【母だってひとり旅#0】女性ひとりで旅に出るためのポイント
ひとり旅が大好きで、元バックパッカーだったバニーさん。結婚して子供を持つようになってからも、ひとり旅を諦めきれず、30代後半に旅に出たい衝動が再燃。夫・子供を置いてひとり旅に出てきました。どうしてそのような経緯に至ったのか? どうやって母親の立場でひとり旅を可能にできたのか? リアルな経験を紹介していきます。
「母だってひとり旅」では、普段は家事に育児に忙しいお母さんが、ひとり旅に行くためのコツとおすすめの観光スポットを紹介していきます。こちらの記事では、まずひとり旅の魅力やそれを実行するためのポイントをお伝えできればと思います。
■前までは自由に世界中を旅行していた
最初に自己紹介をしていきます。わたしは現在40代前半・息子2人と夫がいる、ごく普通の一般家庭の母親であり、妻でもあります。仕事はフリーランス。そのため時間には融通がききます。
さてちょうど今から20年以上前、20歳の時に初めてひとりで海外へ。目的はイギリスでのホームステイ体験と語学学校への通学。いわゆるプチ留学です。
初渡航をしてからというもの、はじめて飛行機に乗った時の興奮と、見知らぬ外国を訪れ、自由気ままに自分だけのペースで行動をすることの面白さにすっかりハマり、以後2年ほど、バックパッカーとしてアメリカ・ヨーロッパ・東南アジア諸国をひとりで旅をしました。
バックパッカー体験を通して、日本人との気質の違い、習慣やモノの考え方の違いを知ったことで、今まで培ってきた日本人独特の価値観が崩壊。そして何より、海外に出て強く感じたのは日本の素晴らしさと物質的な豊かさ、清潔さ、サービスの充実、日本製品の緻密さと気遣い。
そういったことが旅を通じて私に大きな影響を及ぼし、ますます旅に夢中になりました。
しかし大学卒業の翌年、予期せぬ妊娠が発覚。悩んだ末、結婚に至りました。そこからおよそ10年以上、育児と家事中心の生活。あまりにも日々が忙しく心に余裕もなかったため、自分が旅好きで、旅に出たいという気持ちを持っていることすら、すっかり忘れていました。おそらく母親だから無理だ、今の状況で行けるわけがないと、心の奥底に情熱を封印していたのでしょう。
■スリルあふれる体験を求めてひとり旅へ
それが子育てがようやく落ち着いてきた38歳の時。ふと、またひとりで旅に出たい! という衝動が湧いてきました。ちょうどマイルが貯まったタイミングでもあり、思い切ってヨーロッパにひとり旅に出ることを決意したのです。
また、もう一度あの興奮を味わいたい! 若い時のバックパッカー経験で感じたあのワクワク感や高揚感、鳥肌が立つような体験、ちょっとした冒険とスリル。それらをまた味わいたいとも思いました。
さらに付け加えるなら、完全なる自由がほしかった。母という立場上、自分が食べなくても食事は準備せねばならない、子供たちの面倒を見なくてはならない、彼らの状況を把握していなければならない、家は多少なりともきれいに。あまりにも多すぎる母の仕事。こういった一切の制約から解放されたいと思う瞬間はゼロではありませんでした。
そして20〜30代のほとんどを育児と家事に費やした私としては、大多数の日本の若い社会人がやってきたことをほぼ知ることなく生きてきました。正直、そういったことを体験できなかった悔しさもあったのです。
■母のひとり旅。実行するためのポイントは?
