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イタリアファッションの歴史を見れる回顧展「イタリアーナ」~ミラノ通信#28

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ミラノで2月末から5月はじめにかけて開催される歴史的な回顧展「イタリアーナ」をご存知でしょうか。イタリアファッションは、素材の良さ、そして手の込んだ刺繍を始め手作業による職人技が抜きん出ています。

イタリアファッションの歴史を見れる回顧展「イタリアーナ」~ミラノ通信#28

■60周年の歴史的なファッション回顧展

この春、ミラノで「イタリアーナ1971-2001(ITALIANA L’Italia vista dalla moda)」という、イタリアファッションの回顧展が2月末から5月初めまで開催されました。

モードといえばパリ、しかもオートクチュールだった時代からプレタポルテへと移り、70年代にはファッションの多様化を迎え、70〜80年代にはパリに対抗するようにミラノやニューヨークファッションが急成長します。

その輝かしい歴史と、イタリアファッション全盛期を支えた1971年から2001年までの貴重なアーカイブ、130ピースの展示は、まさに圧巻でした。

今年60周年を迎えたイタリアモーダ財団と、ミラノ市による主催、会場はドゥオーモ広場に隣接する、「王宮(Palazzo Reale)」です。

ここでは常時いくつかの展示会が開催されています。広々とした大理石の階段を上って2階の入り口にたどり着くと、堂々たる佇まい、天井もとびきり高く、壁の装飾から天井に残るフレスコ画など、ため息の出る美しさ。

Duomo広場にある王宮、Palazzo Reale

エントランスへと続く階段

驚くほどの天井高、シャンデリアやフレスコ画、今では鈍い金色に変わり歴史の凄みを感じさせる豪華な装飾の部屋に、パリ一辺倒だったファッションの流れを変え、一世を風靡したイタリアファッションが展示されます。

なんて贅沢な空間!
最初の部屋に足を踏み入れた瞬間、感嘆のあまり息を飲みました。

この素晴らしさは、言葉よりも画像でお伝えする方が良さそうです。
写真ごとに説明をつけているので、まずはその華麗なアーカイブをご覧ください。

最初の展示室、天井が高く、室内の装飾も豪華絢爛

右、ゴールドメタルワンピース ジャンニ・ヴェルサーチ(Gianni Versace) 1982春夏コレクション、中 パンツスーツ ジョルジョ・アルマーニ(Giorgio Armani )1987〜88秋冬コレクション

左、レザージャケット ジャンフランコ・フェレ(Gianfranco Ferre) 1985〜86秋冬コレクション、中パンツスーツ、右ベルベットスーツ グッチ(GUCCI)1996〜97秋冬コレクション

ビジュー付きチュールのBodyにシルクシャンタンスカート ジャンフランコ・フェレ(Gianfranco Ferre)1991春夏コレクション

メタリック生地で作ったローズ付きベルベットケープ ロメオ・ジリ(Romeo Gigli)1989〜90秋冬コレクション

左、スパンコール刺繍のドレス ケン・スコット(Ken Scott)1973、右、Tシャツとアニマル柄スカート ジャンニ・ヴェルサーチ(Gianni Versace) 1996春夏コレクション

シルクプリントパンツに手の込んだ刺繍で飾られたフープスカート ジョルジョ・アルマーニ(Giorgio Armani)1994春夏コレクション

■歴史の中で生まれた現代の有名ブランド

イタリアファッションの台頭は、1970年代からいっきに大躍進。背景にはファッションの多様化があります。

それまでは、ディオールのニュールック、クレージュのミニスカートなど、シーズンごとのトレンドが主流で、デザイナーがそれぞれのコレクションを発表、その時代を代表するスタイルが確立していました。

70年代に入ると、高田賢三がフォークロアファッション、民族衣装をモチーフにしたファッションを発表、カルバンクライン(Calvin Klein)はジーンズを取り上げるなど、型にとらわれない多様化が進みます。

カスタマーが自由に選んで着る時代の到来です。

その流れでミラノとニューヨークのファッションは急成長、イタリアモーダを牽引したのが、ジョルジョ・アルマーニ、ジャンフランコ・フェレ、ジャンニ・ヴェルサーチの御三家でした。

上の写真を見てもわかるように、イタリアファッションは、素材の良さ、そして手の込んだ刺繍を始め手作業による職人技が抜きん出ています。

デザインにおいても、従来の発想を覆すことに成功。

アルマーニは、レディースの柔らかさをメンズに取り入れ、メンズの機能性をレディースウエアに展開。ヴェルサーチは金色のメドゥーサをシンボルマークに、大きな柄や派手な色使いが印象的な独自のラインを発表します。

また、アメリカ市場を見据えて、ハリウッドスターに着目。映画『アメリカンジゴロ』でリチャード・ギアにスーツを提供したアルマーニは、一躍有名になりました。アカデミー賞授与式にもスターに衣装を提供することによって、イタリアモーダは高級なイメージを確立します。

