、夜になると少なくなります。

それはなぜだかわかりますか?

このホルモンは、「ストレスホルモン」と呼ばれることもあります。これから起きて活動するのにあたり、いろいろな刺激、ストレスに対処するためになくてはならない「命に関わる大切なホルモン」だからです。

ストレスで夜、目が冴えてしまって眠れない、なんて経験した方もいると思いますが、強いストレス下に置かれた状況で、このホルモンが夜も過剰に出てしまうことが理由のひとつとして考えられます。

ストレスが過度にかかっていると、寝ている場合ではありません。だから覚醒する方向になってしまうのですね。

今回はこのホルモンの体内での働きをお話しします。

■ストレスホルモンは体の中でどう働いている?

まずいろいろな刺激、ストレスと戦うためには、「糖」を上げる必要があります。

血中での糖(血糖)を高めるために、体の隅々にある細胞が血中の糖を取り込んで消費するのを防ぎます。またせっかく筋肉という形で蓄えてあるタンパク質をグリコーゲンという糖の形にしようと、なんと筋肉を分解する働きをします。

確かに、動物が獲物を狩るために戦いにいく、ストレスがかかる状況では、将来の蓄えよりも「今この瞬間」を乗り越えることが優先されます。

また、このホルモンはいわゆる「ステロイド」として薬で使われる大きな理由となる「抗アレルギー・抗炎症作用」を持ちます。

冒頭でお話しした症状や、喘息、アトピー、その他膠原病と呼ばれている自己免疫疾患は、過剰なアレルギー反応、炎症、免疫反応が原因のひとつであるため、この抗アレルギー・抗炎症作用を薬として利用して、抑えようとしているのです。

もちろん、こういった働きが必要もない状況で強くなると、血糖が高くなりすぎて、糖尿病のような状態になったり、筋肉が萎縮したり、免疫系の働きが抑制されて感染症にかかりやすくなったりします。

そのため、このホルモンは正常な体内では見事としかいいようがないくらい、うまく制御・コントロールされています。

ここまでのお話は伝わったでしょうか?

問題となるのは、このような働きをする「ステロイド」が薬として外から入ってきた場合、働きが過剰になったり、期待していた作用以外の私たちにとって有害な働き=副作用、を起こすということになりますが、このことについて次回以降説明していきますね。

徐々に理解が深まるとステロイドに対する漠然とした不安が、何が問題となり、何に気をつける必要があるのか、そして、何が実は巷で言われていることと違うのか、などわかってきて、皆さんにとって大切な知識になると思います。

Text/赤池智子 
医師、内科/皮膚科医。アメリカ University of Washington皮膚科勤務。
患者の視点に立った医療を行うことを何よりも大切にし、論文執筆、学会発表と共に日常診療を第一に行っている。
2006年準ミス日本の経歴も生かし、女性ならではの視点から正しい医療知識に基づいた女性の病気、健康、美容に関する情報も発信し定評がある。

赤池 智子

医師、内科/皮膚科医。アメリカ University of Washington皮膚科勤務。 患者の視点に立った医療を行うことを何よりも大切にし、論文執筆、学会発表と共に日常診療を第一に行っている。 2006年準ミス...

関連するキーワード

関連記事

Latest Article