女医のわたしが起業するまで・起業してからのリアル

女医のわたしが起業するまで・起業してからのリアル

内科医として働きながら、セミナーやコンサル、執筆など、個人でいくつもの事業を展開する岡本彩さん。なぜ医師という高収入な職業に就きながらも、収入を得るルートをいくつも構築しているのでしょうか。起業するまでに直面した大変な現実、起業後のリアルについて綴っていただきました。


内科医で二児の母の岡本彩です。

わたしは医師をしながら、2015年に個人でビジネスも始め、セミナーやコンサルティング、執筆活動などをしています。

「医師なら(その仕事だけで)十分稼げるでしょう? なんでわざわざ起業したのですか?」とよく聞かれます。

今回のコラムでは、起業するまで/してからの実際についてご紹介します。

■「出産前の所得が多い」ゆえに、ひとり親向けの手当もなく、経済的に困った

わたしは2014年に、結婚せずに第一子を出産しています。当時は国民健康保険だったこともあり、会社の健康保険に入っている人のように、育児休暇中の手当はもらえませんでした。

週6日の病院勤務に加え、日曜にアルバイトをすることもあり、出産予定日の6週間前=働けるギリギリまで仕事をしました。

しかし、この「出産前の所得が多いこと」がアダとなり、ひとり親むけの手当はゼロという事態に。実家暮らしでもなく、養育費ももらっていない私は、子どもが生まれるにもかかわらず、収入がゼロとなりました。

おまけに社会保険料や住民税の支払い義務がある状態は、(育休制度が使える人は社会保険料の支払いが免除されます)経済的にもそうですが、精神的にもかなりの不安となりました。

この経験から、「お金について無知であること」「収入源がたったひとつであること」のリスクを痛感したのです。

また、医師の仕事は時間・空間的にしばりがきつく、いつ体調を崩すかわからない赤ちゃんを育てながら仕事を続けられるのかという不安もありました。実際、子持ちの男性医師には子育てを配偶者に任せている人もいますし、女性医師は実家の助けを借りている人も多いです。

出産後2カ月半で医師の仕事に復帰してからは、資格を取得し、ファイナンシャルプランナーとしてのサービスを始めました。わたしと同じような苦労をする女性を減らしたいと思ったからです。

■起業しても稼げず、赤字続きの1年……

また、もともと文章を書くのが好きで、学生時代からブログを書き続けていました。ファイナンシャルプランナーとしての仕事に加え、クラウドソーシングでライターの仕事も始めました。

今でも覚えています。初期の頃は記事1本(1000文字くらい)を書いても報酬は30円。ブログは完全に無料なので、それよりはマシでしょうが、これで食べていけるようになるのはいつ? と考えると気が遠くなりました。

しかし、医師でライターもしているという存在が珍しかったため、医学についての専門的な記事への依頼が増え、徐々に単価も上がっていきました。

ファイナンシャルプランナーとして始めたサービスも、はじめのうちは無料にしていましたが、いずれ生活費くらいは稼げるようになりたいと思っていました。

実際にサービスを始めてから、「生活費くらい」を稼げるようになるまでは1年半ほどかかりました。その間に数えきれないほどの壁にぶち当たり、かかる経費を考えると赤字でした。

それでも続けていたのは、お客様に喜んでもらえるのが楽しいのと、私自身も興味がある分野を選んだからでしょう。

途中でやめなかった理由もよく聞かれますが、ほかの起業女性のように「いざとなれば夫の収入がある」という安心感がなかったせいだと思います。今もひとりでふたりの子どもを育てているので、「やるしかない」という感じです。

ただ、ビジネスははじめにきちんと「お金を払ってプロに手伝ってもらう」「うまくいった人の話を聞きにいく」ことで、成功までのスピードがアップすると感じます。そして「いい話を聞いた」で終わらせず、試行錯誤しながら自分でやってみることです。

昨今の起業女子ブームで、「起業して数カ月で月商100万円!」という人を見ると正直うらやましいです。もちろん彼女たちも見えないところで行動し、たくさん努力しているのだと思います。

■起業〜苦労して回せるようになるまでに得たこと

経費も時間もかかった起業は、楽しいことばかりではありませんでしたが、それでも「やってよかった」と自信を持って言えます。

起業を通じて得たことを振り返ってみると、
・ひとりでマーケティングやセールスなど一通り経験することで、普段は医師としてどれだけチームに助けられているかがよくわかった
・起業しなければ会えなかったような素晴らしい人たちとの出会いがあった
・医師免許がなくても、ゼロからサービスを作って稼ぐことができるということが大きな自信になった
etc.

わたしは「生まれ変わっても医師になりたい。医師は天職」と思っていますが、それでもほかの仕事に比べると時間・空間の縛りが厳しいのは事実。

ひとつでなくほかにも仕事があるということは、ひとりで子どもと自分を養っていくうえで安心感になり、かえって医師の仕事も純粋に楽しめています。

もし、いまと違う仕事を始めたい、起業したいという人がいれば、「上手くいくまで、やり方を変えて何度もチャレンジすること」をおすすめします。きっと(最初に予想していたのと違う形であっても)夢が叶うと思います!

この記事のライター

1982年広島市生まれ。2007年大阪大学医学部卒業。医師。外国人のパートナーとの間にもうけた2児のシングルマザーでもある。 予防医学と訪問診療にたずさわりながら、個人でセミナーやコンサルティング、執筆などもしています。

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