【今からできる相続対策#7】「姻族関係終了届」を出すと遺族年金や相続はどうなる?
夫が亡くなったら、親族との縁を終わらせたい場合、「姻族関係終了届」を出すことでいわゆる「死後離婚」が成立します。その場合、遺族年金や相続がどうなるか、解説します。
法務省戸籍統計によると、2015年度には、2783件もの「姻族関係終了届」が提出されました。
「姻族関係終了届」は、「死後離婚」とも言われます。
姻族関係終了届を出すと、どのような効果があるのか、遺族年金や相続はどうなるのかについて解説します。
■本人の意思のみでも「姻族関係終了届」を提出できる
配偶者が亡くなったら、婚姻関係は終了します。
しかし、配偶者の親族(親、兄弟姉妹など)との姻族関係は継続します。
「結婚当初から姑や小姑に意地悪されていた」
「夫が亡くなり、舅や姑の介護負担が大きくなった」
「夫が亡くなったことを自分のせいにされ、ネチネチ責められる」
というように、夫の死後も姻族関係を続けることが苦痛なケースもあるでしょう。
そんな方は「姻族関係終了届」を役所に提出すれば、夫の親族との関係を解消することができます。
姻族関係終了届は、本人の意思のみで提出できます。姻族等の了承を得る必要はありません。提出期限もないため、配偶者の死後から年月が経過しても手続きが可能です。
通常の離婚では、離婚後に旧姓に戻るか、婚姻時の苗字を名乗り続けるか選べます。しかし、姻族関係終了届を提出しただけでは、姓と戸籍は変わりません。結婚前の戸籍や姓に戻したいときには、別途「復氏届」を提出する必要があります。
■遺族厚生年金を受け取れる?
姻族関係終了届を提出しても、遺族厚生年金をもらうことができます。復氏届を提出して旧姓に戻しても、新戸籍をつくって夫の戸籍から抜けても同様です。
姻族関係終了届を提出しても、遺産相続を受けることが可能です。遺産相続の権利は、配偶者が亡くなった時点の関係性(法定相続人であるかどうか)で判断されるからです。
姻族関係終了届は遺族厚生年金や遺産相続には影響を及ぼしません。
「亡き配偶者の親族と折り合いが悪い」
「亡き配偶者の親族の面倒まで見る余裕はない」という方は、活用を検討してみましょう。