彼がもっと素敵に見える。女性が押さえておきたい男性用スーツの常識
男性のスーツは200年以上、基本的な構造や形が変わらない歴史のある衣服です。そして男性の装いの世界には、女性よりも厳格なドレスコードがあります。パートナーである女性とスーツ選びをする男性も多いです。スーツの正しい知識を押さえて、ビジネスシーンにふさわしいスーツ選びをふたりでしてみてはいかがですか。
■パートナーだからこそ理解したい、男性の装いの基本
パートナーの男性のスーツを一緒に選ぶ女性は、意外と多いのではないでしょうか。
休日にセレクトショップやデパートの紳士服売り場を覗いてみると、店員さんがおすすめするスーツを試着しながら、「このシャツ似合うんじゃない?」「ストライプのネクタイも買ったら?」と女性がパートナーの男性にコーディネートをアドバイスしている光景を目にします。
私が既製服からオーダーメイドまでスーツの接客販売やフィッティングの仕事をしていた頃、コーディネートはパートナー頼りという男性が多いように感じていました。
そうすると必然的に、パートナーの女性側に男性のスーツの着こなしについての知識があるかどうかがカギになってきますよね。
男性はパートナーの女性によって大きく変わるものです(その逆もまた然りですが)。 ぜひ男性のスーツの着こなしの正しい知識を女性の皆さんにも知っていただけたらうれしく思います。
環境省による「スーパークールビズ」の導入などにより、男性のビジネススタイルも随分とカジュアル化してきてはいるものの、スーツ着用が必須のビジネスマンはまだまだ多いのが現状です。
驚くことに、男性のスーツは200年以上、基本的な構造や形が変わらない歴史のある衣服です。そして男性の装いの世界には、女性よりも厳格なドレスコードがあります。
これは、時と場を同じくする相手への気遣いの精神(=礼節)がベースになっているのです。ジャケット・シャツ・ネクタイ・パンツと男性の装いは一見シンプルに見えますが、シンプルだからこそ女性が思っているよりもはるかに奥が深いものなのです。
■黒いスーツは、本当は着てはいけない!?
就活生からミドルエイジまで、多くの日本人男性に定着している黒いビジネススーツ。無彩色である黒は有彩色の色味とケンカすることがないうえに、有彩色を引き立たせる効果があるため、とても合わせやすく感じます。しかし、実はビジネスシーンにおいて黒いスーツはタブーなのです。
男性の装いにおいて、黒はフォーマルな場でのみ着用する色です。フォーマルの装いには、正礼装・準礼装・略礼装と呼ばれる格式の違いがあります。
黒を用いるのは、正礼装のモーニングコート(昼)・テイルコート(夜)、準礼装のディレクターズスーツ(昼)・ディナージャケット(夜)、昼夜問わず準礼装として着用されるブラックスーツ(これは日本だけの慣習)です。つまり、黒は格式を重んじる場で装う色なのです。
なぜ黒になったのかというと、エスコートする女性のドレスを引き立たせるために、男性が無彩色の黒い服を着るようになったからだと言われています。しかも、黒でもビジネススーツで使われているような薄い黒ではなく、フォーマルではフォーマルブラック(濃染黒)と呼ばれる濃い黒がふさわしいとされています。
また、海外ではウェイター(給仕)が黒いスーツを着ることがあります。パーティーやレストランで黒スーツを着てうろついていたら、ウェイターに間違えられてもおかしくはありません。
西欧諸国で黒いスーツを着たら、大恥をかいてしまう可能性がありますのでどうかご注意を。ビジネスシーンにおいては、黒いスーツを着ているだけで軽蔑されてしまうこともあるのだそうです。お分かりいただけたと思いますが、色が持つ意味合いというのはそれだけ重要なのですね。
■ビジネススーツには、ネイビーかグレーが◎
それでは、黒がダメならビジネスシーンにふさわしいのは、一体何色のスーツなのでしょうか。基本的には紺とグレーの2色です。
スーツの色は明るくなればなるほどカジュアルな印象に、暗くなればなるほどクラシカルで正統的な印象になります。
つまり、濃紺やダークグレーがベストと言えますね。たまに街中でブラウンのスーツを着た男性を見かけることがあります。
ブラウンはおしゃれな印象がありますが、オフィシャルな場には着ていけない色ということもあり、一般的にビジネスにおいてブラウンのスーツはおすすめしません。
着こなしの基本を知ったうえであえて着ているのか、知らないで着ているのかでは大きな差があります。たかが装い、されど装いなのです。
パートナーが装いで失敗しないためにも、女性の皆さんがチェックしてあげてくださいね。