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「天国にいちばん近い島」へ。ニューカレドニア旅行記・後編

安藤美冬さんによるニューカレドニア旅行記・後編をお届けします。ホテル「ル メリディアン イルデパン」や「Sheraton Deva」に宿泊し、ニューカレドニアの観光や食、リゾートアクティビティを味わい尽くす旅の後半は――。

「天国にいちばん近い島」へ。ニューカレドニア旅行記・後編

■東京から8時間、私のニューカレドニア旅行記・後編

「天国にいちばん近い島」へ。ニューカレドニア旅行記・前編

翌朝7時45分に「ル メリディアン ヌメア」をチェックアウトして、車で10分ほどのところにある空港へ向かいました。目的地は、国内線だけが飛ぶ小さな空港から30分で着く離島イルデパン(松の木の島)。

観光客はもちろん、地元の人も日常の足として利用するので、イルデパン行きの飛行機は数カ月前から満席になることもあるとか。ヌメアの海も十分綺麗ですが、イルデパンの海は格別の美しさだそう。

世界一の島と称する人もいるそうです。期待に胸が高鳴ります……! イルデパンが近づいてくると機内から歓声が――。

コバルトブルーの宝石を海中にバラまいたような、目の覚めるような青。まずは、チャーターしたボートにて、ジュヌ(亀)島へ。ジュヌ(亀)の由来は、ここが亀の産卵地だからだそうです。この島は誰も住んでいない無人島で、私たちが訪れた時は貸切状態でした。

ゆっくり歩いても30分程度で1周できるくらいの、小さな島です。海を目の前にして、タオルを敷いてひなたぼっこをしたり、瞑想したりしながら、最後は海に半身浸かり、全身が浄化されたような気持ちよさを味わいました。確かに、もしこの世に天国があるのだとしたら、こんな場所なのかもしれません。

■ホテル「ル メリディアン イルデパン」に宿泊

今晩の宿泊先は、「ル メリディアン イルデパン」。一つひとつ独立したヴィラで構成され、森の中にある部屋からはビーチも見えます。今回のツアーで滞在したのはどこも、ニューカレドニア随一の高級ホテルでしたが、個人的に最も気に入ったのは「ル メリディアン イルデパン」でした。
フランス領とあって、フランス人とおぼしき外国人観光客がファミリーで滞在しているのをちらほら見かけたほか、日本人カップルのハネムーン旅行にも何度か出でくわす機会がありました。

ニューカレドニアといえば、ハネムーンの渡航先として人気のリゾート。私はまだ結婚していないけれど、新婚旅行先に選びたくなる気持ちはよ〜くわかる。それに、恋人とこんな場所で時間を過ごせたら、きっと、もっと親密になれるのだろうな……。

夕食時には、生まれて初めてエスカルゴも食べました。ここのエスカルゴはとあるファミリーの独占販売で、彼らが獲って味付けまで行っているそうです。

「ル メリディアン イルデパン」の看板メニューだけあって、コリコリとした食感とガーリックとバジルの組み合わせが美味しかったです。食べる前は、独特の見た目から想像して、食感はともかく味は期待できないと感じていましたが、ガーリック濃いめの味が自分好み。このホテルに滞在するなら、絶対に食べてほしい!

イルデパンでは、海とホテルを楽しむのが一番。ではありますが、ホテルをチェックアウト後、イルデパン市内観光へ向かいます。部族が地域ごとに住んでいる小さな離島のため、バオ族が住まう地域の教会や学校などをぐるっと見て回りました。途中でスコールも降ってきましたが、撮影スポットではうまい具合に晴れて、幸運続き。

個人的には、2匹のワンちゃんが遥か向こうの地平線を揃って見つめるこの写真がお気に入りです。

■最後の宿泊先は、ホテル「Sheraton Deva」

再び飛行機でヌメアに戻り、いよいよ最終目的地へ。市内から車で3時間移動したところにある、ホテル「Sheraton Deva」へ。このホテルは2014年秋にできたばかり。木を幾重にも積み重ねてつくられた、伝統的ニューカレドニアンスタイルの建築美が圧巻です!
 
ヌメア市内から車で3時間、国際空港から2時間という距離ながら、日本では決して見られないこの美しいホテルに泊まるだけの価値はあります。

朝から「Deep Nature Spa」にいって、50分のマッサージを受けてきました。ヌメア市内で受けた施術と打って変わって、今回はオイルをキャンドルで温めて行うというもの。ソフトなタッチでうとうとします。数日間に及ぶハードなツアースケジュールで感じるストレスも疲れも一気に吹き飛ぶほどの、深い癒しを体験できました。曇り空で雨も時折降っていましたが、一瞬の晴れ間を縫ってジャグジーにも入ってきました。

バンガローの部屋で、ゆったりと読書をしたり原稿を書いたりする時間も確保できました。書籍の刊行が相次いで予定されているため、10分でもスキマ時間ができれば、パソコンを開いて原稿仕事。

こうして南半球にいながら、日本での仕事ができるようになった現代に生まれて、つくづく良かったなと感じる瞬間です。狭い、無機質なオフィスよりも、こうした開放感ある場所で書くもののほうが、圧倒的にいいものができると思います。

■心を洗濯したくなったときに再び、ニューカレドニアの地を訪れたい

そして再び空港へ。日本への帰国まで、あと8時間。

1966年、ニューカレドニアの地に降り立った作家・森村桂は、移動や言語、通貨や文化の違いなどを幾多のトラブルに見舞われながらも克服し、『天国にいちばん近い島』を書き上げました。

まだまだ男性が中心となって働いている社会の中で、女流作家として生きる人生もまた、苦難や葛藤に満ちていたのだと思いますが、そんな彼女にとって、美しい自然や豊富な食べもの、穏やかな時間に包まれたこの場所は、本物の天国に感じられたに違いありません。

当時と比べれば、画期的に安く、そして近くなったこの場所を旅することができた私たちですが、その分感動が減るかというと、決してそうではない。いつの時代にあっても、心が震えるような景色や味、体験に触れたとき、感動のメーターはぐんぐん振れるのだと思います。

15年くらい前にはエコノミークラスで20万円はしていたニューカレドニア行き航空券も、いまでは安いときにはなんと5万円台! 一般的にオフシーズンとされている6〜7月は、ホテルもピークシーズンの半額で泊まれるので、暑さを避けてこのシーズンに来るのは季節的にも価格的にもおすすめです。

私も心を洗濯したくなったら、再びこの場所を訪れたいと思います。

取材協力
エア・カレドニア・インターナショナル航空
www.aircalin.com
ニューカレドニア観光局
http://www.new-caledonia.travel/

安藤 美冬

フリーランサー、コラムニスト。1980年生まれ、東京育ち。(株)集英社で広告と書籍の宣伝業務を経て独立。組織に属さないフリーランスとして、ソーシャルメディアでの発信を駆使した肩書や専門領域にとらわ れない独自のワーク&ライフ...

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