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子や孫にしばられない生き方。「自分らしさ」が人生から消えることはない

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どれだけ人生が変化していったとしても、自分らしさはきっとなくならない。

子や孫にしばられない生き方。「自分らしさ」が人生から消えることはない

子どもが産まれたら、孫が産まれたら、私たちはこれまで生きてきた人生を投げ捨てて、その子のためにこれからの時間を捧げる――これまで美談として語られてきたこの生き方、本当に正解なのでしょうか。

そんな疑問にバッサリと斬り込み、「なぜ孫が生まれたからって自分の人生を諦めないといけないの」「私たち、もっとワガママにいきましょうよ!」そんな自由な生き方を提案した本が『子や孫にしばられない生き方』です。


今回は、『子や孫にしばられない生き方』の著者である河村都(かわむら・みやこ)さんに、その強さの裏側にあるもの、そして「自分らしく生きるコツ」を探るべく、お話を伺いました。

『子や孫にしばられない生き方』2017年7月13日,産業編集センター 刊

吉祥寺のオフィスで出迎えてくれたのは、華やかにセットされたヘアスタイルとくっきり施されたメイク、体型を隠さないタイトなファッションに身を包んだひとりの女性。

「高齢者」という言葉がまったく似つかわしくないそのオーラに、わずかに緊張感が走りました。「自分をまだ全然諦めていないの」と言い放つ、その潔さを深堀しました。 

■父と母の関係に疑問を持っていた幼少期

——『子や孫にしばられない生き方』を執筆されて、その後反応はいかがでしたか?

実際に本を読んでくださった方からは「すごく共感できます」という意見が多かったですね。でもネットの世界では一部で炎上していたみたいですが(苦笑)。

——炎上! 失礼かもしれませんが、70歳を過ぎて世間を炎上させてしまうなんてすごいです。

ふふふ。きっと本のタイトルだけ見て反応してしまったんでしょうね。「孫の面倒も見ないなんてひどいババアだ」とか、「自分の老後、痛い目にあうぞ」とかね。

本を読めば、私と娘がどんな風に生きてきて、この距離の取り方がいかに自然なことかを理解してもらえると思うんだけれど。

河村都さん

でも私は全然気にしていませんよ。それだけ家族の関係性やコミュニケーションのとり方という問題に、世間が関心を寄せているテーマなんだな、と改めて確信しました。

——そもそもですが、この本を上梓されるにあたってどんな気持ちがあったのでしょうか。

私には“都”という名前がちゃんとあるのに、孫が生まれた途端に「おばあちゃん」というレッテルを貼られたことにすごく抵抗があったんです。孫育てこそが余生の幸せっていう世間のイメージがあるけれど、そんなのは綺麗事。これから先、どれだけ生きられるかわからないなら、本当に生きがいを感じられることに情熱を注ぎたいじゃないですか。

——そんな隠れた社会の問題に声をあげられた河村さんの勇気、とても格好がいいと感じます。

勇気というか……、私は小さい頃から、いろいろなことに問題意識を持つ子どもだったんです。特に両親の夫婦関係に関しては、すごく反発する気持ちが強かった。父は俳人という仕事を生業にしていて、家には、よく言えばいつでも文学的な空気が流れていました。

——文学的な空気……。具体的にはどんなご家庭だったんですか?

父は外でも家でも「先生」であり続けた人でした。一般的な父親に比べ鋭い観察眼を持ち、家族の行動にもとても厳しかった。父が笑うなら家族も笑い、悲しむならみんなも悲しむべき。そして母は率先してそんな父を支え続けた人だったんです。

私の眼に、そんな母は従順すぎるように映っていました。将来こうはなりたくない。そんな強い反骨精神が、その後の生き方に影響していったと思います。

■摩擦の生まれない仕事はない。受け入れる勇気を持つ

小学校の頃にはもう、学校という世界の矛盾点に声をあげていました。ひとりの生徒だけを「ちゃん」づけで呼び、ひいきをする担任教師に納得できず、校長先生もとへ走り、「すぐに担任を変えてください」と直談判しに行きました。

後に担任が「僕の悪口を校長先生に行った生徒がいる。そういうことはやめなさい」とみんなの前で言ったときに、どうして私を呼んで直接言わないの? って思いましたね。

——何かに疑問や抵抗感をおぼえたとしても、それをはっきりと声に出せる人はなかなかいないと思います。職場なんかでは特にそうですよね。

私も長いこと会社勤めをしましたけど、みんな群れるのよね。それがとっても不思議でした。会社って仕事をしに来る場所なので、もともとは孤独な場所なんですよ。

それに、今の人なんて特に、頭がいいあまり察するのが上手すぎる。上司にプロジェクトなんかで意見したいことがあっても、「今は機嫌が悪そうだからやめておこう」とかね。もちろん嫌われない関係を築ければそれが一番だけれど、恐れるあまり自分を殺す必要はないのよ。

