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Sサイズ女子を綺麗に見せる服。妥協ではないおしゃれを楽しんでもらいたい。

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背が小さなことを理由に、おしゃれをあきらめたくない。Sサイズ女子のためのベーシックブランド「COHINA(コヒナ)」のプロデューサー、田中絢子さんと清水葵さんにインタビュー。

Sサイズ女子を綺麗に見せる服。妥協ではないおしゃれを楽しんでもらいたい。

150cmくらいの小柄な身体でも、おしゃれを楽しみたい。大人っぽい洋服を、綺麗に着こなしたい――。

ファッションブランド「COHINA」からは、そんな願いを叶えるアイテムが日々生み出されている。

プロデューサーはふたりとも、アパレル業界の経験は0。
きっかけは「こんなものがあったらいいのに……」という思いだけ。

それでも、多くの小柄女性が、彼女たちがつくる洋服に心をつかまれている。そんなCOHINAを運営するふたりの女性に、ブランド立ち上げの背景や、ファッションを通じてどのような世界をつくっていきたいのか、話を聞いた。

取材に伺ったオフィスで出迎えてくれた絢子さんと葵さん。

ふたりともとても小柄で、絢子さんは148cm、葵さんは151cmだという。

そして、サマーニットとスカートが偶然の色違い! どちらもCOHINAのアイテムだが、「まさかかぶるなんて……」と苦笑いで口を揃える。本当に仲が良いことが、一瞬で伝わってきた。

■マイナスをプラスに変える仕事がしたい

――まずは、おふたりの関係を聞かせてください。

清水葵さん(以下、葵):出会いは、高校のときに通っていた予備校です。ただ、当時はそんなに親しかったわけじゃなくて、ときどき帰り道で一緒にお菓子を食べたりするくらいの仲でした。

田中絢子さん(以下、絢子):最初は「よっ友」(会えば「よっ」と挨拶をする仲)だったよね。大学も別々だったし……。だけど、お互いにその予備校で個人指導のバイトをはじめてから、仲良くなって。

――「よっ友」としての関係性が、なぜ一緒にブランドを立ち上げるまでになったのでしょうか。

:自分たちでゼロから何かをつくってみたくて、それを一緒にやるなら彼女だと感じたんですよね。そもそも大学時代から、お互いにいろんなことにチャレンジしていたんです。私はカナダに留学したり、地方創世プロジェクトなどに関わったり……でも、参加するだけでは物足りなくて、0から何かを作ってみたかったんです。

それは絢子も同じ思いだった。そういう「なにかやりたいよね」っていう思いがスタート地点だったので、「ビジネスの内容を考え抜き、やりたいことが近かったから組んだ」というわけじゃないんですよ。

絢子:ないんかい、って感じですよね(笑)。でも、私も何かをやるならしみちゃん(葵さん)以外考えられなかった。
:困っている人を助けるサービスがつくりたいとは考えていて、最初はペットや子ども、お年寄りなどの領域も候補でした。

絢子:それで、自分たちが当事者として明確に困っていたのが、サイズの合う洋服がないことだったんです。もともと、マイナスの状態を改善してプラスにすることに興味があって……学生時代は、貧困層の女性が輝けるようにミスコンを開催したりしていました。だから「背が低い」というマイナスを、ベストサイズの洋服で「おしゃれが楽しい」というプラスの状態に変えたいと思ったんです。

■ゼロからのスタート。ふたりだからできた

――共通の悩みがあるからって、それを自分たちで解決しようと思うところがすごいですね。

絢子:ずっと待っていたのに、誰もやってくれないんですもん(笑)。それに、これだけモノがあふれている時代に、自分たちでゼロからモノをつくって届けることは、すごく難易度が高いじゃないですか。だからこそ、面白そうだなと思って。

――実際にブランドを立ち上げるところまでは、いかがでしたか?

:アパレルの知識も何もないから、すべて0から手探り。ふつうは何期も前から企画して商品を生産するのに、私たちは9月に秋冬ものを考えるありさまでした(笑)。最初はとくに、常識外れなことばっかりしていたと思います。

絢子:私たちみたいな超弱小のスタートアップだと大量発注はできないし、少量を受け入れてくれる工場もなかなかない。国内外を問わず、何社も当たってなんとか発注先を見つけましたね。

:大変だったけど、ふたりだったからできた、っていうのもある。

絢子:たしかに、ひとりだったら心折れてるね(笑)。

■「COHINAなら大丈夫」と安心してもらいたい。長く付き合えるように

:テイストは綺麗めカジュアルで、幅広い世代が着られるアイテムを中心としています。市販のSサイズはデザインが甘すぎたり、ギャルっぽすぎたりするので、ベーシックな洋服にニーズがあるんです。

:なにより大切なのは“サイズ感”。小柄さんは身長だけでなく、さまざまなパーツが小さい方が多いため、基本サイズから着丈や肩幅、袖の長さなどもすべて身体にフィットするようつくっています。Mサイズをそのまま小さくするのではなく、小柄でもスタイルがよく見えるように、シルエットやディテールまでこだわって調整しているんです。

