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疲れたときにおすすめな、松浦弥太郎さんの本『孤独を生きる言葉』【積読を崩す夜 #17】

【積読を崩す夜】17回目は、『孤独を生きる言葉』をご紹介します。人気エッセイストの松浦弥太郎さんによる書き下ろし箴言集です。『DRESS』1月特集は「疲れない出会い」。新しい出会いや人づきあいに疲れて、心が折れそうになったとき、その言葉はそっと寄り添ってくれます。

疲れたときにおすすめな、松浦弥太郎さんの本『孤独を生きる言葉』【積読を崩す夜 #17】

■松浦弥太郎さんの本『孤独を生きる言葉』が疲れたときにおすすめ

積んであるあの本が、私を待っている……。少し早く帰れそうな夜、DRESS世代に、じっくりと読み進めてほしい本をご紹介する連載【積読を崩す夜】。

17回目は、『孤独を生きる言葉』(著:松浦弥太郎)を取り上げます。

DRESS1月特集は「疲れない出会い」

どんなときも“だいじょうぶ”になれる150の言葉を通じて、新しい出会いとの向き合い方や、人間関係に疲れたときの心の保ち方を学びます。

■壊れてからがはじまり

壊れてからがはじまり。

絶対に壊れないものはありません。
絶対の絆もありません。
どんなに大切にしていても、壊れてしまうことはあります。
しかし、そこであきらめてはなりません。
「もうだめだ」と、捨ててしまってはいけません。

(8ページより引用)

人との関係性や、自分自身の心。気づいたら、距離ができたり、ばらばらになってしまっていることがあります。

著者は、「壊れてからがはじまり」であるといいます。壊れたかけらを一つひとつ拾い集めて、根気強くじっくりと直していく。

ほころびを丁寧に時間をかけて繕っていくことで、今までにない新しい人づきあいや、自分自身が生まれてくるのかもしれません。目の見える形あるモノも、目に見えない関係性や心も、きっと同じでしょう。

別のページで著者は、「自分のきほん」をつくる大切さについて語っています。いろいろな経験をして、知恵を得て。

しかし、ふと我に返るような、途方に暮れるような気持ちになることが誰しもあるものです。何があっても、自分の真ん中に「自分のきほん」があれば、そこが帰る場所になっていく。

「壊れてからがはじまり」。あわてずに、悲観しすぎずに、「自分のきほん」に立ち返りつつ、壊れたものをゆっくりと修復していきたいもの。

■大人になるとは、孤独を受け入れること

大人になるとは孤独を受け入れること。

この世の中にたった一人で立ち尽くしているような、たまらない孤独感におそわれることがあります。
たくさん予定を入れて友人と会っても、埋まらない。
家族や大切な人がそばにいてくれても、消えない。
仕事の忙しさでまぎらわそうとしても、孤独はどこかにいってくれません。

(115ページより引用)

大人になればなるほど、くっきりと強く孤独を感じることがあります。不安とは違う種類の深い感覚に、ふと戸惑うことさえ、あるものです。

孤独が消えてなくならない理由について著者は、「孤独であることが大人の条件」であるからといいます。本当の大人であれば、孤独を感じることは当然なのかもしれません。

だとしたら、私たちは孤独を受け入れるより仕方がありません。

別のページで著者は、「個として個とつながる」考え方について語っています。人間の単位は1であり、ひとりはたしかにさびしい。逆にいえば、孤独を受け入れる人だけが、個として生きる誰かと質の高いつながりを持つことができるというのです。

孤独というものは、人が生きていくうえでの絶対条件。それと同時に、孤独そのものを受け入れれば、かえって上質な人間関係を築くことができる、とても重要なものでもあります。

■「なにごとも腹八分目」をルールに

ごちそうを前にしたら、満腹になる少し手前で箸を置きましょう。
夢中になってしまう趣味に取り組むときも、少し余白を残して手を休めることにしましょう。
仲のいい友だちや恋人、家族とも親しい仲にも礼儀を忘れずにいましょう。
なにごとも、腹八分目。

(153ページより引用)

新しい出会いを求めたり、親しい人との関係性を深めたりしようとして一生懸命になりすぎると、かえってうまくいかないことがあります。著者は、「なにごとも腹八分目」の大事さについて語っています。

満腹になる手前でとめる余裕は、たしかに必要なのかもしれません。お気に入りのものや、良好な関係性を持続するには、そのくらいの分量を大切にするところにありそうです。

別のページで著者は、「生かしあう」という言葉を信じることについて語っています。自分を生かしてほしいのなら、まず相手を生かす。

自分の思いや考えが強すぎると、相手のことなどお構いなしになってしまい、気がついたら距離ができてしまっている、というのはよくある話です。だからこそ、相手を生かし、自分も生かしてもらう。

しかし、「生かしあう」にも、自分自身に多少の余裕がないと、そのように考えられないことが往々にしてあります。だからこその「なにごとも腹八分目」。

新しい出会いや人づきあいに疲れたときには、ふと立ち止まって。自分の原点に帰る言葉にしていきたいものです。

著者 松浦弥太郎さんプロフィール

1965年、東京生まれ。前『暮しの手帖』編集長、「COW BOOKS」代表。2015年3月『暮しの手帖』編集長を自ら辞し、クックパッドに入社。2016年12月、クックパッドを退社。

ナカセコ エミコ

(株)FILAGE(フィラージュ)代表。書評家/絵本作家/ブックコーディネーター。女性のキャリア・ライフスタイルを中心とした書評と絵本の執筆、選書を行っています。「働く女性のための選書サービス」“季節の本屋さん”を運営中。 ...

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