産む? 産まない? 子を持たない女性たちの声にふれたら、考えが揺れました

産む? 産まない? 子を持たない女性たちの声にふれたら、考えが揺れました

多くの女性が対峙する、子どもを産む・産まない問題。産んだ人の体験談はたくさん聞くけれど、産まなかった人の話って意外と聞かないような……? とふと思いました。子どもを持たない人生を送る女性たちのリアルな声を聞ける本『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』と出会い、考えたこと、感じたこと――。


■「子どもを持たなかった女性の話」を聞いたことはあるか?

「子どもを持った女性」の人生についての情報はたくさん入ってくる。

多くのママタレがテレビや雑誌で育児トークをしていて、ブログにも子育ての様子が日々綴られる。友人知人から子どもの話を聞くこともある。

一方で、「子どもを持たなかった女性」については、どうだろう? 

世の中には経緯こそ違えど、子どもを持たない女性は多いのに、実際に見聞きすることは少なく感じる。

それはなぜだろう?

■産まない人生は「マイナー」に見られやすい。でも、もっとリアルな情報が発信されてほしい

おそらく「子どもを持ってこそ幸せ」「子どもを持たない人はかわいそう」という風潮が世間で幅をきかせているからだ。子どもを持たないことは寂しいことだと思われがちだし、次世代の納税者を育てていないからと非難されることすらある。

そんな状況で、子どもを持たないことについて積極的に発信している女性は少ない。メディアで肯定的に大きく取り上げられることもそうなかった。

だから2016年に女優の山口智子さんが雑誌で、子どもを持たない人生について語ったとき、大きな反響を呼んだ。それだけインパクトのある出来事だったのだ。

でも産むも産まないも、当然ながら個人の自由だ。産まなかった人も産めなかった人も肩身が狭いと感じる必要はまったくないし、むしろ同世代・次世代の女性が自分の人生を幅広い視野で考えるには、彼女たちの言葉がとても大切だ。

自分の意思で産まなかった人、ほしかったけれど何らかの理由で産めなかった人、パートナーに巡り合わなかった人……。

子どもを持たない人生を送る女性が何をどう感じ、楽しみ、悩んでいるのか。子どもを持った女性についての情報と同じくらい世の中にたくさんあってほしい。

■「産まない」と決めていたはずなのに。子どもを持たない女性の心情を知って、心が揺れた

誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方

昨年12月に発売された『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』(くどうみやこ、主婦の友社)には、子どもを持たない女性が増えていることについての専門家の見解や、産まなかった女性のリアルな心情がまとめられている。

不妊治療がうまくいかなかった女性、晩婚の女性、仕事に没頭していた女性……産みたかったけれど授からなかったときの心情、産まない人生を選んだ心情、子どもがいないからこそ得られたこと、良いことも悪いことも、率直に書いてある印象だ。

私はかねてから夫婦ふたりの人生を送ろうと心を決めていた。持病で薬を飲む必要があること、体調が不安定な中、十分な子育てをする自信がないことなどが理由で、これまで夫婦でさんざん話し合って決めたことだ。

自分の中では割り切っていて、友達の子どもをSNSや年賀状で見たり、子育ての話を聞いたりしても、特にマイナスの感情が浮かぶこともない。はずだった。

それなのに、この本を読んでいて涙が止まらなくなった。

不妊治療をがんばってきたけれど、子どもを授かることができなかった女性が、当時のことを振り返っているくだりを読んでいたときだ。怖くてたまらなくなった。

子どもを産めなかった人の「悲しい」という心情を初めてリアルに直視したことによる、はっきりした恐怖だった。

産まない人生を送る。夫婦ふたりの暮らしが幸せだ。日々そんな風に感じていたはずなのに、その女性の振り返りを読んでいたら、数年後の自分が今と同じように思えるかわからなくなってきた。

いまはまだ33歳で、子どもを持とうと思えば持てるかもしれないから、冷静でいられるだけじゃないだろうか。いよいよ産めないかも知れない年齢になったら、辛くなるんじゃないだろうか。このまま「産まない」と決めたまま年齢を重ねていって本当にいいんだろうか。

そんな思いと焦りが一気に溢れてきてしまった。

とはいえ結局、その後また夫と話し合い、改めて我が家はふたりでいよう、と決めた。

もしかしたら十年後に、「子どもほしかったな」と思う瞬間が来るかもしれないが、散々考え尽くしていればいるほど、きっと納得できると思う。

■時間は巻き戻せない。だから腰を据えてリアルに考えたい

心が揺れると辛い。「こんな本、読まなければ良かった……」と落ち込んだ時期もあったが、やはり読んで正解だったと思う。

結局同じ結論が出たとはいえ、新しい情報を踏まえて再度考えたことに意味がある。

なにかを選択するときには、いいことも悪いこともリアルな情報があったほうがいい。現実を直視した上で、しっかり考えたほうが、前向きに進めるし後悔もきっと少ない。ましてや「産む」「産まない」の引き返せない選択ならなおさらだ。

この本を読んで、すぐに答えや解決策が得られるわけではない。

でも女性がこれからの人生を考えるにあたって、考えるきっかけや材料、ヒントになることが詰まっていると思う。産みたい人も、産みたくない人も、迷っている人も一度この本と向き合ってみてほしい。

この記事のライター

ライター、コラムニスト。1984年生まれ。東大法学部卒。外資系IT企業勤務、教授秘書職を経て、現在は執筆活動をしながら夫と二人暮らし。 好きなものは週末のワイン、夢中になれる本とドラマ、ふなっしー。マッサージともふもふのガ...

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