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オーガニック野菜を100%活かして、美味しく味わおう

体に良さそうだけどお値段高めのオーガニック。でも、食べてみるとひと味違います! 美味しい味わいに驚かされるオーガニック・メニューやオーガニック・クッキング、アメリカと日本で相互認証もされているオーガニックの意味合いなど、日米を行き来するジャーナリストの小野アムスデン道子さんがご紹介。

オーガニック野菜を100%活かして、美味しく味わおう

旅するジャーナリスト、小野アムスデン道子です。

できることなら農薬や化学肥料を使わないオーガニックな農産物を使いたい。けれど、ちょっとお値段高めなのが気になる。ただ、味はやっぱり普通のものと比べて全然違うんです。

今回は、そんなオーガニック野菜をさらに美味しく味わう秘密を探るべく、アメリカのオーガニック認証機関USDAの研修に参加してきました。

会場は、山梨県にあるオーガニック農園「カルタ・ファーム」。

■優しくて、甘い味わいのラタトゥイユ

今回の研修で振る舞われたのは、優しい甘さが特徴的なオーガニック野菜のラタトゥイユ。

一口食べて、思わず「カボチャか何か入れてますか?」と質問したのですが「NO」。

ポイントはニンニクを使わず、隠し味に砂糖ではなく、甘酒を使っていることだそう。スープストック類を加えていないのにコクがあり、お代わりしてしまうほどおいしかったのです。

ここでは特別にその作り方もあわせてご紹介。

オーガニック野菜を使ったラタトゥイユのレシピ

素材の味を生かした料理は、レシピもシンプル。

■甘酒の美肌ラタトゥイユ(4~5人前)

材料

<野菜>
玉ねぎ:1/2個(80g)
人参:1/2個(60g)
パプリカ:1/2個(60g)
茄子:1本(80g)
セロリ:40g

<その他>
ケッパー :小さじ1(みじん切りにする)
アーモンド:30g(5mm角に刻む)

<調味料>
ホールトマト:240g
甘酒:大さじ2
塩:小さじ1
麦味噌:小さじ1
タイム:1枝
ローズマリー:1枝

作り方

1:野菜をそれぞれ1cm角に切る

2:圧力鍋に野菜すべて、ケッパー、ホールトマト、塩、甘酒、タイム、ローズマリーを入れ圧をかけ5分

3:圧がかかったら、アーモンド、麦味噌を加え、水気が飛ぶまで弱火~中火で煮詰めてできあがり!

レシピ作成:オーガニック料理教室G-veggie, 講師・宮入香織

■オーガニックの野菜を100%生かすクッキング方法とは

オーガニック農産物をなるべく無駄なく、野菜を生かしてクッキングするのがオーガニック・クッキング。

続いては、日本オーガニックライフ協会のはりまや佳子代表理事が、そのコツを伝授してくれました。

・野菜をカットして捨てるときは、できるだけ小さく。人参なら頭のところをこそげ取るぐらいで。タマネギなら連結部分と根を落として皮を剥けば、あとは全部使えます。落とし過ぎないように注意。人参は回転しながら育つので、千切りにする際は、斜め薄切りして重ねてから切ると繊維に沿って切りやすいとのこと。

・野菜の気が混じらないように、前の野菜を切ったらいったんきれいにまな板を拭くことが、野菜をおいしく使うコツ。

・タマネギを立てて回しながら筋に沿って切ること。筋に沿って切らないと、スライスが均一な厚みになりません。タマネギの方をくるくると回して切っていきます。

・大葉は、表裏と重ねるとくっつくので、表と表、裏と裏で葉の方向を交互にして切れば、重ねた葉が反発してふんわりと切れます。


以上のようなコツを教えていただきました。お値段も張るオーガニック野菜は、できるだけ無駄なく使いたいですね。

■雑草に囲まれてたくましく育ったオーガニック野菜は味が違う

今回の会場となった農園「カルタ・ファーム」では、オーガニックの野菜の宅配(10〜12種類で3〜4人家族向けの大箱で2300円(税別・送料別))を中心に、オーガニックの栽培を食育のひとつとしてイベントを開催したり、貸家庭菜園として貸し出したりしています。

6坪の家庭菜園で15種類の野菜を作るのだそう。ひと月ぶりに首都圏から来園して収穫した人はさっそくトマトを丸かじり。

オーガニックの畑とそうでない畑、見た目の違いは何かわかりますか?

答えは、雑草がとても多いこと。

自然の中で野菜が共生して育つことこそオーガニック。肥料として与えているのは、海藻やサンゴなどのミネラルのみ。農薬を使わず、バジルなどを一緒に植えることで虫除けを図っています。野菜が本来育つ力を生かしているそうで、健康な野菜には虫がつかないのだそう。

■オーガニックは今や179カ国が認証。相互認証のシステムも

ところで、「オーガニック野菜」はどのように市場に出回るのでしょうか。

まず、オーガニック野菜として認証されるためには、国ごとの認証機関から認められなければいけません。

日本だと「有機JAS認証」、アメリカでは「USDA:United States Department of Agriculture)認証」、EU諸国の「EU認証」。今や世界中で179カ国が認証のシステムを持っていて、市場規模は約800億円ほどだとか。

そして、国同士、オーガニックについて同等性相互認証がされれば、お互いの国で「有機・オーガニックである」という表示をして販売もできるそう。

日本とアメリカは2014年にこの同等性相互認証が成立しているので、日本からアメリカへ、アメリカから日本へ輸入する有機製品のいずれにも、有機JASマークとUSDAマークを、改めて相手側の認証を取らなくても併記できます。

日本にも、自然食品やオーガニック・フードの品揃えで有名なアメリカのスーパー「ホールフーズ」の製品がけっこう輸入されています。これらは日本のシステムでも認められているので、有機JASマークもつけられています。

アメリカと日本のオーガニック基準のポイントは

1.農薬や化学肥料などの合成化学物質を使用せずに生産されたもの

2.かつ過去3年間に合成化学物質を含め、禁止物質を使用した耕地で生産された農産物ではないこと

つまり、それだけ栽培に手もかかり、価格は高めになります。

日本では「その野菜がどのようにつくられたか」ということよりも、形・汚れのない完璧な野菜が求められがち。さらに価格も高いため、オーガニックが浸透しにくいのだとか。

調理の仕方次第で、そういった部分は改善できるので、見映えより味、体にいいことにもっと注目したいなと改めて思ったのでした。

小野アムスデン 道子

世界有数のトラベルガイドブック『ロンリープラネット日本語版』の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。...

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