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「人は外見で判断される」は真実

「人を外見で判断してはいけない」と言われて育った私たち。しかし、大人になると、外見や服装で第一印象が決まる、という真実に気づく。身なりをいつも綺麗に整えて生きることは、実は自分のためだけではなく、家族や周りの人に対して共有する時間をも良いものにする効果もあるのだ。

「人は外見で判断される」は真実

■「人を外見で判断してはいけない」と言われて育った私たち

祖父母や両親から「人を見た目で判断してはいけません、大切なのは中身です」と言われて育った人は多いのではないだろうか。私ももちろんそのうちの一人。

しかし、矛盾するような話だが、私の母は服装・身なりにはとても厳しかった。

それは今なお続いていて、適当な服を着て実家に帰ろうものなら、頭のてっぺんからつま先までチェックされ、「どうしてそんなにみすぼらしい恰好をしているの?」と小言を頂戴し、さらには家の経済状況を心配されたりする(笑)。

古ぼけているんじゃないのよ、わざと古着風に加工してある服なの、それが今のおしゃれなのと言ってもまったく理解されないことがよくわかったので、実家に帰るときには、ダメージ加工の服は着ないようにしようと決めた。

■着ている服で人の扱いが変わることを戒めた一休さん

いきなりだが、古いアニメ絵本『にほんむかしばなし 一休さん』(株式会社ブティック社 よい子とママのアニメ絵本 No.59号)を取り上げたい。子どもたちが幼かったころ、夜寝る前にお布団の中で読み聞かせしてあげていた本だ。

室町時代の禅僧、一休宗純。いわゆる一休さん。

お経をあげてほしいと、ご指名で呼ばれた家に前日、わざとお粗末なファッションで下見に行き、乞食坊主扱いされ、追い返される。

次の日、金襴の袈裟を着て再訪問。ちやほやされて丁重なもてなしを受ける。 
 
一休さんは怒って立派な着物をその場で脱ぎ捨て、「あなたは身なりで人を区別するのですね。あなたが来てほしかったのは私でなく、立派な着物なのですね」と帰ってしまう……というありがた~い人の心の在り方を説いたお話。

■人は外見で判断される。大人になると身なりへの気配りはマスト

私はこの話が納得できなくてムキになり、隣に横たわる幼い娘に長々と講釈をたれた。

「これはむかーしのお話だからね、ママはこれ、一休さんの意見に反対よ。人んちに呼ばれたのにきちんとした身なりで行かなかった一休さんが悪い。人は身なりで判断されるの、身なりもその人の中身の一部を表すのよ」と。

何を子ども向けの絵本をネタに、幼児相手に熱くなって、反論持論を展開していたのか。今思い出しても見苦しく、滑稽である。でも、どうしても一言、言いたかったのである。

おしゃれや洋服に気を使うのは軽薄で浮ついたことだ、という考えが今でも世の中に一部あるように思う。
 
外見ばかり着飾ってないで、もっと勉強したり知性を磨くべきだ、という意見。それは子どもや学生においては確かにそうかもしれない。外見なんか後回しにして、他の何かに打ち込むべき瞬間は、誰の人生にもある。

けれど、大人になって責任ある仕事を持ったり、家庭を切り盛りしたりする役目を背負ったりする頃から外見をきちんとすることは、ないがしろにできない重要事項だという思いはどんどん強くなった。

母が私に小言を言うように、私も娘にそれを伝えたかったのだ。時期がやや早すぎたが(笑)。

■あなたの手をかけた外見が周りにいる人を幸せにする

いつも髪を整えて、身綺麗にしていた祖母が言っていた。

「あなたがおしゃれしたり、洋服に気を使ったりするのは、あなた自身のためにもなるけれど、何よりあなたの周りにいる人たちをも、幸せな気持ちにする効果があるのよ」

だらしない恰好を平気でしたり、手入れしていない服をお構いなしに着ている人は、周りの人を思いやる心が足りてるかしらねえ、と手厳しかった。

昭和のはじめ、モノがまだ少なかった時代、一枚の服をできるだけ長く、綺麗に着ようと女たちは工夫していた。

経済的・物資的に限られた環境の中で生きていた祖母。そんな中で、少しでも心地よい、美しいと感じる時間を自分自身と家族と共有したい――そんな志があったのだと思う。

物があふれかえり、次から次へと新しい素敵な洋服が手軽に手に入る現代。それでも室町時代同様、人は人をまず流行や着こなし、おしゃれ度、ブランドetc.、外見や身なりで判断してしまう。

その前にまず、「自分の身なりが人にどういう印象を与えているか」「周りの人に心地よい時間を与えているか」を冷静に考えてみるのも、大人の女性には大切なことなのではと思う。

霧香

都内在住の50代主婦。 「50代になっても洋服好き主婦のファッションブログ」を運営。 仕事着&プライベート服の着回し。毎日のコーディネートに真剣に楽しく頭を悩ませる日々。

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