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【誰でもできる、本業で社会貢献】#3 自分が支援できる社会問題の見つけ方

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「誰でもできる、普段の仕事を通じた社会貢献」について解説する連載【誰でもできる、本業で社会貢献】第3回目では、数ある社会問題のどれを自分のミッションにしたらいいか、そのヒントを見ていきます。

【誰でもできる、本業で社会貢献】#3 自分が支援できる社会問題の見つけ方

■ぼんやりした「社会問題」の正体をつかむ

「社会問題」と聞いて、皆さんはどんなことが頭に浮かびますか。

「社会問題」と一口に言っても、その種類や解決方法はさまざま。しかし一般的なイメージは、やはりどうしてもニュースで見るような遠くの国で起こっている問題、または政府やNPOなど大きな力や豊富な資金を持つ誰かが解決すべき問題、に留まってしまいがちなのではないでしょうか。それゆえに、今ひとつ身近に感じられないと。

けれど、こうしてぼんやりとしたイメージで考えを止めてしまうと、いつまでも社会問題は自分ごとにならず、いざ本業で社会貢献といって何かやろうとしても誰に、何をするかのイメージが湧かない……こんな状態だと何かをやろうとしても長続きしなさそうです。

今回はこの「社会問題」の正体を突き止めて、手触り感のある言葉で語り、実際に行動を起こせるようになるまでの考え方を、一緒に見ていくことにしましょう。

■「社会問題」にはどんな種類があるの?

皆さんの知っている、または関心のある社会問題は何ですか? サイズの大小、深刻さの度合いは問いません。今手元に紙とペンがあれば、書き出してみてもいいかもしれませんね。

案外たくさん出たのではないでしょうか。モヤモヤとした「社会問題」も、考え始めてみると意外に細かく分かれることが実感できます。

例えば「貧困問題」と言っても、1種類ではないですよね。真っ先にイメージが浮かびそうなのは開発途上国の貧困かもしれませんが、最近では先進国の都市部でも貧困問題がクローズアップされています。

日本で言えば、ワーキングプアやシングルマザーの貧困もニュースでよく取り上げられますし、ホームレス問題も都市部の貧困に根差した社会問題。また、子どもの貧困も近年注目されている社会問題です。

例えばこんな切り分け方もできます

こうしてざっくりとでも整理できると、自分ができそうな支援方法がイメージできますよね。アフリカの貧困問題なら着なくなった洋服を寄付しよう、かもしれません。ホームレス問題なら、通勤途上で彼らが販売している雑誌を買ってみよう、かもしれない。

いずれにせよ、「社会問題」を抽象的な概念のまま頭の中にとどめておかず、イメージが湧くレベルにまで噛み砕いてこそ、具体的な実感値を持つことができるのです。こうした実感値が「私にはこれができるのかも」というアクションにつながっていくのです。

■企業版、「私に合った社会問題」の見つけ方

上記が社会問題を細分化した「個人版」だとすると、「企業版」(筆者の造語)もあります。CSR活動を取り入れながらも、本業とあまり関係ないために、活動が形骸化してしまうことも多い企業も、本音のところでは、実はどんな社会貢献ができるのかわからない、という思いがあるんじゃないでしょうか。

そんな「法人」の活動に向けてのヒントになりそうなものに、たとえば国連で採択された「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs)があります。

環境省ホームページより引用。

ここに挙がった社会問題解決に向けた目標は、環境など重なるものもありますが、17という多くの分野に分けられています。各分野には合計で169(!)という数の、2030年までに達成目標が具体的に書かれているのです。

これが採択されたのは2015年。すべての目標を15年で達成しようというのですから、並々ならぬ気合いが入っています。

そして短く限られた時間であるためか、169の目標の多くは多くの人にとってわかりやすいように、とても具体的に書かれています。いくつか見てみましょう。

たとえば項目4の「質の高い教育をみんなに」では、「2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする」という項目があります。

聞いたことがある、と思う方もいるでしょう。日本は政府が主導して「SDGs推進本部」を設置して積極的に取り組もうとしていますから、これもSDGを意識してのことかもしれません。

