WAKA TAKAHASHI高橋和伽さん「世界観を形にしていくのがデザイナーの仕事」
バッグのメゾン「WAKA TAKAHASHI(ワカ タカハシ)」を立ち上げた新進気鋭の若手デザイナー、高橋和伽さんをインタビュー。憧れの職、デザイナーになるまでの道のりやWAKA TAKAHASHIのバッグに込めた想いを伺いました。
旅するジャーナリスト小野アムスデン道子です。驚きと発見で好奇心を刺激する旅のように、私の好奇心を刺激した若いバッグデザイナーがいます。
バッグのメゾン 「WAKA TAKAHASHI(ワカ タカハシ)」を立ち上げた新進気鋭の若手デザイナー、高橋和伽さん。憧れの仕事に間違いないデザイナー。そもそもどうするとなれるのでしょうか。
■「WAKA TAKAHASHI」バッグを通じてオリジナリティを表現したい
―― “LUN LUN”や”KIRA KIRA”など言葉がそのまま形になったバッグは、とてもオリジナリティのある素敵なデザインですね。
「今、作っているバッグはクラシックライン(写真上のホワイトパールとシルバーの2種)と言葉遊び(写真下)の2つのラインで作っています。言葉遊びの”LUN LUN”や“KIRA KIRA”は、外国語にはない日本語の擬態語が、日本らしいということで海外に話題になればと思ってスタートしたものです。何か、革の表面に立体的なデザインを施したいなと考えた結果、文字を使うことにしました」
――そもそも大学でバッグの製作をすでにされていたのでしょうか? どのようにデザインや技術を身につけましたか。
「大学ではアクセサリーデザインを専攻していましたが、3年生では服、4年生では靴やバッグと製作の課題が多く、寝る間もないほどでした。なので、デザインも製作も一通りはできたのですが、卒業後にバッグのデザインに絞ろうと決心して、自分のオリジナリティを出すには、バッグの構造をどうするかを知らないといけません。それは、実際にバッグを作ってもらう工場の人と話すなかで身につけました」
――卒業製作の作品もとても素敵で、完成度が高いですね。靴とバッグとで、バッグを選んだ理由は? その頃からデザインをする上で考えていたことはありますか?
「靴は木型に合わせて作っていくもので、その木型をサイズやヒールの高さなどでいくつもおこすのが大変なのです。一方、バッグは家具などのプロダクトデザインに似て、型も何もないところから作り上げていくところに引かれました。
人は、モノそのものよりデザイナーの世界観に惹かれて好きになるのだと思い、そうした自分なりの世界観や考えていることを表現できるバッグを作りたいと考えていました」
■デビューのきっかけはSNS
――卒業をされてからメゾンを持って、伊勢丹でデビューされるまでとても早かったように思うのですが、どうやってチャンスをつかんだのですか?
「伊勢丹のポップアップショップは、私のELLEgirlブロガーとしての活動にバイヤーの方が注目してくださったのがきっかけです。
幼馴染みがELLEgirl編集部でバイトしていて、ELLEgirlには親しみを持っていたところに、ちょうどブロガーの募集をしていたので応募してみたところ、採用されて。そこに、デザイナーになる道のりなどUPしていたところ、展示会にお声がけいただいたのです。
その後に、ミラノの郊外の工場を見つけてきて、実際にメゾンとして立ち上げるまでは苦労しましした。高校時代にヨーロッパで生活していたことや、母がイタリアからの靴のインポートを手がけていたことは有利でしたが、サンプルを作ってもらって、値段交渉をして……と、全部、自分でやりました。
趣味のイラストレーションも、インスタグラムなどのSNSもマメに続けることはとても大事ですね。ファンがついて、デビューのきっかけになることもあるのですから」
■年代を問わないWAKA TAKAHASHIのバッグ
――DRESS 世代にもフィットしそうな「WAKA TAKAHASHI(ワカ タカハシ)」のデザイン。今後が楽しみです。
「ありがとうございます!六本木のミッドタウンに、母と一緒に『HB Show-case』
という店を出していますが、買ってくださる年齢層は幅広いです。日本の最近のファッションコーディネートは、年齢による差がなくなってきています。『WAKA TAKAHASHI(ワカ タカハシ)』は親子で共有して楽しんでいただけるバッグだと思います」
取材・文/小野アムスデン道子
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスへ。東京とポートランドを行き来しつつ、世界あちこちにも飛ぶ、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。