1. DRESS [ドレス]トップ
  2. ライフスタイル
  3. 知らないと損するかも。押さえておきたい社会保障制度

知らないと損するかも。押さえておきたい社会保障制度

将来に向けてマネープランを考える前に、「土台」として押さえておきたいのが、社会保障制度。民間の保険に加入したり、投資を始めたりする前に、理解しておいて、必要なときは活用したいもの。全10回のお金に関する連載、第3回目は、押さえておきたい社会保障制度についてお届けします。

知らないと損するかも。押さえておきたい社会保障制度

「社会保障制度」と聞いて、何を思い浮かべますか? 老後に受け取る老齢年金や、医療保険、介護保険や児童手当などでしょうか。

社会保障制度とは、病気、老齢、死亡、失業などの際に一定の給付を行う「社会保険」を始めとして「公的扶助」「社会福祉」「保健医療・公衆衛生」をまとめて言います。

これらはマネープランを考えるうえで土台となる制度です。民間の保険への加入や、投資を始める前に、まずはここを確認しておきましょう。

今回は、DRESS世代の女性にも関わりが深いと思われる社会保障制度をピックアップし、ご紹介します。

■高額療養費制度

日本は国民皆保険制度のため、病気やケガで医療機関を利用した場合、窓口での自己負担は3割です。それでも医療費が高額になってしまった場合、この制度を活用して申請をすれば、1カ月の自己負担上限を超えて支払った費用が払い戻されます(事前申請も可能)。

自己負担上限は、世帯主の標準月額報酬で5段階に分かれており、それに当てはめて計算します(標準月額報酬が35万円の場合、1カ月の自己負担上限は8万円強)。かかった医療費は世帯分で合算することができます。

■出産育児一時金

出産時には一児当たり42万円の「出産育児一時金」が支給されます。請求と受け取りを妊婦などに代わって医療機関等が行う「直接支払制度」を使えば、出産育児一時金が医療機関等へ直接支給され、退院時に窓口で出産費用を全額支払う必要がなくなります(医療機関ごとに導入状況は異なります) 。

関連して妊娠時の妊婦検診にも助成があります。検診は病気の治療ではないため、全額自己負担ですが、妊娠したことをお住いの自治体に届け出ることで、母子手帳とともに妊婦検診の受診券(14回分、金額は自治体により異なる)を受け取ることができます。

これとは別ですが、子どもが生まれた後の医療費は、都道府県や市区町村ごとに助成制度があります。例えば東京23区では共通して中学校3年生までは医療費がかかりません(千代田区は高校卒業までなど、詳細は区によって異なります)。

■国民年金保険

最後に、年金制度です。

おさらいとなりますが、国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入するもので、老齢・障害・死亡により「基礎年金」を受けることができます。保険料は月額1万6490円(平成29年9月時点)で、毎年見直されます。

満額、つまり40年間保険料を収めると、年間78万円(月6万5000円)の基礎年金が受給できます。これまでは25年間以上の納付が受給要件でしたが、2017年8月からは10年以上の納付で受給可能となりました。ミニマムの10年だと受け取れる年金額は年間19万5000円(月1万6250円)です(2017年9月時点の試算)。

サラリーマンや公務員の方は、基礎年金(1階部分)に厚生年金が上乗せされます(上乗せ額は、厚生年金の被保険者だった期間と標準報酬月額により計算されます)。

下のイメージ図をご覧ください。

「第一号被保険者」は自営業の方です。自営業者と、「第三号被保険者」つまりサラリーマンや公務員の配偶者は、基礎年金のみとなります。もし、基礎年金だけでは足りないということではれば、自助努力で老後の上乗せ部分を作る必要があります。

もちろん、第二号被保険者の方々も、足りない可能性がありますが……。

■年金保険の役割は、老後の備えだけじゃない

国民年金は、老後への備えというイメージが強いかもしれませんが、実は現役時代に万一があった場合に遺族が受け取ることができる「遺族年金」、病気やケガで所定の状態(※こう書き換えても差し障りないでしょうか? 「所定の状態」という言葉があるのはわかるのですが、可能であればもう少し言葉を補足したいです。→所定の身体障害や要介護状態)になった場合に受け取ることができる「障害年金」もあります。

民間の保険に加入する前に、ここを押さえてくと余分な保険料の削減になりますね。

未納問題で年金制度が破たんするのでは、などの話を耳にして、気になっている方も多いと思います。ただ、実際のところ未納の金額が、現在のところ年金全体に与える影響は極めて小さいです。また、保険料を納めていない方は年金を受け取れないため、「未納者が増えたこと」が原因で年金制度が破たんすることはありません。

ただ、確実に少子高齢化は進んでいくと考えられるため、受給年齢の繰り下げや、受給額減など厳しい状況であることは間違いないですし、破たんの可能性が0というわけでもありません。わからないからこそ、事前に対策をしておくことが大事なのです。

繰り返しになりますが、社会保障制度は土台です。ちょっと堅苦しいかもしれませんが、まずはここを押さえましょう。そのうえで、足りない部分は自分で補うイメージでマネープランを組み立てていきます。

とくに老後は、ますます長寿となる傾向があり、物価上昇(インフレ)局面でもあるので、早いうちから資産形成を真剣に考えることが賢明です。

DRESSマネー部に入部しませんか?

お金を上手に貯める・増やす・使うことを、一緒に考えてみませんか?
入部はこちら↓

入部する・会員登録がお済みの方
新規会員登録はこちらから

水野 綾香

クラウドクレジット株式会社/広報 「女性のためのマネーセミナー講師」としてこれまで全国で6000人以上の方に講演。むずかしく思われがちなお金の情報を、楽しくわかりやすく伝えることがモットー。各メディアでのマネーコラム執...

関連するキーワード

関連記事

Latest Article