絢子: Sサイズだけだと30枚しかオーダーできない洋服が、フリーサイズならまとめて250枚生産できるから、アパレルはフリーサイズが圧倒的に儲かるんですよ。だから“大は小を兼ねる”発想になって、Sサイズの商品は減っていく。小柄向けのサイズ感とテイスト、ほどよい価格の3つを叶えているブランドって、全然ないんですよね。

:普通の洋服はS・M・Lの3サイズだけど、COHINAはSサイズを多いものだと8種類展開しています。

(丈が選べるソフトテーパードパンツの場合)丈は150cm前後向けと、145cm前後向けの2種類、それぞれの幅のラインナップを4サイズずつと、豊かにそろえているんです。でも、そのやり方だと余計に数がつくれないから、価格設定が難しいところなんですよね。

絢子:ファストファッションのような低価格にはできないけれど、そのぶんリピーターさんを大事にしたいと思っています。「なにかほしいときはCOHINAを見に行けば大丈夫」「COHINAの服とずっと付き合いたい」と思ってくださる方を増やしたいんです。

■インスタライブで、お客様と一緒に商品開発&バーチャル試着

――「COHINA」を利用された方々からは、どんな声が届いていますか。

:お客様はみんな共通の悩みを持っている方々なので、COHINAのマインドにすごく共感してくれます。

「COHINAのおかげでおしゃれが好きになった」とか「小柄さんの救世主!」なんて感想が届くんですよ。試着をされたお客様が「こんなにぴったりの服はじめてです」って、泣きそうになってくれたことも。お金を貯めて何着も買いに来てくれる高校生もいて、こちらが泣きそうになっちゃうくらいです。

絢子:COHINAはもともと、お客様とのコミュニケーションをとても大事にしています。たとえば、インスタライブ。ブランドの立ち上げ段階から、公式アカウントで小柄女子に役立つ情報を発信していたんです。

私服で小柄向けコーディネートを提案したり、すっきり見える髪型を紹介したり……自分が消費者側だからこそ、ほしい情報も見えるんですよね。それから、制作中の商品に意見をもらったりもします。商品開発の様子を、生地選びとかからライブ配信しちゃう。

――すごい! 顧客との距離が近いからこそなせるわざですね。

:きちんとニーズを汲むためにも、インスタライブはとても役立っていますね。もうひとつ大きいのが、バーチャル試着。身長が低い人は、ふつうのネットショッピングなんて怖すぎて使えないんですよ。モデルと身長差がありすぎて、写真を見ても着た感じがイメージできない。だからこそ、150cm前後の私たちが商品を着てライブ配信することで、安心して購入してもらえるんです。

絢子:とはいえ、実際に着ていただく機会も大切にしたいから、今後はさまざまな地域でポップアップショップをやりたいと思っています。インスタライブもこれまでどおり力を入れていくけれど、リアルの機会も充実させて、補完しあえたら最高ですね。そういうやりとりを通じて、すこしずつ“COHINAのコミュニティ”ができている感覚もあります。接点が持てると、お互いに熱量が高まる感じがする。

:インスタ見てくれてるお客さんに会うと「本当にふたりとも小さいんですね~」って言われたりしてね(笑)。

絢子:インスタライブをやっていて終電逃したこともありますね……。

■やりたいことは、誰にだってできる。“マイナスの当たり前”から抜け出して

――これからは、どんなブランドを目指していきますか?

:身長が低いせいでおしゃれをあきらめていた人って、いっぱいいると思うんです。「合う服なんてないから」というふうに、できないことを “当たり前”にとらえてしまう。でも、そんな方々から「COHINAと出会って変わった」と言っていただけるのがすごくうれしくて……少しずつでもいいから、そういう方々にとっての“マイナスの当たり前”を改善していきたいと思っています。

絢子:彼氏とのデートとか、安室ちゃんの引退ライブとか、そういう大事なシーンでCOHINAを選んでもらえたって聞くと、本当にうれしいよね。アイテムへの愛情を感じる。

:COHINAでは「妥協で買うこと」じゃなくて「本当にほしいから買うこと」を提供できていると感じます。そういう体験をつくる仕事って、すごく楽しいです。

絢子:すべてゼロから始めて形にできたっていうストーリーは、きっと誰かにとってもパワーになると思うんです。「COHINAのふたりができたんだから、自分でもできるんじゃない?」と感じて、またほかの誰かが動き出してくれたら、もっとうれしい。

「起業したいけどやり方がわからない」とか、ご相談をいただくことが結構あるんですよね。だからCOHINAを通じて、意外とやれるんだよってメッセージも伝えていけたら素敵だなって思います。

取材・Text/菅原さくら
Photo/池田博美

取材協力/COHINA
公式ホームページはこちら
https://cohina.net/

Instagramアカウントはこちら
https://www.instagram.com/cohina.official/

DRESSでは7月特集「”私らしさ”をつくる人」と題して、ファッションの分野でモノづくりをする方たちの仕事や想いをお届けしていきます。

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菅原 さくら

1987年の早生まれ。ライター/編集者/雑誌「走るひと」副編集長。 パーソナルなインタビューや対談が得意です。ライフスタイル誌や女性誌、Webメディアいろいろ、 タイアップ記事、企業PR支援、キャッチコピーなど、さまざま...

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