映画『花戦さ』感想。花の力で世直しに挑んだ伝説の花僧・池坊専好の痛快エンタテイメント時代劇!

映画『花戦さ』感想。花の力で世直しに挑んだ伝説の花僧・池坊専好の痛快エンタテイメント時代劇!

戦国の世、京都・頂法寺六角堂に織田信長、豊臣秀吉といった天下人と関わりを持ち、茶人・千利休とも親交があった池坊専好という風変わりな花僧がいました。【シネマの時間】第10回は、痛快エンタテイメント時代劇、映画『花戦さ』の魅力と感想をアートディレクターの諸戸佑美さんに語っていただきました。


©YUMIMOROTO

■映画『花戦さ』狂言・歌舞伎・映画界から豪華キャストが集結!

民のため、友のため、”花の力”で世直しに挑んだ伝説の花僧・池坊専好の痛快&壮快エンタテイメント時代劇『花戦さ』が絶賛公開中です!

狂言師・野村萬斎が、戦国時代に実在した”生け花の名手”である花僧・池坊専好に扮し、天下人豊臣秀吉役に歌舞伎役者・市川猿之助、織田信長役は中井貴一、前田利家役に佐々木蔵之介、千利休に佐藤浩市ほか狂言・歌舞伎・映画界から豪華キャストが顔を揃え話題となっています!

小説家の鬼塚忠による著書を基に『世界の中心で愛を叫ぶ』『JIN 仁』『ごちそうさん』『おんな城主 直虎』などを手掛け今乗りに乗っている森下佳子が脚本を担当し、『地下鉄(メトロ)に乗って』『起終点駅 ターミナル』の篠原哲雄監督が映画化!

本作には2017年、555年を迎える池坊の監修より200瓶を越える松や蓮、梅に桜、百合に牡丹といった美しい生け花や野に咲く花々が印象的に登場し映像を美しく彩り圧巻です。

さらに表千家不審庵、裏千家今日庵、武者小路千家官休庵の三千家も協力。

躍動感溢れるストーリーだけでなく花の道、茶の道、日本古来の精神性、伝統文化や美術の素晴しさなども見所となっています。

生け花の本質に迫り、花で暴君を討つ秘策とは!?
豪華コラボレーションによるあっと驚く“エンタメ異種格闘技戦”をぜひお楽しみあれ!

■映画『花戦さ』あらすじー花の力で世直しに挑んだ伝説の花僧・池坊専好の痛快エンタテイメント時代劇!

時は戦国、京都・頂法寺六角堂に花を生けることで世の平穏を祈る池坊専好という”生け花の名手”の花僧がおりました。

この男、人の顔と名前が覚えられない上に口べたで出世や名誉には興味なし。

花と町衆を愛し花をいけることのみが彼の至福でした。

その頃、織田信長亡きあと天下を手中に収めた豊臣秀吉でしたが、愛息・鶴松を亡くすなどし正気を失った秀吉は圧政を敷いて、己に異を唱える者どころか陰口を言った町衆にさえも残忍な粛清を始めます。

死に追いやられた者の中には、秀吉の側近であり専好の友であった茶人・千利休や、専好を慕う者たちの姿もありました。

愛する友や民のため、専好は秀吉に対して、力ではなく花の美しさで戦おうと立ち上がるのです!

■「武人たる者、茶と花を、人の心を大事にせよ」

「一芸は万芸に通じる」(世阿弥)、「一道は万芸に通じる」(宮本武蔵)と言われますが、映画『花戦さ』は花僧・池坊専好の純粋な生き様を通して華道の本質に迫ることで人として生きるべき道のようなものを自然と感じることができる心洗われるような作品だと思いました。

美を追い求め道を極める友人として心通じ合う野村萬斎演じる専好と、佐藤浩市演じる利休とのやりとりも素晴しく、言葉はなくとも互いにそれぞれの生け花やお茶で深い感動を与え合い観ているこちらも幸せな気持ちになります。

劇中、中井貴一演じる織田信長が池坊専好の“昇り龍”と見立てた松を題材にした生け花の前で、家臣である秀吉に「武人たる者、茶と花を、人の心を大事にせよ」と語るシーンがありますが、ぐっと心に響き印象的です。

花のみならず千利休の茶室での場面で黒茶碗の魅力に惹き込まれました。

利休は静謐さや質素さを第一とした草庵の中で、わび茶の感覚に合う茶碗は「黒茶碗」であるとし、当時、京で名高い陶芸家だった楽焼の創始者・長次郎と「黒楽茶碗」を製作までしたのです。

「黒には黒の、金には金のそれぞれの(良さがある)」、そして「梅には梅の、桜には桜のそれぞれの(良さがある)」と言わしめる場面がありますが名言ですね。

また個人的には、天才絵師無人斎の遺児れんが蓮の花を一心不乱に自由に描く場面に興奮しました。

多分、絵を描く人であれば感化され自身も蓮の花の絵を描きたくなるのではないでしょうか。

無人斎は、劇中で描かれた猿の絵から絵師・長谷川等伯がモデルなのではないかと思われ、とても魅力的なシーンとなっています。

■映画『花戦さ』全編がほぼ京都が舞台。美しいロケーションも見所です!

『花戦さ』は、全編がほぼ京都が舞台となっており四季折々の美しいロケーションも見所です。

冒頭の専好が河原で倒れている娘れんを見つけ、助けるシーンや印象的なラストシーンは、亀岡・宇津根の河原で撮影されており、利休の草庵の風景には祇王寺、天神さんの大茶会のシーンは実際は北野天満宮で執り行われたのですが任和寺が使用されています。

そのほか嵯峨野、大覚寺、鹿王院、梅宮大社、沢ノ池、妙心寺、光明寺、南禅寺、随心院……と京都観光さながら楽しめます。

池坊専好や利休が生きた時代の空気感を身近に感じることができ爽やかな感動に包まれるでしょう。

ぜひこの機会に映画館でお楽しみ下さい!

■映画『花戦さ』作品紹介

6月3日(土)より渋谷TOEI、TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー
公式ホームページ http://www.hanaikusa.jp
© 2017「花戦さ」製作委員会

原題:花戦さ
製作年:2017年
製作国:日本
映倫区分:G
配給:東映
上映時間:127分
監督:篠原哲雄
原作:鬼塚忠
脚本:森下桂子
プロデューサー:小滝祥平
音楽:久石譲
劇中絵画:小松美羽
題字:金澤翔子
協力:表千家不審庵、裏千家今日庵、武者小路千家官休庵
監修:華道家元池坊

■映画『花戦さ』キャスト

野村萬斎=池坊専好
市川猿之助=豊臣秀吉
中井貴一=織田信長
佐々木蔵之介=前田利家
佐藤浩市=茶人千利休
高橋克実=吉右衛門
山内圭哉=池坊専伯
和田正人=池坊専武
森川葵=れん
吉田栄作=石田三成
竹下景子=浄椿尼

この記事のライター

イラストレーター/編集ライター/アートディレクター。本の装画や挿絵、装幀・広告のアートディレクション、執筆など多方面に活動。

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