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おばあちゃんとマダム、ファッションはどう違うのか巣鴨で検証【デキる女の決断クローゼット #16】

海外のおばあちゃん、いやマダムのファッションスナップや、それを集めた写真集が人気を集めています。彼女たちはおばあちゃん、ではない。では、おばあちゃんとマダム、それぞれのファッションの違いは何なのか。おばあちゃんの原宿、といわれる巣鴨とげぬき地蔵商店街へ足を運んで考えてみました。

おばあちゃんとマダム、ファッションはどう違うのか巣鴨で検証【デキる女の決断クローゼット #16】

■おばあちゃんの原宿でファッショントレンドを調査してみた

女子はいつから「おばさん」に、そして「おばあちゃん」になるのでしょう。歳を重ねてもおしゃれの現役感が漂うマダムと、ごく普通のおばあちゃんの違いは何なのか?

その理由を探るため、おばあちゃんの原宿「巣鴨地蔵通り商店街(通称とげ抜き地蔵)」に出かけてみました。

振り込め詐欺への注意を呼びかけるアナウンスが響く商店街の門をくぐると、そこは平日の昼過ぎにもかかわらず、大勢のおばあちゃんたちで賑わっていました。

洋服屋の隣に天然石の開運じゅず屋があり、その隣にお団子屋という、突拍子もない店の並び方は、確かに原宿竹下通りにそっくりです。

4〜5人で仲良くつるんで歩き、「あなた、この服似合うわよ」と、自分は買わないのに人にはやたらとすすめる点、そして健康と開運に興味があることなどは、年齢にかかわらず全女子共通の特徴のようです。

おばあちゃんに似合う色

■おばあちゃんファッションのマストアイテムと着こなし

道行くおばあちゃんたちのスタイリングや、お店の品揃えから、おばあちゃんファッションのマストアイテムが見えてきました。

基本はお尻がすっぽり隠れる丈の、あったかジャケット。色はアースカラーがベースです。それに、たたんでバッグに入る帽子と、ゴム底の安定したシューズ。

小物の色は黒・茶・ボルドーが定番のようです。そしてリュック、またはチャックがたくさんついた斜めがけのナイロンバッグで、両手をあけるのがお約束。

首元には小さなスカーフやマフラーを巻き、首手首足首の3首はすべてきっちりと隠しています。大きなマフラーを巻いているおばあちゃんを見かけないのは、巻きづらさが原因でしょうか。

また素材は「伸びる、裏起毛、糸くずがつきにくい」の高機能が欠かせない要素になっているようです。

■「開運赤パンツ」には合理的な理由がある

おばあちゃんのファッションには何色が似合うのか

商店街で最も目を引いたのは、写真上段右の真っ赤なパンツです。パンツ、腹巻き、スパッツなど、形状からして男性へのお誘い目的ではなく、赤という色で開運効果を狙う商品のようで、商店街のあちこちで見かけました。今おばあちゃん業界では最もキテいるトレンドのようです。

私の知人でがんとの2度の闘いから生還したS氏によると、赤い色の服を着ると免疫力が上がるので、免疫力が低下しやすいおばあちゃん世代が着るのは、理にかなっているとのことでした。

赤下着だけではありません。おばあちゃんたちがセレクトしているものには、すべてちゃんとした理由があります。冬のアースカラーは太陽熱を吸収し、保温効果が高まりますし、帽子は防寒と共に、少々心もとなくなった髪の毛をカバーする役割もあります。

斜めがけバッグやゴム底靴は、転倒防止と汚れのつきにくさなどが計算されてのことでしょう。すみずみまで合理的にできていて、何ひとつムダがありません。まさにおばあちゃんの知恵袋です。

■おばあちゃんファッションとマダムファッションの差

つまり「おばあちゃんファッションとは機能性の追求である」と言っていいと思います。細く見えそうとか、モテそうなどといった要素は排除され、いかに快適で手入れが楽か、などの合理性に振り切った結果が、おばあちゃんファッションなのです。

ヨーロッパの年配マダムが、硬い石畳の上を10㎝ピンヒールで歩いていたとしても、「おばあちゃん」とは呼ばれません。楽ちんさを犠牲にして踏ん張っている姿に、私たちは女の意地と心意気を感じとるからでしょう。
 
究極、おしゃれは我慢大会です。ダイエットしてシェイプされた肉体も、ウエストからヒップまでぎゅっと締まったひざ上丈タイトスカートも、楽ちんさを手放すことで手に入るものなのですから。

人の肉体は年齢とともに衰えるものです。その衰えを、機能性で補おうとするのがおばあちゃんファッション、自分の体にムチ打っても楽に流されまいとするのがマダムファッションといえるでしょう。

もしもあなたが、少しでも長くこちら側に踏みとどまっていたいと思うなら、2回に1回はUGGのブーツをやめて、ポインテッドトゥーのハイヒールを履いてみる。日々の小さな我慢が、マダム道へとつながる道筋なのかもしれません。

あなたが何歳でもオシャレはできるし、世界は変えられる。

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輪湖 もなみ

ワードローブコンサルタント/リメイクデザイナー 大手アパレルで16年間ブランド管理や店頭指導などに携わる。長年培ったノウハウを個人のクローゼットに応用し、毎日着る服がないと悩み断捨離を繰り返す人を救うため、クローゼットコン...

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