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医師が教える、乳がん検診のデメリット

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近年、乳がん検診を受ける人が増えています。でも、中には「受けなくてもいい」ひとの検診や「受けるべきでない検診」も……。乳がん検診のデメリットも含め、乳がん検診の目的やメリット、受けるべき人に関して詳しく解説します。

医師が教える、乳がん検診のデメリット

北斗晶さん、故・小林麻央さんといった有名人が乳がんになったことが報道され、「乳がん検診を受けよう」とする人が増えました。

本来受けるべきなのに受けていなかった人たち検診に来てくれる一方で、「受けなくてもいい」人の検診や「受けるべきでない検診」も増えています。

今回は、乳がん検診のメリットとデメリットを解説します。

■乳がん検診は何のためにある?

乳房の検査には、触診にマンモグラフィ、超音波検査があります。乳がん検診は基本的に「40歳以上の女性、2年に1回マンモグラフィ」となっていますが、これにはきちんとした理由があります。

どの検査を受けても乳がんが見つかるなら、わざわざ痛い思いをしてマンモグラフィ検査を受ける必要はありませんよね。

そもそも、がん検診の目的は、がんによる死亡を減らすこと。乳がんは早期発見できれば、治療することで死亡を回避できることがわかっています。

自治体が税金を使って、あるいは企業が保険料を使って行う検診では、その検診をすることで死亡率を下げられるというデータがあることが前提です。

(残念ながら、意味がない検査を行なっている自治体や健康保険組合もあります。意味のない検査については次回以降のコラムで紹介します)

統計では、40歳以上の女性がマンモグラフィによる乳がん検診を受けると、乳がんによる生涯死亡率が1.4%から1.0%に下がることがわかっています。

■検診を受ければがんにならない、がんが100%見つかる、とは限らない

意外と誤解が多いところですが、検査を受ければがん患者さんが全員助かるわけではありませんし、「検査を受ければがんにならない」わけでもありません。あくまで検診の目的は、がんの早期発見と死亡率の減少です。

そして、触診や超音波検査では、今のところ乳がんの死亡率が減ったというデータはありません。

ただし、月1回の自己触診(自分で乳房を触りしこりがないかを確認すること)はしてもよいでしょう。実際に乳がんで病院を受診した人のうち、半分以上は自分でしこりに気づいた人で、乳がん検診で異常を指摘された人より多いのです。

超音波検査は、マンモグラフィと併用すれば乳がんの発見率を上げられるというデータが出ていますが、死亡率減少については現時点ではデータがありません。

また、乳がんになりやすい年齢は40歳以上なので、20代、30代の人にがん検診をしても、乳がんの死亡率は減少するというデータはありません。若い女性は乳腺が発達しているため、マンモグラフィを撮影しても、がんと正常な乳腺組織の区別がしづらいことなどが原因です。

■乳がん検診にはデメリットも

最後に、乳がん検診の知られざるデメリットについてお伝えしておきます。

がん検診に限らずあらゆる検査でもいえることですが、「病気でないのに病気と診断される」可能性があります。専門用語では「偽陽性(ぎようせい)」といいます。

1000人にマンモグラフィ検査を10年間行なうと、乳がんでないのに乳がんの疑いと診断される人は200〜400人もいます。

この偽陽性の確率は、検査を受ける女性の年齢が若い場合(40歳未満)や妊娠中・授乳中で乳腺が発達している場合にはもっと上がります。

がん検診で異常と言われたら、
・精密検査を受けて結果がでるまで、自分はがんかもしれないと不安を抱える
・良性の病変だったのに、細胞を取って顕微鏡で調べる検査まで受けることになる
・精密検査にかかる時間やコスト
などのデメリットが発生するのです。

あなたがこれから乳がん検診を受けるなら、検診を受けることでどうなりたいのか(安心したい? 早期に発見したい?)、もし「要精密検査」となったらどうするのか、じっくり考えてから受けてほしいと思います。

乳がん検診のメリットがある40歳以上の方は、マンモグラフィの検診を積極的に受けてくださいね。

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岡本 彩

1982年広島市生まれ。2007年大阪大学医学部卒業。医師。外国人のパートナーとの間にもうけた2児のシングルマザーでもある。 予防医学と訪問診療にたずさわりながら、個人でセミナーやコンサルティング、執筆などもしています。

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