自分から別れを選んだのに、いつまでも彼を憎む気持ちが消えない。彼にも嫌な思いをさせたいと思う自分を自覚するのは、とてもつらいことですね。ですが、それは言いたいことをすべて吐き出すことでいつか消えていきます。嫌な自分を認めてあげることが、彼を本当に忘れる第一歩です。
同じ人間から受けた恋のトラウマは、逃げ場をなくすことで乗り越えられる
すごく好きな男性がいるんだけど、過去にいろんな出来事があって大きなトラウマを抱えてしまい、先に進めない。向き合いたいのに向き合えないような恋愛は、傷を受けることが怖くて好意を伝えることもためらってしまいますね。そんなときこそ、逃げ場をなくして自分を見つめるのが正解。どんなやり方が良いのか、お話しします。
■今さら「好きだ」と言われても
「過去に何年も片思いをしていた男性がいます。
3つ年上の彼にはほかに好きな女性がいて、彼自身もその人への片思いを続けていました。
それでも諦めることができず、好きだと言い続けながらそばにいましたが、結局一度も振り向いてもらうことはありませんでした。
キスやハグにセックスもしていて、都合のいい女にされているのはわかっていましたが、自分から望んだようなものです。
仲の良いときも多いのに、少しケンカになればすぐ『やっぱりあの人がいい』と言う彼。自分を好いてくれる女性より片思いの相手のほうがいいのかと、何度も絶望しました。
結局、私が愛想を尽かした形で関係は終わり、1年ほど音信不通でした。
そんな彼と些細なことで連絡をとる機会があり、再会したのが2カ月ほど前です。それからまた一緒にご飯を食べに行ったり電話で話したりと、以前のような楽しい時間を過ごすようになりました。
先日、彼からいきなり「好きだ」と言われました。
何年も片思いをしていた女性のことはきっぱり諦めた、『俺の側でずっと笑ってくれるのはお前しかいないと気がついた』と言われ、嬉しく思う反面、本気かどうかを疑ってしまい、返事ができずにいます。
以前と違い、ちょっとケンカになってもその女性のことを持ち出すことはないし、しっかり自分の気持ちを伝えてくれるようになった彼からは、確かに私への好意を感じます。
『お前の気持ちを尊重したいから』と、一緒にいてもまったく手を出さず、一線を引いた関係を続けてくれているのも安心できますが、どうしても『やっぱりあの人がいい』と言われ続けたトラウマが消えません。
私も好きだと伝えたいけど、付き合うようになったとして、またその女性のほうを向かれたら。
『私のことが好きだっていう証拠は? 保証は?』と馬鹿なことを言ってケンカになってしまい、今は距離を置いている状態です。
彼を信じても良いのでしょうか?
どうすれば素直になれますか?」(35歳/デザイナー)
同じ人間に何年も片思いをしていると、ふたりの間でいろいろなことが起こりますよね。
今回のように、相手もまた別に片思いをしている場合、どうしても女性側が追いかける形になります。
セックスまでするのに、こちらを向いてくれない彼。些細なつまずきで片思いの女性を持ち出す彼。
受け続けた傷みがトラウマとなってもおかしくありません。
上の女性が悩んでいるのは、「彼を信じても良いのかどうか」。
ですが、それは第三者が答えられることではなく、自分自身で確認するほかありません。
彼のことが好きなら、まず「逃げ場」をなくすこと。
向き合うべきなのは、彼ではなく自分です。
■トラウマの正体を見極める
好きだと伝えているのに、そして平気で抱くくせに、何かあると「やっぱりあの人がいい」とあえてこちらが傷つくことを言う。
正直、男らしさは微塵も感じないし、卑怯で臆病な男性だと思います。
誠実な男性なら、まず応えられない愛情は受け入れません。
付き合えないのに中途半端な関係を持つような男性は、愛されることにあぐらをかきやすく、事実この女性も以前は振り回されていました。
「俺のことが好きなんだったら、俺を満足させるべき」。こんな勘違いは男性を傲慢にし、愛されることの奇跡を考えることもありません。
その未熟な心が女性に与えるのは、「愛情をないがしろにされる痛み」。
上の女性は、付き合ったとしてまたその女性のほうを向かれるのが怖いのではなく、自分の愛情を適当に扱われることを何より恐れています。
