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イタリアワインの特徴と魅力~ミラノ通信#3

ミラノ通信の3回目は、イタリアに渡ってワインに魅了されて、最短でも2年かかるというソムリエ資格を4年かけて取得したという河見恵子さんにイタリアワインの特徴とブドウ品種など基本を紹介して頂きます。

イタリアワインの特徴と魅力~ミラノ通信#3

ブドウの品種が130種、2000くらい?

イタリアは、世界広しといえど稀有なワイン大国です。20州全州でワインが生産され、しかも、栽培されているブドウの品種においては数え切れないほど沢山あるのです。イタリアソムリエ協会のテキストに記載されているだけでも130種余り、各地の生産者によれば、2000くらいはあるのでは?という話もあるほどです。

畑のブドウ。丹精こめて愛情いっぱいに育てられる葡萄。ひとつひとつ手作業で丁寧に収穫される。

地産地消がベースだったイタリアワイン

今からは想像できませんが、ひと昔前までのイタリアでは、ワインは流通させるものではなく、その土地で消費されるものでした。
なので、イタリアワインというのは、その土地に根ざした土着品種で作るワインに、その土地の食材、ハム類やチーズ、そこでしか味わうことのできない食と切っても切れないものであり、歴史や地域の特性、伝統にも触れることのできるものなのです。ひとつの文化として捉えると、より興味深く楽しむことができるでしょう。

カンティーナにて、バリック樽と生産者。ステンレスの樽、オークの樽、と使い分けられる。オーク樽にもサイズがあり大樽で熟成されるもの、小さなバリックで熟成されるものとさまざま。

ワインの特徴の基礎となるものは3つ、気候、土壌、品種であり、これらの相互作用と生産者たちの独自のメソッドでワインの個性がつくられます。
気温が高ければボリューミーで酸が低くなり、低温なら繊細で酸が高くなる。降水量が多ければサラリと優しく、少なければ凝縮した味に。日照量が多ければ果実味たっぷりパワフルに、少なければ繊細でエレガントに。寒暖差が大きければ強い香りと力強い構造、小さければ優しく穏やかなワインに。土壌も石灰岩、火山性、など様々であり、ワインのもつ酸味やタンニン、ミネラル、香りに影響を及ぼします
同じ品種でも、その土地の特性や作り手によって、できるワインは多種多様です。
南北に長く、山脈、平野、長い海岸線を併せ持つイタリアでは、そこに住むイタリア人と同様、個性の際立つ様々なワインが生まれるわけです。

ワイナリーの庭で、その土地のサラミや生産品とともに試飲する様子

特徴的な2大ブドウ品種は、ネッビオーロとサンジョベーゼ。ネッビオーロの代表が「バローロ」「バルバレスコ」

イタリアの特徴的な2大品種と、食事とのアッビナメント(マリアージュ)をご紹介しましょう。

「ネッビオーロ」
北部のピエモンテ、ロンバルディア、ヴァッレ・ダオスタ州の限られた地域にのみ普及。ルビー色、ほのかにオレンジの色調をもつガーネット色を帯びたワイン。薔薇にスミレ、ナツメグの濃縮された上品な香り。湿った土やトリュフ、熟成後はタバコを思わせる香りも感じられる、複雑で豊かな香りが特徴です。コクのある味わいと強いアルコール、タンニンが感じられ、芳醇な香りが長い余韻を残します。長期熟成に耐える偉大なワイン、イタリアワインの王と称される「バローロ」「バルバレスコ」はこの品種からつくられます。

「アッビナメント」
赤身の肉を基本としたメインディッシュに良く合います。アルバの白トリュフ、ピエモンテのカモシカのようなジビエ料理、ピエモンテのトーマ、バゴスといった熟成チーズと相性が良いとされています。

トスカーナ・アンティノーリの敷地にて。なだらかな丘陵いっぱいに見渡す限り広がるブドウ畑

サンジョベーゼの傑作は女王「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」

「サンジョべーゼ」
イタリアでより栽培され広まっている品種であり、トスカーナやエミリア・ロマーニャ州など中部で普及。深いルビー色、香りは非常に強く繊細、マラスカ、スミレの花、プルーンのようなフルーツを感じさせます。タンニン、アルコール、爽やかさのバランスがとても良く、しっかりしたボディ、味と香りの心地よい持続性が感じられます。
世界的にイタリアワインを有名にした、キャンティワイン、またバローロと並んでイタリアワインの女王と称される、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」を生み出す品種です。

トスカーナのワイン・長期熟成に耐えるポテンシャルを備えた素晴らしいワインは、熟成するごとに香りや味に複雑味と華やかさが増していく。ヨーロッパでは女性も同じく、歳を重ねるごとに成熟した美しさが讃えられる

「アッビナメント」
チンタセネーゼの生ハム、鶏レバーのペーストをトーストに乗せたクロスティーニ、ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ、牛肉を香草、トマト、赤ワインで煮込んだストラコット、鶏や羊のトマト香草煮込み、猪肉のラグー、チーズでは羊乳をベースにしたペコリーノ・トスカーノ、クレーテセネージなどと合わせるとお互いをとてもよく引き立てあいます。

個性的なボトルのラベル・イタリアらしいデザイン性と美しさが特徴。ここにも独自のセンスが発揮されている。

バリエーション豊かなイタリアワイン、どうやって選べばいいの?という方に。

好きな地域のものを選んでみる。あるいはラベルや名前の気に入ったもの、という気軽な選び方から始めるのもいいでしょう。
いろいろな地域、品種のワインを飲み比べていくごとに、イタリアワインのバラエティ豊かな魅力を実感する楽しみが増えていくことでしょう。

お気に入りのワイン2選

右のティニャネッロは、Antinori家のリリースするワイン。トスカーナは歴史的に貴族がワイナリーを経営しているケースが多く(Frescobardi家, Ricasoli家など)、それぞれの地方の歴史やワイン作りの経緯などを知るのも興味深いものがあります。

左の白ワインは、作り手はフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州にあるJermann。オーナーのクリスタルのイラストは虹の7色に白と黒の9色で描かれ、1987年から当初は9年間だけの限定販売だったものです。“Where the Dreams no end(夢は果てしなく)”とかかれていたものが、現在は“Were Dreams”となり、夢はどこから生まれるのか、というイェルマンのロマンチックなメッセージがラベルとネーミングにあらわれています。

河見 恵子

日本航空で15年間、国際線客室乗務員として勤務。退職後はミラノに居住し、東京と往復する生活。ミラノ・ブレラ地区を中心に、身近な情報をブログやFBで発信。ミラノでは在イタリア日本人のために料理教室をオーガナイズ、開催。ワイン好...

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