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心が折れそうになった時期も……ワーママ管理職のリアル

約半年間の産休・育休を経て、保育園が決まらぬまま5カ月で早期復職したショップジャパン広報部の板野可奈子さん。管理職として、新米母として、時間に追いつくのに必死で目まぐるしい、リアルなワーママの姿を不定期連載で綴っていただきます。

心が折れそうになった時期も……ワーママ管理職のリアル

はじめまして、ショップジャパン広報部の板野可奈子と申します。
DRESS池田編集長とご縁があり、新年度よりこちらでコラムを書かせていただくこととなりました。

読者の皆様の生活に役立つ情報がお届けできるかは甚だ疑問ですが、出産後の、とにかく時間に追いつくのに必死で目まぐるしい、私のリアルな姿をお伝えすることで、元気になっていただける方もいるかもしれないと思い、こちらのコラムを書き始めました。

どうぞよろしくお願いいたします。

さて、新年度。皆さんはどう過ごしていらっしゃいますか?
私は、9カ月になった子供をなんとか自宅近場の認証保育園に入れることができて、とりあえず一安心の春を過ごしています。

4月に復職されるワーママの、「子供と離れて寂しくなる」という声をよく聞きますが、既に4ヶ月前から復職している私にとっては「これで安定した保育の場が得られて、私も仕事に集中できる! 一安心!」という気持ちの方が大きいです。

私が勤める通販会社、ショップジャパンには在宅勤務制度があり、育児休暇も最長3年間取得できます。理解ある職場環境で働いている私ですらこういう気持ちなのだから、保育園がなかなか決まらない世の中のワーママたちは、どんなに重たい気持ちでこの春を過ごしているのだろうと思うとたまらない気持ちになります。

■育児休暇を経て、5カ月で早期復職した理由

私は2016年6月に第一子を出産し、産後3カ月の9月から復職する12月まで、月に約10時間程度の在宅勤務をしていました。

月10時間の業務だと大した仕事はできません。が、パソコン越しではあるものの重要な会議に出られ、会社やチームの状況を把握できることで、よくワーママから聞く「復職後、浦島太郎になってしまった」感覚はありませんでした。

わずか月10時間であっても、仕事は仕事。この時間は保育をベビーシッターや夫に任せ、私は業務に集中できる環境を作りました。

この3カ月の経験は、私だけではなく家族にとっても復職後のシミュレーションになり、とても有効なものでした。限られた勤務時間であれば、育児休暇手当は支給されるようなので、ご興味があれば皆様も会社の人事部に相談してみてください。おすすめですよ。

保育園が見つからない環境での本格復帰

本格復帰した12月以降3月までは、認可外も含めて保育園が見つからない状態での復職だったので、子供は基本的にベビーシッターサービスを活用し、週2回在宅勤務、週3回オフィス勤務をしていました。

産後、3カ月ほどで会社の業務に携わるようになり5カ月で本格復帰としたのには、理由があります。産前は「職場から長期間離れるのはキャリアのためにならない。本当の“女性活用”は、できるだけ早く産後の女性社員を職場に戻して、時間や働き方に限りがある彼女たちも正当に活躍できる場を提供することだ!」と強く考えていたからです。

それを証明するために「まず自分が」と意気込んで、思い描いていた働き方を貫いた7カ月でした。

復職直後は心が折れそうになることも……

ただ、正直に申し上げると、保育園が見つからない状況で、その働き方を実践してきたことが、会社や自分、家族にとってはたして正解だったのか、今の私には答えが出ていません。

自分のスケジュールをオープンにして、社内に共有していましたが、出張や重要ミーティングを調整すると、どうしても在宅予定だった日に出社しなければいけないことや早出出勤・遅出出勤が入り乱れ、自分や家族が混乱することもしばしば(チームもそうだったに違いありません)……。夫とも幾度となくぶつかり、間違えてベビーシッターがふたり来てしまったこともあります。

夜間授乳も夜泣きもあり、毎日が睡眠不足。どうしても時間に限りがあるため以前と同じようには働けない上、給料の大半は保育代に消え、子供は病気になるわ、自分自身も大切なイベントの直前に発熱するわ……。

会社も上司もチームも、私の理想を理解し、サポートしてくれる恵まれた職場環境です。

それでも、生後6カ月でインフルエンザを発症し初めての高熱で痙攣している娘を抱き、深夜2時過ぎの夜間救急に搬送している間のタクシーの中で、娘の体が心配でたまらないのに加え、「病児保育、どうしよう……仕事の調整をしなくちゃ」と考えている自分にふと気づいたとき、心が折れそうになり、泣いてしまったこともありました。

■ワーママ管理職になって見えてきたこと

このように短期間に濃い日々を過ごすなか、管理職に就く身としては、この実体験は役にたったと言い切れます。

自分自身を厚顔で体力的・精神的にもタフな人間だと自己分析しているので、当社の一般的な女性社員よりも少々キツく険しい条件で復職していないと、きっと小さな子供を抱えて働く彼女たちのつらさを本当の意味で理解できなかっただろうと思うのです。

たとえば、今までワーママのメンバーに対して「うちは在宅勤務制度があるから、子供が病気でも自宅で看病しながらお仕事することもできるよね」なんて考えていた私は大馬鹿ものだった、と自分が子供を持つようになってから猛省しました。小さい子供がひとりでじっとしているわけがないのですから。

自分としては「有給休暇は楽しい時間を過ごしてほしい」という純粋な親切心からきた想いだったのですが、「わかっていない人」でした。

ショップジャパンには、ファミリーサポート休暇という二親等の家族との時間を過ごすための特別有給が1年に5日間付与されているので、今後はそれを積極的に使ってもらえるよう、社員に推奨したいと思います。

成果を求めて社員を活用しなくてはいけない企業活動のミッションと、物理的に勤務時間に限界がある社員の立場、両方が今、実感として徐々にわかるようになってきました。

現実問題、なかなか難しいことですが、働き方革命が叫ばれる今、管理職は一人ひとりのチームメンバーの強み(弱みではなく)や特性、事情を理解して「チームとして」全体最適化させる組織運営を目指すべきなのでしょう。

板野 可奈子

インアゴーラ株式会社 社長室 広報部部長。 新卒にて外資系広告代理店に勤務した後、外資系ラグジュアリーブランド、オンライン通販会社などの広報部に所属。2017年秋より現職に。 プライベートでは結婚15年を経て、2016年...

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