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パルムドール受賞! 『万引き家族』は是枝作品初心者にもオススメ 古川ケイの「映画は、微笑む。」#53

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第71回カンヌ国際映画祭において、日本人監督作品としては21年ぶりに最高賞であるパルムドールを獲得した、是枝裕和監督の『万引き家族』。それぞれに秘密を抱えた、祖母・父・母・母の妹、そして息子と娘の6人。家族の繋がりが叫ばれる現代に、血ではなく、犯罪でしか繋がれなかった家族の姿を描き、あらためて絆とは何かを問いかけます。

パルムドール受賞! 『万引き家族』は是枝作品初心者にもオススメ 古川ケイの「映画は、微笑む。」#53

◼︎日本人21年ぶりのパルムドール!

DRESS読者のみなさん、こんにちは。

今回みなさんにご紹介したいのは、日本人監督作品としては、1997年の今村昌平(いまむら・しょうへい)監督『うなぎ』以来、21年ぶりにカンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールを獲得した是枝裕和(これえだ・ひろかず)監督の『万引き家族』です。

1995年『幻の光』でデビューした是枝監督は、2004年、事件報道で断罪された家族の内側を描いた『誰も知らない』で、主演の柳楽優弥に史上最年少および、日本人として初めてのカンヌ国際映画祭・最優秀主演男優賞をもたらしました。

2013年の『そして父になる』で子どもを取り違えられた夫婦を、2015年の『海街diary』では腹違いの姉妹を、2016年の『海よりもまだ深く』では離婚した夫婦とその子どもなど……さまざまな家族の形を描き続けてきた是枝監督。

本作で描くのは、祖母の年金を頼りに、足りない生活品は万引きで賄う、とある家族の姿です。

◼︎『万引き家族』のストーリー

高層マンションの谷間にポツンと取り残された平屋で暮らす5人の家族。

祖母の初枝(樹木希林)、父の治(リリー・フランキー)、妻の信代(安藤サクラ)、息子の祥太(城桧吏)、そして信代の妹の亜紀(松岡茉優)は身を寄せ合って暮らしていた。

ある日、街角のスーパーで、鮮やかな連携プレーで万引きをした治と祥太は、帰り道にある団地で凍えている小さな女の子(佐々木みゆ)を見つける。

母親に部屋から締め出されたらしいその様子を以前にも見かけていた治は、その女の子を家に連れて帰ることにするのだった。

その日の深夜。
自分の名前を「ゆり」と答えたその女の子を、団地まで送り届けようとした治と信代だったが、ゆりの両親が罵り合う声を聞いてしまう。「産みたくて産んだわけじゃない」という言葉を聞いたふたりは、ゆりを残して帰ることができなかった。

季節は流れ、春。

「荒川区で5歳の女の子が行方不明」というニュースが流れ、行方不明の「じゅり」ちゃんが、「ゆり」だと知った家族は、彼女の呼び名を「りん」に変える。

「りん」として生きることを選んだ少女を加え、ゆっくりと、確かな絆で結ばれていく家族だったが、ある事件をきっかけにそれぞれに抱えてきた秘密が暴かれることとなり……。

◼︎是枝作品の常連キャスト×新キャスト

『そして父になる』以来、これまで三度是枝作品に出演してきたリリー・フランキーはもちろん、6作目の是枝作品出演となったベテラン女優・樹木希林の深みのある演技は必見です。

祖母・初枝を演じるにあたり、「その方が気持ちが悪い」という理由で、普段よりも髪を伸ばし、入れ歯を外すという役作りを行っています。

また、初の是枝作品参加となった母の信代に扮した安藤サクラ、信代の妹・亜紀に扮した松岡茉優、そしてオーディションによって選ばれた子役のふたりが、絶妙なバランスで「犯罪でしかつながれなかった」家族にリアリティを与えています。

◼︎「犯罪でしかつながれなかった」

すでに死亡している親の年金を、家族が不正に受給していた事件を知ったことが、本作を作るきっかけになったという是枝監督。

まずはじめに思いついたのは、「犯罪でしかつながれなかった」というキャッチコピーだったそうです。

家族のつながりに根底にあるものは、果たして”血”なのかどうか。

2013年の『そして父になる』、2015年の『海街diary』などの作品で、家族のつながりに大切なのは血なのか? 一緒に過ごした時間なのか? という問いかけを提示した監督が、血ではなく犯罪でつながった家族の姿を描き、あらためて絆とは何かを問い直します。

これまで是枝作品を観たことがない方にとっても、是枝作品のエッセンスがすべて詰まっている本作。パルムドールを受賞し話題となっている『万引き家族』は是枝作品の最初の一本としてもオススメです。

震災以降、家族の絆が叫ばれ続けている中、あらためて家族のつながりについて考えてみませんか?

『万引き家族』は6月8日より全国で公開されています。

◼︎『万引き家族』公開情報

『万引き家族』
6月8日 TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー
監督・脚本:是枝裕和
出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、高良健吾、池脇千鶴、樹木希林
配給:ギャガ
上映時間:121分
公式サイト:http://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/
©2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

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古川 ケイ

映画ライター。新作映画情報サイト「木曜日のシネマ」運営。 大学卒業後、インディペンデント系映画配給会社に入社し、映画業界誌の編集・ライター業務に従事したのち、宣伝部にて洋・邦映画作品の宣伝を手がける。その後テーマパーク運営...

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