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30代後半で妊娠。高齢出産が私の新しい人生を開いてくれた

39歳で妊娠が発覚した作家の大泉りかさん。30代・40代での高齢出産はリスクが大きいと言われている世の中で、彼女は「アラフォーでの出産には、この年だからこそ良かった、と思えることもある」と考えています。壮絶な痛みや不安の先に見えた高齢出産のメリットとはなんだったのでしょうか。

30代後半で妊娠。高齢出産が私の新しい人生を開いてくれた

息子が2ヶ月を過ぎたあたりから、区が育児支援として行っている子育て広場(乳幼児と保護者が遊んだり、交流したりできるスペース)やデイケア(産後数カ月までの母親が、乳児と一緒にゆっくり過ごして体力回復につとめるサービス)にぼちぼちと参加するようになった。そこでひとつ気づいたのは、そういった場所で出会うお母さんたちが、とても若いということだった。

妊娠中は月に数回、検診で産院に通っていたが、次回の予約を取る際は、必ず毎度決まった曜日の午後帯を指定されていた。午後遅めの時間帯だったせいか、待合室はいつもわりと空いていて、しかも、診察の順番が回ってくるのを待っているのはなぜか、わたしと同じ年くらいか、もしくはもっと年上のように見える妊婦さんばかりだった。

「いつも混んでなくてありがたいけど、それにしても年のいった妊婦さんばっかりだなぁ」と不思議に思っていたが、近頃は、40代で初産する女性だって珍しくない。都心の総合病院だから、とくにそういう傾向にあるのだろうと、なんとなく納得していた。

しかし、あるときのことだ。ちょうど同じ時期に、同じ産院に通っていた年下の友人と話をした。その際、「待合室がいつもすごく混んでいる」「若い妊婦さんもたくさんいる」と聞いて、ようやくのこと理解をした。

なんてことはない、わたしが指定された時間帯は、高年齢の妊婦たちの時間帯だったのである。いつも空いていたのも、高齢妊婦の数は、若い妊婦に比べれば、ずっと少ないからだったのだ。

■アラフォーで妊娠・出産をできたからこそ良かったこと

そうはいっても、わたしの周りでは、ここにきてバタバタと同級生や友人の妊娠出産が相次いでいる。彼女たちはアラフォーや40代でも、皆無事に健康な子供を産んでいるし、わたしも同じくとくに深刻なトラブルもなく出産を終え、育児の真っ最中だ。

年を取ってからの子育ては、「若い頃のように体力がないことが大変」と言われている。朝夜と問わない頻回授乳や、エレベーターのない駅で、お世話グッズがパンパンに詰まった鞄と、ベビーカーと、息子を抱えて階段を上ったりするのは、やはりキツい。

けれども、「この年で産んだからこそ、良かった」と思えることもある。実際にどんなことに良さを感じたのがあげていきます。

1.周囲に経験者がたくさんいて心強い

初めての事態に直面した際、先立って経験した人の話ほど心強いものはない。先輩のママさんたちは、うっかりすると育児が孤独な闘いになることをわかっているので、あれやこれやと世話を焼いたり心を寄せてくれるのが、本当に心強い。

育児グッズを選ぶのに迷ったときにアドバイスをもらえたり、保活の情報を教えてくれたり、おさがりを譲っていただけたりも、後発で出産したからこその利点。

また、ひとり目の子育てはとかくナイーブになりがちだけれども、神経質な育児をしていた友人が、ふたり目を育てるときにはいい具合にアバウトになっている姿を目撃しているため、「自分を追い詰めない育児」の参考にもなる。

2.金銭的余裕がある

20代に撒いた種が芽を出してようやく収穫期に入ったアラフォー世代。生活の土台がしっかりとできあがっている上で子育てを始めることができる。

ただし、子供が成人した頃には定年を迎えていることを考えると、無駄使いをする余裕はない。だけど「今、口座にお金がある」という環境は、多少なりとも子育ての不安を掻き消してくれることは間違いない。また、自分に対する物欲も若い頃ほどはないので、そのあたりも葛藤せずに済む。

3.両親・義両親の必要以上の干渉を受けずに済む

先に出産を済ませた姉妹がいる場合、すでに一度、初孫フィーバーを終えているので、熱が低く余計な干渉もされにくい。

また、上の孫の世話で、育児方法がバージョンアップされているため、「口移しでものをあげる」「とにかく厚着をさせる」といった、今は非常識となっている赤ちゃんへの対応をされることも少なく、多少は安心度が高い。

4.自分の意見をしっかり持って子育てできる

若者が自分の意見を言うと「ワガママ」とされ、年長者の意向に沿うようにと強制されがちだけど、こちらもある程度年を取っていれば、未熟者扱いされずに済む。

「お腹を痛めてこその出産、無痛分娩は愛情が沸かない」
「育てるのは母乳でないと」
「保育園に早くから入れるなんてかわいそう」

といった価値観をいくら押し付けられようとも、年を重ねると同時に身に着けた強さとふてぶてしさがこちらにあれば、いちいち傷つくことなく「わたしの子供なので、自分のいいようにやります」とさらっと言ってのけることができます。

5.新しい人生が始まる

黙っていても、様々な変化が向こうから訪れてくれる20代と違い、アラフォーになると、自分から積極的に動かなくてはなくては、なかなか新しい世界が開けてはくれなくなる。

だが年を取ると、億劫だったり、コンサバティブに守りに入ってたり、年甲斐もないと物怖じしたりと、なかなか物事に積極的になれなくもなる。結果、マンネリな日常を過ごしがちに。

けれども、子供を産むことで、否応なく新しい世界が目の前に開ける。これまで選択肢に入ることのなかったアクティビティで休日を過ごしたり、ママ友ができたりと、新鮮なことがたくさん。

人生に、うっすらとマンネリを感じているアラフォーだからこそ、このあまりにも大きな変化はありがたく感じられる。

■自分に向き合ってきたからこそ、子育てにも向き合える

人生の前半、自分を精いっぱいに育てあげた後だからこそ、今度は子を育てることに腹をくくって向き合えるし、これまで貪欲に積んできた経験だって、子育ての武器になる。高齢出産には高齢出産なりのいいことがあるのです。

大泉 りか

ライトノベルや官能を執筆するほか、セックスと女の生き方や、男性向けの「モテ」をレクチャーするコラムを多く手掛ける。新刊は『女子会で教わる人生を変える恋愛講座』(大和書房)。著書多数。趣味は映画、アルコール、海外旅行。愛犬と暮...

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