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良い嘘と悪い嘘の違いって、なに? 社会の混乱を防ぐホワイトライ

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日常にあふれる「嘘」というコミュニケーション。今回は『「本心がわからないとき」に読む本』の著者である晴香葉子さんに、良い嘘と悪い嘘についての解説と、私たちの社会にとって、嘘が欠かせない理由をご紹介していきます。

良い嘘と悪い嘘の違いって、なに? 社会の混乱を防ぐホワイトライ

■良い嘘と悪い嘘の境界線は、どこにあるの?

歴史上では、トロイア戦争のトロイの木馬など、嘘を用いた戦術が武勇伝として後世に伝えられています。現代のビジネス小説にも、欺瞞術と言える営業戦術が度々登場しますよね。高い理想や目標、大義がある嘘ならば、良しとすべきなのでしょうか?

どのような嘘は受け入れて、どのような嘘は罰するべきなのでしょう……。

嘘の善悪については様々な考えがあり、一概には言えませんが、良い嘘と悪い嘘の境界線を考えるポイントとして、「誰のためか」「悪意の有無」というふたつの視点があります。

明らかな嘘を「真っ赤な嘘」と表現しますが、相手のことを思ってつく悪意の無い嘘を「ホワイトライ」と言います。反対に、自分のためにつく悪意のある嘘を「ブラックライ」と言います。詐欺などの犯罪行為や人を貶めるような嘘は、ブラックライに入ります。

相手のことを思ってつく善意からの嘘、ホワイトライの例を考えたときに思い浮かぶのは、映画『ライフ・イズ・ビューティフル」です。強制収容所の生活を不安がる息子に、父親が「これはゲームなんだ。いい子にしていたら戦車に乗ってお家へ帰れる」という嘘をつき続け、生きる希望を守り抜きます。

このようなホワイトライは、“罰する必要は無いだろう”と考えられるだけでなく、美しいと感じさせ、人々に感動を与えることもあります。

■人は全てをさらけ出すことに抵抗がある

自然界では、さほど大きな脳をもっていない昆虫や動物にも擬態やあざむき行動がみられます。嘘は生命にとっておそらく必要なものであり、人間の場合その多くは、社会で共感的に活動していく中で、自己防衛本能が起こすものです。

また人間は、進化のプロセスで、高度な嘘をつけるようにもなりましたが、同時に、相手を思いやる心や本質を見抜く力も磨いてきました。ある程度の嘘は「あるもの」として、時には思いやりをもってやり過ごし、時には厳しく追及する……、そのような判断ができる高度な力も、人間には備わっています。

もしも、人間全員が全く嘘をつけなくなってしまったら、おそらく社会は混乱するか、ぎすぎすとしたものになるでしょう。

顔認証システムの認証制度が99.99%を超える現代でも、たとえ世界中の犯罪をゼロにできるとしても、何もかもモニタリングできる装置を日本中に設置することや、自分自身に装着することに、抵抗感を抱く人は多いのではないかと思います。

私たち人間は、大きな後ろめたいことが何もない人であっても、どこか全てを知られたくない部分があり、事実そのままではなく、いいと思う程度に自己開示し、自分自身にも思い込ませることで、生きやすくなるのだと思います。

私たちが、心のバランスを保ち、社会生活を円滑に送っていくためには、ブラックライのリスクにはしっかりと注意を払い、ある程度のホワイトライについては、許容し合っていく必要もあるのでしょう。

「本心がわからない」ときに読む本

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晴香 葉子

作家・心理学者・心理コンサルタント。東京都出身。文学修士(コミュニケーション学)。早稲田大学オープンカレッジ講師。日心連「心理学検定」1級。テレビ、ラジオ、雑誌など、メディアでの心理解説実績多数。心理学・コミュニケーション学...

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