もちろん、ただ行きたいという思いだけでは実行できないのが母のひとり旅。私は、お金のことよりも、家族との兼ね合いの方が重要だと思います。ただし、夫の理解、家事や育児のこと、日々の生活や学校のこと……それらをすべてクリアすることは難しいかもしれません。
ですので、まずは条件を揃えようとしないことが第一。自分にとって都合のいい条件がすべて揃うのを待って、それから旅に出ようというのは、はっきり言って厳しい話。しかもそこに到達するまでに、かなりの年月を要します。
大切なのは「旅にでる」と腹を決めること
ではどうやって旅に出られるというのか?答えは非常にシンプル。「ただ、行くと決める」のです。
何より大事なのは「腹を決める」こと。
これが曖昧なうちは、行きたいな〜と言っているだけの、自分の希望を述べているだけの段階です。そうではなくて、はっきりと、決める。行く、と断言する。これは自分にはもちろん、家族にもです。
相談はせず、決断は自分ひとりで
そしてもう一つのポイントは、相談はしないこと。夫に相談してみてから……というお話をよく聞きますが、普段からあなたの意見にすべてOKをくれるような相手でもない限り、ほぼ間違いなく反対されます。
これは私の場合ですが、外出や旅などすべての行動において、私が事前に夫に相談することはありません。「何をどう意見しても無駄だ」「聞く耳を持っていない」と夫に思われていることが大きな理由です。これは長年、わたしが彼にそういう性格だと思わせてきたことによるものです。
こういった夫の私に対するイメージは、15年以上かけて蓄積してきたものですが、今の私にとっては大いに役立っています。言えばなんでも聞く従順な妻ではありませんが、私にはそういう妻の像や、世間から見たイメージは必要ありません。これは母親としても同様で、世間から見たいいお母さんでありたいという欲も、最近捨てました(笑)
■夫の理解を得るためにはどうしたらいい?
とはいえ先ほどの例はあくまで私の場合であって、一般的なご夫婦にはなかなかピンとこないお話かもしれません。ですのでそういった方々に向けて、どのようにひとり旅を実現していけばいいのかをお伝えします。
子供の面倒をみてもらえる人を探す
まず、夫に不在中の家事育児を任せようとすると、おそらく不満を抱くでしょう。彼らは家庭での自分の仕事と負担をなるべく減らしたいと考えているはず。そこをいかに緩和できるか。
例えばお子さんが小さい場合は、育児のサポート役を担える人を確保すること。一番いいのは両親か義両親。それが無理ならば近所のママ友、地域のサポートセンター。あるいは有料だけどすべて安心してお任せできるという点では、ベビーシッターという選択もあります。
不在中のやることリストを作ろう
家事・育児については、夫にやってほしいことはすべてわかりやすく伝えること。これは目に見える形にした方が効果的ですので、箇条書きにして書き残すのが一番です。
例えばゴミの日にはじまり、子供の学校や園の準備の内容、必要な服やアイテムのしまってある場所など、普段あなただけが理解していて夫がわかっていないことを細かく書き出すのです。
プラス、こういう場合はどうするか? という対処法もあわせて書き出すこともおすすめ。
これは夫に直接、自分がいない時に何がわからなくなりそうかを聞いてみるのが効果的。例えば消耗品ストックの場所であったり、子供が泣いた時の対処法であったり。
きっとあなたが当たり前に知っているけど夫は知らないということがたくさんあるはずです。
自分のすべきことや問題の対処法がわかり、疑問が解消されれば、あとは書かれた通りの行動をしていくだけですので、彼らにとっても安心が得られる。不在から帰ってきた後の、お互いのストレスも格段に減りますので、やることリストの作成はおすすめです。
■母になって最初のひとり旅は、パリとバルセロナへ
さて母親になってから15年、ひとり旅への情熱を封印したまま生きてきたわけですが、ようやく38歳の時にヨーロッパひとり旅が叶いました。行き先はパリとバルセロナ。貯めたマイルでパリまで飛び、そこからバルセロナへ。
パリはバックパッカーをしていた時に2度訪れた街ですが、大人になってから行くパリはまた格別でした。かつて安宿ドミトリーばかりを渡り歩いていた私ですが、多少なりともそれよりはいい場所に宿泊することができたり、昔はパンと水で食事を済ませていたのが、ちょっとしたカフェで食事できるようになれたのは本当に嬉しかったです。
出国の飛行機のテイクオフ時は、今からひとりなんだ! という感覚に浸り、胸が震えました。家族と離れ、自分ひとりで海外へ行けるというありがたみと、私の決断にただ従ってくれた夫と子供への感謝。いくら相談しないとはいえ、母のひとり旅というのは夫の理解なしには辛いものです。
■家族を理由に旅を諦めてほしくない
今回は私の簡単なヒストリーから始まり、ひとり旅再開までの話を書きました。次回以降は母となってからの私の旅の経験、モノの考え方や価値観について綴っていきます。
夢があるけど子供がいるからと諦めかけているお母さんや、結婚にあたって自分の夢が失われるのではないかと不安に思っている方にお届けしたい内容になっています。今後ともどうぞよろしくお願いします。