パラレルキャリアとは - 「副業禁止」なんて、禁止しませんか?

パラレルキャリアとは - 「副業禁止」なんて、禁止しませんか?

パラレルキャリアとは一体なんなのか? 安藤 美冬(あんどう みふゆ)さんの連載第4弾。「副業禁止」を"禁止"しようと投げかける彼女が、第二の人生の見つけ方として「パラレルキャリア」を提案。今回は「パラレルキャリア」という、新しいライフスタイルについてお話ししていただきました。


■2枚の名刺を持つ意味

今年の1月に発売された、「人生が変わる2枚目の名刺」(クロスメディア•パブリッシング)というビジネス書があります。

Facebookに友人が投稿していた書評を読んですぐにAmazonで注文。一見開きあたり一項目を紹介する構成がとても読みやすく、移動の合間を使ってあっという間に読了しました。

この本では読者に対して、「2枚目の名刺」を持つことを推奨しています。

すなわち、現在勤務している会社での肩書をつけた名刺のほかに、自分の好きなことや得意なことで「2枚目の名刺」をつくって活動しましょう、というメッセージです。巻末には、会社と社外活動の「二足のわらじ」を履いて、自分らしい働き方を実践する若者へのインタビューも掲載されています。

2枚目の名刺を持って活動するための準備や心構え、どんな効果があるのかなど、読者が具体的なイメージが湧きやすくなるような工夫が凝らされています。

■パラレルキャリアとは?

現代経営学の祖と言われるドラッカーは、自著の中で「パラレルキャリア」という概念を提唱しています。「パラレル(並行)キャリア」とは、端的に言えば本業と同時並行して他の仕事を手がけたり、非営利活動などに参加することを指した新しいライフスタイルのこと。

ドラッカーによると、近年では歴史上初めて、「組織の寿命を人間の寿命が上回った」ために、人類はこれまでのように一つの組織に頼らず、それとは別の「第二の人生」を追求することが必要になったと言うのです。

創業100年を超える長寿の会社が、世界的に見ても高い水準で存在する日本とは言え、それはごく少数の話。多くの会社の寿命が10年、下手すると5年とも叫ばれるようになってきました。こうなると、十数年前に説いたドラッカーの言説がいよいよ現実味を帯びてきます。実際に大学時代の友人の中には、リーマン・ショックの煽りを受けて勤務していた会社が倒産し、転職や独立を余儀なくされた人がいます。また、「サービス残業」のために、残業代が一円ももらえず悩んでいる人もいます。あるいは、使える経費が大幅にカットされたために、赤ちゃんが生まれたばかりだというのに、ポケットマネーを使って接待をしている人もいます。

このように、会社が倒産したり、労働者がリストラの憂き目に遭うだけでなく、まるで真綿で首を絞められるように、じわじわと家計が圧迫されていく暮らしを余儀なくされている人がたくさんいるのです。実際に、それを裏付けるデータがあります。「30代の年収がここ10年で200万円も下がった」という、内閣府の実態調査による衝撃的なデータです。もちろん、正規雇用者と非正規雇用者を分ければ、数字も異なってくるでしょうが、いずれにしても「年収がじわじわと下がっている」ことは断言しても良さそうです。

パラレルキャリア

■「ライフワーク」と「ライスワーク」

30代と言えば、『DRESS世代』も例外ではありませんが、暗い話が続いてしまったのでここで話を冒頭の「パラレルキャリア」に戻します。

『DRESS』を読んでいるみなさんには、おそらく本業がおありだと思います。その本業を、「ごはんを食べていくための”ライスワーク”」と呼びます。そして、好きなことや得意なことで行う副業を、「人生を充実させるための”ライフワーク”」と呼びます。この、「ライスワーク」と「ライフワーク」の二軸で生きて行く戦略こそが、ドラッカーが提唱した「パラレルキャリア」の実践のかたちなのです。

(このあたりは、私が学長を務める『自分をつくる学校』のメイン講師でもあり、有名アーティストのマーケティングプランナーとして活躍される原尻淳一さんと、大手メディア企業の社員でありながら執筆活動、メディア出演、イベント運営など幅広く活動する千葉智之さんの共著『「キャリア未来地図」の描き方』に詳しいので、是非ご一読ください。)

会社が倒産してしまった。リストラに遭った。年収が下がった。ボーナスがカットされた……

こうした私たちを取り巻く「万が一」のためにできることは、貯金や節約や保険をかけることだけではありません。ディフェンス(防衛)ばかりでは気が滅入ってしまうというもの。どうせなら、面白いことを仕掛けていこうじゃありませんか。

■「パラレルキャリア」を手に入れるために

「パラレルキャリア」への一歩として、以下のことをおすすめします。

・個人名刺を持つ
・週末の空いた時間を使って、ボランティアやプロボノ(スキルをNPOなどの団体に無償提供する)
・「読書会」などテーマを決めて社内や社外で勉強会を開く
・ブログ、ツイッター、フェイスブックなど「自分メディア」を開設する
・プロフィール写真を用意する
・得意なことやスキルを棚卸しする
・好きなことを明確にする
・既にパラレルキャリアを実践している人、副業を持っている人の話を聞く
・就業規則を読みこみ、副業規定について確認する。報酬を得る副業がNGであれば、上司に相談するか、無償の副業などやり方を考える


会社にただしがみつくのではなく、独立心を持って仕事に取り組む人たちが増えたら、日本はもっと面白く、元気になると私は考えています。

■「副業禁止」を禁止しよう

何より、こうした具体的なアクションを起こしていくバイタリティのある社員というのは、会社にとっても魅力的な存在のはずです。でもその動きを阻むのは「副業禁止」というルール。

日本の労働者の8割が会社員であり、彼らが勤務する会社の多くは副業を認めていません。しかしながら、大手メーカーをはじめとする企業が、終業後の時間であれば、本業に支障をきたさないという条件付きで副業を認めはじめてもいます。会社にとっても安定して雇用し続けるのが厳しいからとは言え、そうした事情を鑑みても、確実に多様な働き方の萌芽が芽生えはじめているのです。

私は、副業を禁止する日本の会社に対して「NO!」です。

雇用者に対して安定的な収入やポジションを約束できないのは時代の流れ。それであれば、雇用者を縛り付けるのではなく、対等な関係としてもっと雇用の流動性を高め、就業時間以外の時間を自由に使わせることが大事だと思います。

「副業禁止」なんて、禁止しませんか?

この記事のライター

フリーランサー、コラムニスト。1980年生まれ、東京育ち。(株)集英社で広告と書籍の宣伝業務を経て独立。組織に属さないフリーランスとして、ソーシャルメディアでの発信を駆使した肩書や専門領域にとらわ れない独自のワーク&ライフ...

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