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不甲斐ない自分でもいい。自ら愛を与えられる人でありたい

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ナイフでえぐられた心の傷は深部にまで達した。受け入れてもらえなかった自分。言いたいことが言えなかった自分。そして成熟していなかった自分を認めざるを得ない状況に呆然とする。でも悲しみを噛みしめたら一歩前に歩き出してみよう。自分から笑顔をふりまける人になったとき、人生が好転していく気がするのです。

不甲斐ない自分でもいい。自ら愛を与えられる人でありたい

その日、ずっと親しくしてきた友人とはあまり穏やかではなかった。

お互いが自分の正義と自己防御を主張するばかりで会話が噛み合わない。相手は弁が立った。理詰めで隙なく攻め立てられ、こちらが盾を振りかざしたところで何とも脆く、容赦なく次々に切り刻まれる。武士で言うなら相手は日本刀でこちらは子供のチャンバラ。キックボクシングならノーガードで連打。ダウンしそうになるものの、立ち上がって反撃しようとしたところで、頭から足蹴りされる。

しかし、そんな緊張感がある状況であっても、「善人を装った人物が、顎からマスクをベリベリッと剝がして正体をばらすような場面と似ていたなぁ」と、あとからどうでもいいことを思ったりした。落ち込んでいてもくだらないことを考える。

誤解がないように言うと、相手にも背景があるし自分ばかりが被害者ではない。もしかしたら加害者だったかもしれない。

傷つける言葉は発する方も聞くも辛いのだろうか。

私は何に傷ついたのか。

少しも受けいれてもらえなかったことか。

想いを半分も伝えらなかったことか。

私は相手が言うほどそこまでひどい人間なのだろうか。

自分はどうしたいのだろう。

自己肯定感なんてものは急降下で底辺に向かい、ひとりだけ取り残された気分になった。

屋根裏の暗闇から見る皆の光は眩しい。

タイミングを合わせたかのように、使っていたパソコンは調子が悪くなり、長年愛用している腕時計は突然電池が切れた。雨が降っていても傘はなく、その日に限っていつも持ち歩いているタオルを忘れた。歩行者天国で賑わう銀座の人ごみの中を建物の屋根から屋根まで走って移動した。

言葉は相手との関係がどうなろうと聴覚を通して保存されていく。落ち込むのは図星を突かれた部分があるからだろうか。

■悲しみを抱きしめたあとは、行動する絶好のチャンス

しかし、辛いときほどいつも以上に動く習性の自分もいる。じっとしている方がさらに自分を追い込みそうな恐怖感がある。負のパワーは強烈だが、強い感情を伴う痛みや喜びは行動を突き動かす。その強烈なパワーを生かせよ! とも思う。もしかしたら人生を前向きに変化させられるチャンスなのかも? と。

この日は、怒りだけが気持ちを占領した。

応戦の翌日、気になっていたライブに急遽行くことにした。普段あまりライブに行く習慣はないが、思いつきと行動のみだ。開演時間まで時間が迫っており、急いでネットでチケットを落札。場所や時間を調べ、電車で移動する。そんな作業だって多少は気分も紛れるしライブは実際楽しかった。体を動かすと気が晴れるというのは本当だなと思った。

わかっている。これは一時のごまかしなのだけど、それでも少し気が紛れた。部屋の四隅で膝を抱える選択もありだが、動いてみるのも大いにありだと。

3日目には思っていることを書きなぐり反省と共に段々整理がついてきた。気持ちやモノの断捨離も始めた。

――さて、友人と言い争いになってから1週間以上経った。

詰まっていた栓を抜いて一気に水が流れ出したかのように、断捨離したスペースに良き出会いや話が次々に入ってきている。何かを手放せば新しいものが入ってくる法則を身を持って実感した。

なんだか清々しさまで湧いてきた。要するに前向きな気持ちなのである。しかも以前よりパワーアップした気さえする。

改善すべきところは気持ちに蓋をせず向き合おう。

できれば○○しないようにする、という考え方より△△していこう、という考え方の方が好きだ。例えば、「相手に執着しないようにしよう」より「相手を尊重しよう」というように変換させる。ちなみに食事も「〇〇を食べないようにしよう」もいいが「△△を取り入れて食べていこう」の方が制限なく前向きな選択をできるような気がする。

無理にプラス思考にならなくても良いし、立ち止まってもいい。マインドを選択する自由は皆平等だ。でも負の感情を抱きしめたら、断捨離をしよう。空いたスペースにはきっと良き出来事が入ってくる。前向きな人に会いに行こう。行動しよう。そして少しずつでも自分から周りに笑顔をふりまける人になろうではないか。そう思い始めたとき、巡り巡って人生が好転していく気がする。

空を見上げたら本日は晴天だった。

写真/石田晋也(アートディレクター、モノクロ写真家)

http://shinyaishida.wixsite.com/photography

http://www.ishidaplanning.com/

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松永 怜

東京出身。フリーライター。ワーク・ライフスタイル・恋愛・婚活を中心に執筆中。趣味は高校野球・アクリル画、銭湯。

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