世界遺産の村 チンクエ・テッレ、三つの村へ〜ミラノ通信#14
https://p-dress.jp/articles/4581イタリア北西部にある5つの村、チンクエ・テッレをご存知でしょうか。ユネスコの世界遺産にも登録されており、その美しい景観から世界中から観光客がやってくるスポットになっています。ミラノ在住の河見恵子さんによる日帰り旅行レポート、今回は前編をお送りします。
前編はこちら
イタリア北西部にある5つの村、チンクエ・テッレをご存知でしょうか。ユネスコの世界遺産にも登録され、その美しい景観から世界中から観光客がやってくるスポットになっています。ミラノ在住の河見恵子さんによる日帰り旅行レポート、今回は後編をお送りします。
世界遺産の村 チンクエ・テッレ、三つの村へ〜ミラノ通信#14
https://p-dress.jp/articles/4581イタリア北西部にある5つの村、チンクエ・テッレをご存知でしょうか。ユネスコの世界遺産にも登録されており、その美しい景観から世界中から観光客がやってくるスポットになっています。ミラノ在住の河見恵子さんによる日帰り旅行レポート、今回は前編をお送りします。
前編はこちら
チンクエ・テッレ3つ目の村、コルニーリアから次のヴェルナッツァまでは、1時間半のハイキングコースを歩くことに。
5つの村を結ぶハイキングコースの中でも、この区間は海岸線を見渡す絶景ポイントが多いコースと聞いているので、足取りも軽く炎天下の道を歩き出しました。
入り口で1日パスを提示し、山道に入ると、心地よい緑の香りに満たされて森林浴気分に。土の上に石が敷かれている上を歩いていきます。
最初は上りの階段だらけ、中には急な勾配の階段もあるのですが、子供でさえしっかり歩いている山道、大人が音を上げるわけにはいきません。
山あいをぐるりと回って越えていくコースは、平坦な道あり、緩やかな坂道あり、急な階段あり、とバラエティーに富んでいていい運動になります。
歩いているときは夢中でしたが、翌日に体中、特に脚が筋肉痛になっていました。
海を見下ろす絶景ポイントは、息を呑む美しさ、ハイカーたちみんな立ち止まって、思い思いに海を眺め、記念撮影をしています。
だいたい同じペースで歩くので、記念撮影スポットごとに顔を合わせ自然におしゃべり。どこから来たのか、どのくらいの期間バカンスなのか、など話しながら、お互いに写真を撮り合うのも楽しい思い出です。
それにしてもやはり外国人のバカンス感覚は羨ましい限りです。ヨーロピアン、そしてカナダから来ているという彼らは、およそ3週間から1カ月の旅程でした。
慣れない山道、だんだんくたびれてペースが落ちてきた頃に、夢のようなオアシスを発見。なんの表示もなく、いきなり現れたバールが素晴らしかったです。
入り口もいたってそっけない雰囲気だけれど、入江を見渡すテラスにポツポツと椅子が並んでいて、パノラマを堪能できます。波の音を聞きながら、冷えたレモネードでしばし休憩です。
山道に突如現れた、絶景テラスのバール
まだかなぁ、そろそろ次の村が見えないかなぁ、などと言いつつハイキング再開。
自然の中でのいろいろな匂い、緑、木々、土などなど、普段ほとんど経験することのない匂いを感じながら、体中の細胞がリフレッシュするような感覚に包まれて歩き続けます。
目的地ヴェルナッツァがようやくその姿を現してくれたのは、出発してから2時間ちょっと経った頃。海に突き出た小さな半島形の村の建物に夕日がさしている様は、感動的でした。そこに絶景レストランを発見したときは、嬉しさのあまり小躍りせんばかりに。
この時点で既に18時、ミラノに向かう列車は20時過ぎにラ・スペツィア発なので19時半にはチンクエ・テッレの村を出るローカル線に乗らねばなりません。
5つの村を制覇しよう、と言っていたわりには、時間配分などまったく考えていなかったので、(往復の列車は予約していましたが)最後の村、モンテローザに行くのは諦め、ここでゆっくりすることにしました。
サマータイムの間は日が長いので、夏の日没は21時過ぎ。海に落ちる夕日を眺めるにはまだ早く、燦々と照りつける太陽の光を浴びながらアペリティーボ。
アッチューゲ(小イワシ)のマリネのヴィネガーが、疲れた体を元気にします。
そこから駅まで10分と聞いたので、ギリギリまでテラス席でゆっくりして駅に向かいます。余裕を持って1本早いローカル線に乗ろうと思っていたら、20分遅延の表示が。
ならば村のメイン通りを覗こう、ということになり、短いメイン通りをあっという間に抜けて港まで到着。カラフルな建物に囲まれた港は、波打ち際で遊ぶ子供や、泳いている人もちらほら。
夕暮れ時、思い思いに過ごす人々を見ていると、ゆったりした時間の流れを感じます。
今度は駆け足ではなく、ゆっくり、のんびり来たいな、と思いながら……そうするとずっとビーチにいそうなので、こんなに充実した1日は過ごせなかっただろうから、これもまた良しだと思うのでした。
泳ぐ人々、波打ち際で遊ぶ親子、バールでアペリティーボする人々、など思い思いにゆったりした時間を楽しむ
今回、たどり着けなかった5つ目の村、モンテロッソはチンクエ・テッレの中で唯一ビーチがあり、最も開けた村だったのです。
ここに行っていたら、数日滞在したくなってしまうこと必至。また改めて、ゆっくり訪れようと思います。
帰りは、パルマ経由でミラノに。パルマでは乗り継ぎに50分あったので、ダッシュで駅から一番近いリストランテに走り、クイックディナーを楽しんだ私たち。
最初から、カメリエレ(ウエイター)に50分しかないことを告げ、パルマの生ハム、そしてラグー(ミートソース)のパスタをオーダー。エミリア・ロマーニャ州の名物を堪能して、残ったワインはボトルをテイクアウト。インターシティで続きを飲みながら、最後の最後まで楽しく盛りだくさんな1日となりました。