「占われるプロ」の婚活ストーリー【結婚は、本から学ぶ#9】
本連載の第9回では、42歳からの婚活で占いを活用し、運命のパートナーに巡り合った女性のコミックエッセイ『占いで結婚しました!』について書きました。 インド占星術を始めとして、さまざまな占いを駆使してパートナーを見つけようとする著者のストーリーの意外な結末にほっこりする一冊です。
目次
6年交際の彼に42歳の時に振られて始めた婚活
本書『占いで結婚しました』(イーストプレス刊,柏木珠希著, 深森あきイラスト)のストーリーは、42歳だった柏木さんが、当時6年間交際していた彼に、電話で
「結婚したい人がいるので別れてほしい」
と言われるところから始まります。
二股をかけられていたのか? と落ち込むも、「結婚していたらこんな目にはあわなかったかも」と気を取り直し、結婚に向けて活動を始めます。
そして、40代の婚活は厳しいというデータを前にして、統計学でもある占いを活用することを決意。
実は柏木さんは、フリーランスのライターとして占いポータルサイトの連載をしており、当たると評判の占い師150人以上に占ってもらった経験を持つ「占われるプロ」だったのです。
「占い婚活」の前哨戦
早速「占い婚活」開始!
と思いきや、手始めに彼女がとった行動は、
インターネットの結婚相手紹介サイトに登録することでした。
紹介サイトに登録するにあたってプロフィールに載せる顔写真が必要になり、スタジオで写真撮影。
それまで婚活とは無縁の生活をしていた柏木さんは、この機会にパーソナルカラー診断をしてもらい、服もスタイリストに選んでもらいました。
このように”女子力”を上げようとしたものの、柏木さんは「この時はまだ自分のことも、自分の好みのタイプも、なりたい未来もわかっていなかった」と回想しています。
30代の大半をひとりの人との交際で過ごしてきて、
その生活にすっかり落ち着いていたからとも言えるでしょう。
前の彼との突然の破局は、「そういえば自分はどんな人間だったんだっけ?」と問い直されるきっかけにもなったようです。
「占い婚活」から「婚活疲れを癒す占い」へ
柏木さんが「占いを婚活に活用しよう」と思ったのは、インド占星術の先生から「インド人はほとんどの人が結婚相手を選ぶときに占いを活用する」と聞いたことがきっかけでした。
早速自分もインド占星術を使って……と思ったものの、
相性が良い相手の生年月日を割り出すことは難しいと知り、「宿曜占星術」を勧められます。
インターネットの婚活サイトを使って、
その占いで相性が良いとされる相手とデートしてみますが、まったくうまくいかず……。
それでもめげずに、婚活サイトからの出会いで何人かと会いデートもしますが、そのうち婚活に疲れてしまうように。
この時点で、占いの役割は、「相手を探すため」よりも、「婚活疲れを癒すため」というものへのシフトしていったようです。
インドでは、同じカースト内でしか結婚ができない
「占い婚活」を始めて2年が経った頃――。
柏木さんは今まで出会ったカップルには何かしらの共通点があったことに気が付きました。
手広く探すよりも、自分の譲れない価値観やアイデンティティをもとに、
そういう人たちが集まっているコミュニティに身を置くほうが早道ではないか? と思い至ります。
「インドでは同じカースト内でしか結婚ができない」ということころから、「共通項のある自分だけのコミュニティ」を「マイカースト」と名付け、自分にとってのそれを模索し始めます。
その点に意識して婚活サイトをみてみたところ、共通点のある人が現れました。
無事に交際を開始したものの、その後もドラマが待っていて――。
婚活中に「大丈夫」と思えることは大事
ともすると独りよがりになったり、いい人に出会えなくて心が折れてしまうこともある婚活。
「占い婚活」で印象深かったのは、
婚活をしている間に、柏木さんの心のよりどころとして占いが機能していたことです。
以前、私の知り合いでも「占い師に『こういうタイプの人と出会う』と言われて、まったく自分ではマークしていなかった人に目を向けてみたら良い人に出会えた」と言っている人がいました。
占いを信じない人でも、
縁結びの神様がいるという神社にはお参りに行くことってありますよね。
また、パートナーであろうとなかろうと、自分の人生において大事な人というのは、いずれも「縁」があって出会っているのだと思います。
占いで相性の良い相手がわかったとしても、実際に行動するのは自分自身。そのときに、自分が「大丈夫」と感じることのできる、背中を押してくれる”何か”があれば私たちはきっと、素敵な縁につながることができるはず。
特に本書の後半部分は、
自分だけの力では無理なのでは……と思い始めている婚活女性におすすめです。