ベージュを味方につければ、女のコーディネートは優しげになる
ベージュを日々のコーディネートに積極的に取り入れるようになり、はっと気づいたことがある。これほど女を優しげに見せる力がある色はない、と。ベージュをうまくコーディネートするために、私が気をつけていることをご紹介したい。まずは「自分に合うベージュ」と出会うところから始めよう。
■「ベージュ」と一括りにできない複雑な色、それがベージュ
一口に「ベージュのシャツ」と言っても、色のバリエーションは実に幅広い。アイボリーに近いもの、黄色味が強いもの、赤味を帯びたもの……。
それぞれ着たときの顔映りもまったく違うため、似合う・似合わないを自分で判断して選び取るのが大事だ。
スカートも同様。
「ベージュのスカート」にも、さまざまな色がある。合わせるトップスも、微妙な色の差によって、相性の良し悪しが決まる。
かなり慎重に上下のアイテムを合わせてみる必要がある。
■いろいろなベージュをコーディネートに取り入れてみる。似合うかどうか、自分の目で判断するために
「ベージュは老けて見えるから着ない」「ベージュ色の服を着ていると『疲れてる?』って聞かれるからイヤ」という方は多いかもしれない。
でもそれは、たまたま似合わないベージュを着ていたから、である可能性が高い。肌や瞳や髪の色、その人の持つ雰囲気。オーラ――それぞれ違うのだから、似合うベージュもそれぞれ異なる。
グレーがかったベージュ、黄色寄りのベージュ、ピンク味を帯びたベージュ。すべてのベージュはまったく違う色であり、人によって似合う・似合わないが異なるのがベージュ。
諦めないで、自分に似合うベージュがどんな色味なのかを、いろいろ試してみる価値はあると思う。
■コーディネートする色、小物次第で、ベージュは変化する
今期、ベージュには流行の辛子色寄りの、鮮やかな黄色を合わせることが多い。
黄色はベージュと合わせると優しい穏やかな色になり、ベージュは黄色と合わせるとくすみが取れて華やかな色になる。相乗効果を期待。
なんだか地味でぼやけたイメージになりがちな、薄いベージュ色のパンツ。
ややもすると所帯じみたり、子どもっぽくなったりする恐れがあるが、鮮やかな山吹色と組み合わせると途端に垢抜けた色になる。
ベージュは一緒にコーディネートするアイテム次第で、イメージが激変する色なのだ。
■選ぶ色はその人のイメージに直結する
他人のことを頭に思い浮かべるとき、実は人は知らず知らず、その人がよく着ている服の色をセットにして頭の中に画像として浮かび上がらせるもの。
黒しか着ない人は、黒の画像。カラフルで派手な柄物をよく着ている人はその色柄と一緒に。
全身ピンクのファッションが多い人は当然、ピンクだらけの背景と一緒に、周りから思い出されている(笑)。
実はこれってすごく重要な気づきではないか、と私は思う。自分の知らないところで、人様から思い出してもらうとき、自分が着ている服、その画像のトーン……それが綺麗ではない、暗い色だったりしたら。
私は50代になって黒を着なくなった。特に上半身に黒を着ることは滅多になくなった。
30〜40代の頃は好んで着ていたのだが、とあるとき、黒を着ると何だかキツく見えるような、威圧感が出るような気がする。そう感じたからだ。
仕事関係にしろ、プライベートにしろ、「キツそう」「暗そう」「気難しそう」というイメージを会う人に与えてしまうのはとても悲しい。そう思えてならず、黒い服に袖を通す機会は激減したのだ。
それからというもの、黒の代わりにネイビーを着るようになったのだが、同時にベージュもよく着るようになった。
ネイビーは信頼感と清潔感を演出できる色。ビジネスの場面にはうってつけ。でも、やや硬い感じ。
■「自分に合うベージュ」のアイテムを増やしていこう
一方、ベージュは着こなし次第で、きちんとした感じにもエレガントな感じにもカジュアルな感じにも仕上げられる。
そして間違いなく、ベージュを着ると、自分自身も不思議と穏やかな気持ちになる、と気づいたのである。
曖昧な色、ベージュ。光の加減でも色相が変わる色、ベージュ。着る人のもつ雰囲気やキャラクターでもイメージが変わってしまう不思議な色、ベージュ。
でも、黒や紺やグレーよりも、真っ赤や緑やビビッドなピンクよりも間違いなく、女を優しげに見せる力があると思う。
この色の持つ力を味方につけない手はない。いろいろなベージュを試してみて、自分に似合うベージュを見つけられたなら、ワードローブにベージュ色のアイテムを少しずつ増やしていくのをおすすめしたい。
「最近、やわらかくなったね」「機嫌良さそうだね」「なんか幸せそうだね」などと人から言われることも増えるはず。
服の色が人に与える力は、私たちの想像以上に大きいのだ。