ミラノで今注目のイーストマーケットへ〜ミラノ通信#21
月に一度、第3日曜日にランブラーテ地区で開催されている、イーストマーケットをご存知でしょうか。洋服やレコードからおもちゃ、ポスター、インテリアまで玉石混交なラインナップは特に目的の品がなくても刺激的。ミラノ在住の河見恵子さんにレポートしていただきました。
■近年注目のエリア、ランブラーテ地区で開催されるイーストマーケット
最近ミラノで注目の、イーストマーケットをご存知でしょうか。月一度、第3日曜日に、ミラノ中心部から北東に位置する、「ランブラーテ地区(Lambrate)」で開催されます。
毎回多くの人々であふれ返っていると聞きながら、なかなか行く機会がなかったのですが。取材を兼ねて見学に行ってきました。
ランブラーテは、数年前まで何もなかったエリアで、どちらかといえば寂れた、少し危険な雰囲気の漂うところでした。
それが、2010年からミラノサローネで「ベントゥーラ・ランブラーテ(Ventura Lambrate)」として展示が行われるようになり、新興の若手デザイナーやデザイン学校の生徒などの展示を中心に注目を集めるエリアになりました。
ランブラーテの駅から徒歩10分、人通りの少ない駅前から、会場に近づくにつれ人も車もどんどん増えていきます。
目の前の通りは大渋滞、イタリア人お得意の歩道駐車、飲み物やサンドイッチ、栗などを売る屋台もちらほら。
ようやく到着すると、工場跡地(第二次世界大戦中は治金機械溶接工場だった)という会場は、門の外から多くの人々で賑わっていました。
イーストマーケット入り口、工場跡地だったのがよくわかる
■フードコートは、"ワインよりビール"な雰囲気
敷地に入るとすぐ、建物を囲むようにフードコートが設置されています。パニーノやホットドック、タパス、点心、ラーメンなど国際色豊かなファーストフードに、ビールやジュースなど飲み物の屋台が並び、一方には手作り感あふれる(というより木の箱など置いただけ)簡易テーブルと椅子が置いてあります。ここでは誰もが、ワインではなく、ビール! な雰囲気です。
フードコート。1日中、大勢の人々が集まっています
■マーケット会場は人の山
会場には受付のような場所がありますが、入場無料ということもあって受付は基本的に無人で、人気のインスタスポットのようです(扉写真)。
そこだけがややスペースがあり、あとは人、人、人の山! まっすぐ歩くのが困難、ましてや自分のペースでスタスタ歩くのは不可能。こんなにすごい人混みは、久しぶりでした。
何とかこの混雑ぶりを上から撮りたい、と思っていたら、非常階段を発見。展示ブースの人に許可をいただいて、といっても「何かあっても責任取れないよ〜」という返事でしたが、朽ちかけている螺旋階段を半ばまで上って撮影したのが、こちら。
上方から撮影、混雑を極めた会場、その1
■お宝からガラクタまで、玉石混交の品揃え
5000㎡の会場に、およそ900のスタンドが出店しているそうです。
洋服、小物、家具、インテリアグッズ、レコード、本、ポスター、おもちゃ、がらくた、綺麗なものから古びたものまで、なんでもアリな様子。
玉石混交、まさに宝探しのような雰囲気。目指すものが決まっている人は、物色する姿も真剣そのものです。
店が出品しているわけではないので、ほつれや痛み具合などは自分でよく見て確認します。中には、カビ臭さをチェックしているのか、鼻に当てて臭っている人も。
真剣に物色する人々、男も
女も
モデル風の美女も
カップルも
Gジャン専門店や懐かしのLPレコード専門店も数スタンドあり
家具やインテリア小物なども、キッチュで珍しいものが目立ちます。
昔懐かしいジュークボックスから、駅や映画館など公共の施設にあったような椅子、店舗や撮影に使っていた照明器具、街角やホテルに設置されていた電話、などなど、どこかで見たことがあるような懐かしいものもたくさん。
キッチュなものが目につく展示
店や公共施設にあったものも、大放出
ポスターや絵、本、看板。なぜか視力検査に使う表示板まで!
女性が喜ぶ服や小物、アクセサリー、バッグにボタン
コートが一律20ユーロ、ブラウス15ユーロなど、破格コーナーも。
若いモデル風の女の子をたくさん見かけましたが、みんな真剣に服を物色しているのが印象的でした。
子どもが喜ぶおもちゃやゲーム。ゲームコーナーは大人が占拠
照明や昔の電話機。電話に照明をつけたオブジェも
売り物にレアものが多ければ、売り子も個性的な人が多いのがイーストマーケット風。全般的に若い人が目につきましたが、中にはおじさま、おばあちゃままで。
訪れる客層も、若者中心ながら、こちらも老若男女いろいろ。「これ、何かしらねぇ〜」なんて楽しそうなおばあちゃんふたり組に、若いスタッフが懇切丁寧に説明しているシーンは、なんだかほのぼのします。
売り子も個性的
イマドキの流行? イタリアでもインスタグラムに自分を映り込みさせて自撮りするのが人気。インスタ映えするアングルを探して、自撮りに励む子も多数。
インスタ映えする背景で、自分撮影
■見ているだけでも刺激的なイーストマーケット
個人的に欲しいと思うものはなかったけれど、それでも見て回っているだけで、ワクワクするものがいっぱいで、なかなか楽しめるかも。イマジネーションを刺激する場所であることは確かです。
一番気になったワンピース、人通りがなかなか途切れず、ようやく撮れた1枚
かなりマニアックなものを熱心に見ている少女
こちらは少年たちがおばさまに説明しているところ
そうそう、着物のスタンドもありました。1枚80ユーロ、ヴィンテージ着物を集めてきたようで、色合いが綺麗でした。
着物を扱うスタンド、ほとんどがヴィンテージ着物
帰りがけに、スタンドで見かけた椅子を運んでいる男性ふたりに遭遇。いくらで買ったの? と聞いたら、160ユーロだったと。あとひとつあったよ、と親切に教えてくれました。
こんな椅子をさらっとインテリアに組み込めたら素敵ですね。
会場の外、購入した椅子を運ぶふたり組
月に一度、第3日曜日に開催のイーストマーケット、機会があれば、覗いてみてくださいね。次回は12月17日の開催です。
<EAST-MARKET Milano>
Via Priv.Giovanni Ventura,14
第3日曜日の10:00〜21:00
イーストマーケットは、今年の11月で3周年、まだまだ新しいマーケットながら、若者を中心に口コミで人気急上昇中。コンセプトは「誰もが買い、売り、交換できるマーケット」。ロンドンのイーストエリアの人気マーケットに習い、アンティーク、新しいもの、ヴィンテージ、セカンド・ハンド、興味ある古いコレクションなど、多岐に渡る品物を自由に売り買いしよう、という趣旨のもとスタートしました。サイトを見ると、エントリーシートもあり、気軽に出店できるシステムのようです。