また企業に特に関係ありそうな項目を探すと、項目12の「作る責任、使う責任」の部分に「特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する」というのもあります(*)。

CSRが日本企業の間で取り入れられるようになってから、そのアニュアルレポートには「弊社の社会貢献への取り組み」といったテーマに多くのページが割かれるようになったり、「サステイナビリティレポート」という独立したレポートを年に一度出す企業も増えてきました。

SDGの項目はこの流れを後押しするものでもあり、こうして具体的な目標を列挙すると企業としてもどんな社会貢献活動をすべきか、計画が立てやすいのではないかと思います。

実際、製品を使う以外にどういう事業活動で「本業で社会貢献」を実現するか、という話を前回「【誰でもできる、本業で社会貢献】#2 すぐできる4つの方法」でしましたが、SDGの目標を例にとりながら事業のどの部分でどんな活動をしているかをわかりやすく解説している会社も見られます。

例えばこんな感じです。
株式会社 横浜ゴムホームページより引用。

■社会問題解決プレーヤーとしての企業

そうか、次のブームはSDGか……ということが今回の結論ではありませんが、SDGをもう一度眺め直してみると、これって実は意外と企業が「取り組みやすい」達成目標が並んでいます。

裏を返すと国際組織も政府も、社会問題の解決には企業の力が欠かせないから、積極的に力を貸してほしいと思っている、ということ。

昔の社会問題は物資や資金を提供すれば解決できるような、現代と比べるとシンプルな問題が中心でした。けれど、今私たちが直面している問題は、さまざまな要因が複雑に重なり合って生じているものも多いです。単純に資金と物資を提供すれば解決するという問題は少ないといえます。

企業には技術力や研究開発力、ノウハウや情報収集力があります。そして与えられた予算を無駄遣いせずにプロジェクトを運営・経営する力も持っています。そうした能力や経営資源は国際機関や政府にはないものです。だからこそ企業は社会問題解決の担い手として今、注目を浴びているのです。

実際に企業の力が頼りにされているこんなケースがあります。皆さんご存知のコカ・コーラ。日本中と言わず世界中、どんな田舎に行っても自動販売機があり、どんな小さい商店でもあの赤い缶にお目にかかれます。

そんなコカ・コーラ社の配送網に目を付けたのがアフリカ政府とNPO。なんと、コカ・コーラ社の配送網に医薬品を載せて、医療サービスの行き届かない僻地に医薬品を届ける取り組みを始めたのです。これは政府やNPOだけで実現しようとすると莫大な資金がかりますし、そのために人手や移動手段も確保しなければなりません。けれど、コカ・コーラ社はすでにそのすべてを自前で持っていたのです。

これはコカ・コーラにとっても悪い話ではありません。商品の現地生産も行っている同社は、すでにアフリカでも有数の大手企業ですが、今後さらに成長すると見込まれているこの市場で、人々の健康向上のお手伝いをすれば、ブランド力向上にもつながります。そして、何より健康な人が増えれば、コカ・コーラのお客さんも増えるということなのです。

このように、政府やNPOといった非営利セクターは企業の持つ力に熱い視線を送り、「一緒に社会問題の解決をしましょうよ!」とラブコールを送っています。そして、企業で働く個人も「本業で社会貢献」をしたいと考える人が増えてきている――企業が本腰を入れて公益経営に乗り出す準備は整っています。

今回はコカ・コーラの事例で見ましたが、実際に日本ではどんな会社がそうした取り組みを実践しているのでしょうか。そのあたりを次回から見ていくことにしましょう。

*項目の日本語訳の出典: https://www.csr-today.biz/sdgs/17goals

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佐々木 希世

コミュニケーション設計士。10代からの10年を米国で過ごす。採用や転職支援、ビジネススクールでのプログラム開発や講師業務に従事し、社会人のキャリア形成や成長への支援をやりがいとしてきた。3年間イタリアに移住したことをきっかけ...

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