——とても身につまされます……。

仕事って、率直に言わないと本来成り立たないものなんですよ。もしそこで摩擦が生まれたとしても、自分で受け入れること。守ってばかりの人生で終わらせちゃいけない。

私は、お給料の半分は嫌なことも受け入れる対価だと思っています。残りの半分は、自分が頑張ったことへのご褒美。

仕事への向き合い方って、人の生き方が一番現れるでしょ。適当に安泰に済ませる人、熱心に食らいつく人。全部見えちゃうのよ。

——河村さんの摩擦を顧みず挑んでいくポジティブな姿にとても憧れますが、平凡な会社員としては少し難しいかな、と感じることもあります。

私だって根っからのポジティブってわけじゃない。もともと天真爛漫な性格でもない。

ただ、仕事に手を抜くのも抜かれるのも嫌だ、という考えが根底にあるんです。そのためにどういうアクションが必要なのか、と考えた結果がこの生き方。

言いたい放題なんでも言っているわけじゃない。絶対に相手の人格を否定することは言わないし、努力して明るく振る舞うようにしているところもあるんですよ。

■形が変わるところに、人生の面白さはある

——その積み重ねが、河村さんの「自分らしさ」に繋がっているんですね。自分らしさって、ライフステージの変化や人生のいろいろな局面で揺らぎがちだと思うんですが、どうすればいつでも自分らしくいられるのでしょうか。

自分らしさが、環境の変化でその都度変わるものだとは思わないですね。

たとえどんな環境にいたとしても、自分らしさって絶対になくなりはしない。例えば、結婚して妻になる。もしくは子ども産んで母になる。「妻」とか「母」みたいな肩書きができるわけだけど、その役割を背負った瞬間に、これまでひとりの女性として生きてきた「あなた」という存在がなくなるわけじゃない。

この世に産まれてから今に至るまで意識的に積み重ねてきた「自分らしさ」というものが、肩書きや役割によって消されてしまうことはないはずなんです。

——意識的に、というところがポイントですね。

そう。自分が将来どんな環境でどんな人生を歩んでいきたいかということは、常に自問自答し続けなきゃだめ。私は小学生からそれを積み重ねてきたけれど、やっぱりできる限り早いうちから考えておけば、きっと将来役に立つ。

そうやって生きていけば、どんな選択をしたとしても大丈夫。だって人生の面白さって、変わっていくところにあると思いますから。

——とても勇気づけられました! 河村さんが、70歳を過ぎても生き生きと過ごされている原動力ってなんなのでしょう。

なんでも楽しむことかなって思います。私は最愛の夫を65歳で亡くしたんですけど、周りの人が言うに私は「葬儀ですら楽しもうとしていた」らしいんです(笑)。慎ましい喪主になるのはやめて、いつも通りの真っ赤なマニキュアを塗って、マイクを持って。きっとその方が夫も私も楽しいと思えたからでしょうね。

楽しさって、人から与えられるものじゃなくて、自分で作っていくものなんです。人から与えてもらおうと思っていると、愚痴と不満しか残らない人生になっちゃうでしょ。あなた達も人生、もっと楽しんで生きていきましょう。

(編集後記)

後半では、筆者の身の上相談の様相を呈してきた今回のお話。

悩める筆者に向けて「自分らしさとは、長い年月をかけて耕した土地のようなもの。ライフステージの変化によって変わるようなものではないのよ」ときっぱりと叱咤激励いただきました。

常に自問自答して生きること。

そして自分から楽しみを見つけること。

いつか河村さんのように、悩める若者に生きる勇気を与えられる存在になりたいと思わせられたインタビューとなりました。

取材・Text/波多野友子
Photo/小林航平

河村都プロフィール

東京都出身。原宿東郷幼稚園教諭勤務。NHK番組「おかあさんといっしょ」の「うごけぼくのえ」コーナーのお姉さんとしてレギュラー出演。その後、洗足学園短期大学にて『表現教育』の非常勤講師を務める。また、知育情操教室「こどもの部屋」主任講師、企業において、人材教育およびクレーム対応責任者として24年間にわたり勤務。2007年4月、オフィスカワムラを設立。幼稚園・保育園の教員研修、保護者向け講演、知育教材指導、子育てカウンセリング、コンサルティング等幼児教育現場において幅広く活動。
最近では、双子の孫の誕生、娘夫婦との同居という自身の経験を活かし、プレシニア・シニア世代向けアドバイザーとしても活躍中。

河村都さん新著『ハッピーシニアの参考書』が刊行

ハッピーシニアの参考書

今回発売の新著は、シニア世代のみならず、40代以降のプレシニア世代向けの〝ミヤコ流シニア世代の準備書“でもあります。老後はもっとハッピーでいなくっちゃ! 「脱・孫ブルー」の著者が、人生を前向きに生きられる“考え方”の秘訣を紹介します。

6月特集「聞かせて、先輩」

https://p-dress.jp/articles/6911

6月特集は「聞かせて、先輩」。自分らしくありたい。自分らしく生きたい。でも、周りの目が気になることもある。そんな方に届けたいのが、自分なりのモノサシを持って、わが道を切り拓いてきた人生の先輩たちのお話。自分が目指す生き方を貫くヒントを探ります。

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DRESS編集部

人生を自分らしく楽しむ大人の女性たちに、多様な生き方や選択肢を提案します。

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