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好きな仕事で独立するということ【独立するまで 独立してから #6】

会社を辞めて独立して仕事をしたい、自分らしく働きたい、と考える方もいるのでは。できるなら、好きな仕事で独立したい。そんな夢を実現した諸戸佑美さんが、独立して仕事をすること、について綴ります。

好きな仕事で独立するということ【独立するまで 独立してから #6】

皆様、こんにちは! アートディレクターの諸戸佑美と申します。今度、定期的にコラムを書かせて頂くこととなりました。今回のテーマは「独立して働くこと」 。

フリーランスで仕事をしている私が、独立して仕事をするようになるまでを振り返ります。独立しようとしている方、独立を検討している方に参考になると嬉しいです。

■独立して仕事をするまでの人生を振り返ると

仕事と育った環境は関係しているなぁ、としみじみ思います。子供の頃の将来の夢は、家族の影響でイラストレーターやデザイナー、編集者になることでした。

福岡県の太宰府で幼少期を過ごした私は、祖父母にとても可愛がってもらいました。

祖父は、地元の西日本新聞社で編集者をしており、絵も描く人で、四季折々の花が咲く高台の白壁の家には、祖父が描いた油絵や民藝などの雑貨が飾ってあり、素敵な編集者を地でいく人でした。

飴色のウェリントンの眼鏡姿は子供ながらにとても格好良いと思いましたし、出版社の人たちが行きつけの珈琲店にも時折連れていってくれたときは、その空気感もそこにいた大人の人たちも優しく心地良かったのを覚えています。

母も服飾の仕事をしており、中原淳一さんのファッションブックなどの魅力的な本がたくさんあって、真似して描いたり作ったりしていました。

小学生の頃には、教室で絵を描いていると「上手いねー。私も描いて」と、友人たちが集まってきて、リクエストに応えていろいろ描くのが楽しかったです。

そんな理由で物心ついた頃から、絵や文を書いたり何か創ったりすると、喜んでもらえるので、
自然と将来はイラストレーターや編集者、デザイナーといった仕事をするようになりたいと思うようになりました。

私の場合、子供の頃のまま大人になっても好きなことを同じように夢中にやっているだけです。絵や文を書いたり、創ったりしているときのワクワクする気持ちは、子供の頃に頼まれて描いていた気持ちと変わらないですね。

■好きなことを大切にして生きてきた

また、素晴しい師匠や先輩、仲間などの出会いに恵まれました。

京都での学生時代、Wスクールで京都インターナショナルアカデミーパレットクラブという、イラストレーションスクールにも通っていました。

そこでイラストレーターでアートディレクター、作家としても憧れていた安西水丸先生に出会い、褒めてもらったことが大きいです。

昔から興味を持った人がどんな人生を歩んできたのかプロフィールを見るのが好きですが、水丸先生のプロフィールを見ると電通にADとして就職、渡米してNYのデザインスタジオで働き、帰国後は平凡社でまたADをされています。

そんな尊敬する方のプロフィールを参考に、私もデザイン事務所〜出版社で経験を積んで、独立して仕事をしようと考えたのが、フリーになった道筋といえば道でしょうか。

デザイン事務所では、主に西武百貨店のカタログなどのデザイン、手配進行管理、サンケイリビング新聞社の編集部では、企業やお店などの広告から一面の特集記事まで、企画/編集/取材/執筆/写真撮影/コピーライティング/レイアウトデザインなど何でもしました。

■大事なことは身体に聞くように

出版社を辞めて独立し、イラストレーターとしてもフリーで仕事をしたいと伝えたときに、先輩に「会社を続けながら外部の仕事を受けて、軌道に乗ってから辞めたら?」と仰っていただいたのは、編集者冥利につき嬉しかった。

独立後、会報誌の毎月の表紙絵の連載のお仕事もご依頼いただくなど、本当にありがたかったです。

女性の多い職場でしたが、仕事・結婚・出産といったさまざまな方の人生の選択を知ることができ、デザイン事務所や出版社での経験は仕事をしていく上でとても役に立っています。

私はというと、友人の紹介で知り合った人と結婚して現在娘が一人いますが、かけがえのない家族であり、共に暮らしを楽しみながら仕事をすることができ感謝しています。

普段どんな人と過ごして、どんなものを見て、どんな好きなものに囲まれて、どんなことを考えて生きているか、環境はとても大切です。

好奇心を持ったときは、できるだけその場に行って、見て触って知ることを心がけ、大事なことは、身体に聞くようにしています。好きなものを大切にすること、それが自分らしさとともに幸せにつながっていくでしょう。

すべての経験が、絵や文章を書いたり、デザインする仕事に生かされていると思います。

まだまだ夢の途中ですが、子供の頃からの夢が叶って幸せです。仕事が遊びで遊びが仕事で、生涯ずっと仕事をしていけるように精進します。

諸戸 佑美

本や広告のアートディレクション/デザイン/編集/取材執筆/イラストレーションなど多方面に活躍。

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