イタリア内部では、70年代〜80年代の初頭に、インテリアデザインの世界にファッションを融合させる、という試みがありました。

『Domus Moda』のページを再現<魅惑の部屋>

エットレ・ソットサス(Ettore Sottsass)デザインの家具とクリツィア(Krizia)の服

今では「ドムス(Domus)」といえばインテリアの建築雑誌やアカデミーをさしますが、かつては「ドムス・モーダ(Domus moda)」があったのです。

イタリアのインテリアとイタリアのファッションは、その融合により、相乗効果で共に発展したといえるでしょう。

素晴らしい生地を生産するイタリアだけに素材のクオリティーにこだわり、そこに独自の卓越したセンスと緻密な職人技で、次々とファンタジー溢れる作品を生み出していくイタリアモーダ。

質が高く、伝統と革新を上手にミックスさせ、実用性とセクシーさを兼ね備えたラインが次々と発表されていきます。

ファンタジー溢れるイタリアシリーズ、ナポリにヴェネツィアにフィレンツェ、フランコ・モスキーノ(Franco Moschino)1991〜1993

イタリアの輝く太陽に映える、鮮やかなカラーのコレクション

■想像力とセンスに溢れるイタリアファッション

御三家の他にも、創造力とセンスに溢れたデザイナーがキラ星のごとく出現。

サルデーニャからアントニオ・マラス(Antonio Marras)、シチリアからドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナのドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)、フィレンツェではチェーザレ・ファブリ(Cesare Fabbri)、フランコ・モスキーノ(Franco Moschino)などが華やかに登場しました。

また、ひと目でそのブランドとわかるロゴやデザインを採用。

天使の顔モチーフTシャツのフィオルッチ(Fiorucci)、ダウンのモンクレール(Moncler)、プルオーバーのベネトン(Benetton)、ゴム底デッキシューズのトッズ(Tod’s)、バゲットバッグのフェンディ(Fendi)、ナイロンリュックのプラダ(Prada)は今も受け継がれる定番です。

ロゴを全体に、あるいはワンポイントであしらったバッグ、シューズ、ジャケットなど

手前のマントはマックス・マーラ(Max Mara)1977〜78

右から、メンズコート、エルメネジルド・ゼニア(Ermenegildo Zegna)1971、今では生産されていない手の込んだツイードを使ったスーツ、カラガン(Callaghan)1983〜84秋冬コレクション、バイアスに裁断され自然な美しいボリュームを生み出すスカートとジャケットは、ジョルジョ・アルマーニ(Giorgio Armani)1978〜79、奥のプリーツスカートとカットソーはミウミウ(Miu Miu)1996〜97秋冬コレクション

日本の素材を用いて作られた、シャカシャカ素材のスカートはプラダによって世界的に大ブレイク。

独特なツヤとハリが特徴のこの生地はテッスート・シンテティコ(Tessuto Sintetico)と呼ばれ、この種の化繊といえば日本が最高だと有名になり、今も多くのメーカーで幅広く利用されています。

日本製の化学繊維で大ブレイク、プラダ(PRADA)のワンピース

美しさやセクシーさ、伝統と革新、そして遊びゴコロを忘れないのがイタリア流。
イタリアファッションの台頭とともに数々の傑作が生み出され、そのアーカイブは今も私たちを魅了します。

右コート、ミッソーニ(Missoni)1993〜94秋冬コレクション、左メンズ&レディース、ドルチェ&ガッバーナ(Dolce&Gabbana)1989メンズ、1992レディース

■巧みなマーケティングによるブランド戦略

2001年以降、近年になると、ブランド成功のキーはマーケティングという時代に突入しました。
品質やデザインだけでなく、トータルイメージ戦略を取り入れ、広告やショップイメージなどに重きを置く傾向に変わってきたのです。

その結果、クリエイティブ・ディレクターの存在が注目され、多くのブランドがこれを採用、現在ではこの呼称と存在が当たり前となっています。
大量生産から、流行を取り入れたものが安価で入手できるようになり、いわゆるファストファッションも大人気に。

イタリアならではの職人技でものを作ると、当然のことながら値段に反映します。
「売れる服を!」とビッググループに身売りするか、採算を考えずにやりたいことをやるか。

新たな時代を迎えて、イタリアモーダの世界も変化しています。イタリアならではのファンタジー溢れる美しさ、そしてその独特のセンスと遊びゴコロで、私たちを魅了し続けてほしいと願っています。

素晴らしいアーカイブに魅入る女性たち

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河見 恵子

日本航空で15年間、国際線客室乗務員として勤務。退職後はミラノに居住し、東京と往復する生活。ミラノ・ブレラ地区を中心に、身近な情報をブログやFBで発信。ミラノでは在イタリア日本人のために料理教室をオーガナイズ、開催。ワイン好...

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