本気で好きであるほど、男性から「好きだ」と言われても簡単に応えることはできません。
自分はまっとうな愛情をぶつけてしまうことがわかっているからこそ、また裏切られて痛みを負わされることを避けたいと思うのは当然です。
彼女が抱えるトラウマは、別の女性の存在ではなく自分の愛情をまともに受け止めてもらえないこと。
彼を信じるかどうかは、まず自分が抱える彼への気持ちを整理する必要があります。
■愛されることより「愛することができるかどうか」が肝心
彼女は何度も、
「本当に好かれているのか不安」
「好きってどうやって確かめればいいの?」
と言っていました。
確かに、これまで傷つけられてきたぶん、いきなり好きだと言われてもそれを鵜呑みにするのは難しいですよね。
ですが、いくら彼から愛されていることを証明したところで、彼女自身が彼を愛することができなければ、意味がありません。
「先に愛されているのを確信してからこちらも好きになる」ような恋愛は、常に自分の中に逃げ場を作ります。
好きだと言ったところで応えてもらえないような「負け戦」はしたくない、常に相手の気持ちを前提にしてこちらの気持ちを決めたい。
そんな恋愛は、決してポジティブな愛し方を考えられません。能動的に愛することができないと、良い関係は築いていけないのですね。
肝心なのは、愛されているかどうかより、自分が愛することができるかどうかです。
愛されているからこちらも愛そう、では、何かあったときに責任を相手に負わせます。上手くいかないのは相手のせいであって、自分は問題ない。これも立派な「逃げ場」です。
恋愛はあくまでも自己責任。
お互いに対等なつながりで関係を築いていくには、まず「愛せるかどうか」を自分に問いかけましょう。
■許せない部分を相手に伝える
「じゃあ、どうすれば彼を信じられるの?」
と尋ねると、
「わからない」と彼女は返します。
彼が何をもって愛情を証明しても、結局彼女の中に受け入れる器ができていないと無意味です。
信じられないのは、彼女の中に彼に対して許せない部分があるから。
これまで、さんざん自分の愛情を弄ばれたこと。自ら望んでセフレのような関係を持ったとはいえ、大事にされてこなかったことが、彼女の中で不信感を生んでいます。
それなら、その不安を彼に伝えることで、彼女の状態を理解してもらうのもひとつの手です。
「以前、何度も傷つけられて、あなたを信じることができない。大事にしてもらえなかったことが今も不安で、あなたを愛する自信がない」
これを聞いて、「じゃあもういいよ」と返してくるような男性なら、その時点で捨ててしまうのが吉。
自分のしてきたことで女性が苦しんでいることを理解できない男性は、たとえ付き合っても決して良い関係は持てないでしょう。
本当に女性のことが好きなら、
「悪かった。信じてもらえるまで努力する」
と答えるのが、愛情のひとつの証明になります。
上の男性は、女性にまったく手を出していません。
以前は簡単にセックスに持ち込んでいた自分を恥じ、そんな扱いが女性を苦しめていたことをわかっているから、けじめをつける意味で一線を引いています。
こんな男性の態度にこそ、愛情は現れます。
トラウマの正体を知り、不安を男性に伝え、男性の態度を見ること。
そこから逃げないことが、再び彼を愛することができるかどうかの大切な点です。
無理に好きになることも、いたずらに彼を苦しめる必要もありません。
恋愛は自己責任です。
まずは自分自身がどうしたいのか、どうありたいのかを考え、男性に気持ちを伝えることを恐れずにいることが、良い関係を作っていくきっかけになります。
そんな女性を見れば、まともな男性なら自分の接し方を考えます。女性の不安を取り除き、信じてもらうための行動を自然にとるはずです。
自分と向き合うために、逃げ場をなくすこと。
まずはその勇気を持つことが、自分も彼も大切にすることにつながります。
ネガティブな言葉を吐いては、女性に自分を追うように仕向ける男性。彼らは追わせる恋愛をすることで自分の価値を確認したがります。ですが、いつも従っていては相手も甘えるだけ。一度放置してみて、追わない自分を見せましょう。痛みを実感してもらうことで、無駄な「追わせたい病」を止めることができます。