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「副腎皮質ステロイドホルモン」とはどんなホルモンなのか?【赤池智子】

副腎皮質ステロイドホルモンとはどんなホルモンなのか解説します。ニュースで見聞きすることの多い「ステロイド」を恐れず、リアルを知るために、副腎皮質ステロイドホルモンの知識を持っておくことが大事です。

「副腎皮質ステロイドホルモン」とはどんなホルモンなのか?【赤池智子】

前回のコラム「『ステロイド』は総称。ドーピング問題のステロイドとは違う」で「ステロイド」自体はステロイド核という構造をもった物質全般の「総称」であることをお伝えしました。

この違いをわかっていただいた上で、今回からは核心に迫っていきますね。

テレビなどの報道で度々議論となっている「ステロイド」である「副腎皮質ステロイドホルモン」についてお話していきます。

■「副腎」の役割

そもそも「副腎」とは、私たちの体の中にある臓器のひとつです。

副腎の腎という漢字は腎臓と同じですね。腎臓の主な役割は、血液中のいらない物質や必要な物質を選別し、いらない物質を尿として体の外に出し、体内の状態を常に一定に保つことです。

副腎はこの腎臓の上にちょこんと乗っかかるようにして体の中にあります。働きは違いますが、小さい腎臓のような、サブ的なイメージ「副」=副腎と考えていただくと、わかりやすいかと思います。

腎臓の位置は、だいたい腕をからだの横におろして、ピンと立ったときに肘にあたる高さの背中側のあたり。副腎はその上にあり、だいたい肘の高さよりちょっと上くらいだと想像していただけたらと思います。

■副腎の成り立ち

次に副腎の構造について説明します。この副腎は大きく「副腎皮質(ひしつ)」と呼ばれる外側の部分と、「副腎髄質(ずいしつ)」を呼ばれる内側の部分で構成されています。

皮質は、皮という漢字が示す通り、外側というイメージがつくと思います。そして髄質は骨髄などと同様に中心、内側のイメージです。大きくこの外側と内側からなります。

この副腎皮質と副腎髄質はともにホルモンを分泌し、それぞれまったく違う働きをするホルモンですが、体にとっては生命に関わる重要な働きをします。。

今回の一連のテーマである、「副腎皮質ステロイドホルモン」はつまり、副腎の外側にある皮質部分から出されているホルモンということです。

この副腎皮質ステロイドホルモンは、ステロイドの一種であるコレステロールが材料となってつくられます。

コレステロール自体はこのようなホルモンをつくる材料になるなど、実は私たちの体の中で非常に重要役割を果たしています(今後の連載でコレステロールについても別途解説します)。

■副腎皮質ステロイドホルモンの役割

この副腎皮質ステロイドホルモンは、体の中でどんな役割を果たしているホルモンなのでしょうか。

副腎の外側にある副腎皮質はさらに3層にわかれ、3種類のホルモンが作られます。「電解質コルチコイド」「糖質コルチコイド」そして「副腎アンドロゲン」の3種類です。

聞き慣れないコルチコイドというのはコルチコステロイド、つまり皮質ホルモンという意味です。

副腎皮質そしてステロイドホルモンの中には、
・ 電解質:体の中のカリウムやナトリウムなどを調節する電解質コルチコイド
・ 糖質:糖に関係する糖質コルチコイド
・ アンドロゲン:男性ホルモンに関係する副腎アンドロゲン
大きくこの3つがあるとイメージしてください。

この中でアレルギーや喘息、その他、医療現場で幅広く使われているステロイドは、この中の「糖質コルチコイド」の作用を期待しているものです。糖質コルチコイドが体内でどんな役割を果たしているか、しっかり理解することが大切です。一言で説明できないほどいろいろな作用があります。

次回からこの作用を詳しく説明していきます。この作用がわかると、薬としての効果や、副作用なども理解いただけると思います。

漠然と、なんとなく、「怖い」と感じていた印象が変わり、何が問題となるのか、わかっていただけるようになるでしょう。

少しずつ理解していただき、皆さんの中で知識となり、知った上でご自身の考え、価値観をつくっていただけたらなと思っています。それではまた。

赤池 智子

医師、内科/皮膚科医。アメリカ University of Washington皮膚科勤務。 患者の視点に立った医療を行うことを何よりも大切にし、論文執筆、学会発表と共に日常診療を第一に行っている。 2006年準ミス...

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