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『レディ・バード』は母と娘の愛を描いた静かな感動作 古川ケイの「映画は、微笑む。」#52

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本年度アカデミー賞作品賞ノミネート9作品の最後の作品が、満を持して日本で公開されます。全米4館で限定公開されるや、口コミで話題を呼び1557館で拡大公開された『レディ・バード』。17歳の少女の揺れ動く心情を瑞々しくユーモアたっぷりに描き、米・映画レビューサイト”ロッテン・トマト”で映画批評家から大絶賛された傑作です。

『レディ・バード』は母と娘の愛を描いた静かな感動作 古川ケイの「映画は、微笑む。」#52

◼︎羽ばたけ、自分。

DRESS読者のみなさん、こんにちは。映画ライターの古川ケイです。

今回みなさんにご紹介したいのは、本年度のアカデミー作品賞ほか5部門にノミネートされた『レディ・バード』です。

これまで

スリー・ビルボード
シェイプ・オブ・ウォーター
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
君の名前で僕を呼んで
ファントム・スレッド

と、本年度のアカデミー作品賞にノミネートされた作品を多数ご紹介してまいりましたが、本作『レディ・バード』がノミネート9作品の中で、最後の日本公開作品となります

◼︎監督は新進気鋭のグレタ・ガーウィグ

本作の監督・脚本を務めたのは『フランシス・ハ』(2012)でゴールデン・グローブ主演女優賞にノミネートされ、『20センチュリー・ウーマン』(2016)でも各映画賞に多数ノミネートされた、現在34歳の若手個性派女優グレタ・ガーウィグです。

女優としてだけではなく、次世代クリエイターとして多彩な才能を発揮するグレタは、本作が単独監督デビュー作にも関わらず、アカデミー監督賞に紅一点でノミネートされ、さらには脚本賞にもダブルでノミネートされるという快挙を果たしました!

そんなグレタは、本作を「母親と娘の関係性を愛の物語として描いた」と語ります。

「ティーンエイジャーの女の子を取り上げた映画というのは、ある男の子を中心にストーリーが展開されていく場合がほとんど。(中略)でも、実際はそんなに簡単じゃない」

「私が知っている女性のほとんどが、ティーンエイジャーの頃、非常に美しく、とてつもなく複雑な関係性を母親との間に持っていた。(中略)私の知る限りでは、母親と娘の間の愛こそが一番深いと思う」

都会に憧れたり、恋や友情に悩んだりするティーンエイジャーの心情だけでなく、母と娘が相手と理解し合えないことに苦しみながらも、互いを思い合う様子がしっかりと描かれる本作は、グレタにとって「これこそがもっとも感動するラブ・ストーリー」とのこと。

母娘関係の集大成とも呼べる静かな感動のラストに、心が震えます。

◼︎『レディ・バード』のストーリー

2002年、カリフォルニア州のサクラメント。

失業して就職活動中の父ラリー。

看護師として家計を支える母マリオン。

近所のスーパーで働く養子の兄ミゲルとその恋人シェリーと5人で暮らしているクリスティン(シアーシャ・ローナン)は、自分を”レディ・バード”と名付け、周りの人間にもそう呼ばせていた

カトリック系高校で高校生活最後の年を迎えたクリスティンは、進学先を決めるため、母と大学見学に出かける。

だが、帰りの車中でクリスティンが「文化のあるニューヨークやニューハンプシャーの大学に進学したい」と言ったせいで、地元の大学に行かせたい母と大げんか。

癇癪を起こして車から飛び降りたクリスティンは右腕を骨折してしまうのだった。

そんなある日、クリスティンは高校のシスターに勧められ、親友のジュリーと一緒にミュージカルのオーディションを受けることになる。

そこで気になった好青年のダニーと親しくなったクリスティンは、高校のダンス・パーティーで踊った後にダニーとキスを交わし有頂天になるが……。

◼︎”レディ・バード”がとにかく可愛い!

主人公クリスティン(レディ・バード)を演じるのは、『つぐない』(2007年)でアカデミー助演女優賞、『ブルックリン』(2015年)でアカデミー主演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナンです。

若干24歳でありながら、本作でゴールデン・グローブ主演女優賞を受賞し、アカデミー主演女優賞にもノミネートされるなど、演技派女優としてハリウッドで活躍を続けているシアーシャは、本作でも素晴らしい演技を見せてくれます。

シアーシャ演じるクリスティンは、決してクラスの中でイケている女子ではありません。

母とケンカして車から飛び降りたり、骨折してしまった右腕のピンクのギブスに”くたばれママ”と書いたり、人気者グループの女の子に見栄を張ってしまったり、クールなバンドの美少年に憧れたり……。

そんな愛嬌たっぷりでどこか憎めないクリスティンを、シアーシャがチャーミングに演じます。

青春の輝きと痛みを知る人なら誰もが共感できる内容でありながら、ラストには驚くような感動を与えてくれる『レディ・バード』。

アカデミー作品の日本公開大トリを飾る本作の静かな感動を、ぜひスクリーンで味わってみませんか?

◼︎『レディ・バード』公開情報

『レディ・バード』
2018年6月1日(金)より、TOHO シネマズ シャンテ他にて全国ロ ードショー
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ、ルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメ
配給:東宝東和
上映時間:94分
公式サイト:http://ladybird-movie.jp
© 2017 InterActiveCorp Films, LLC./Merie Wallace, courtesy of A24

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古川 ケイ

映画ライター。新作映画情報サイト「木曜日のシネマ」運営。 大学卒業後、インディペンデント系映画配給会社に入社し、映画業界誌の編集・ライター業務に従事したのち、宣伝部にて洋・邦映画作品の宣伝を手がける。その後テーマパーク運営...

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