子供はほしいけれど、しっかりと相手を見定めるべきか? それともできるときに出産すべきか。今回は、患者さんからよく受ける質問について、産婦人科女医で性科学者の宋 美玄(そん みひょん)先生にお話をお伺いしました。子供を産んだら後戻りはできません。
卵巣年齢を知る「AMH検査」
自分の「卵巣年齢」が何歳相当なのか知っていますか。今回も、産婦人科女医で性科学者の宋 美玄(そん みひょん)先生に、月経と排卵の関係や卵巣年齢がわかるAMHという検査についてお話をお伺いしました。数値を知ることは大切ですが、振り回されないようにしましょう。
■月経があっても排卵しているかはわからない
アラフォーは、まだまだ出産もできる人もいれば、「プレ更年期」の症状が出てきてしまう人もいる、女性として「何でもアリ」な年代だというお話を「プレ更年期の年齢と、妊娠の関係」で前回しました。
「生理が毎月来ていたらまだ妊娠出来るってことだよね?」
「私はどうなの?卵巣の年齢が知りたい!」
などなどみなさんいろんな感想を持たれたと思います。よく誤解されることですが、月経が毎月きっちりあるからと言って、排卵しているとは限りません。
排卵しているかどうかは基礎体温をつければある程度わかります。今はスマートフォンのアプリで無料のものが出ているようで、患者さんがスマートフォンの画面を見せてくれる時代になりました。
婦人体温計の方も、わずか10秒で測れてスマートフォンにかざすだけで記録が完了するものがあるそうで、基礎体温を測るハードルが低くなっていてなによりです。
しかし、排卵していたとしても妊娠できるとは限りません。妊娠率(俗っぽく言うと「妊娠力」でしょうか)は年齢とともに低下します。
■卵巣年齢などの数値がわかる「AMH」という検査
個人差があるという、卵巣の能力。自分は一体何歳相当なの? 2012年、NHKスペシャルで「産みたいのに 産めない〜卵子老化の衝撃〜」という特集が放映されてから、測定を希望する女性が急増しているAMHという検査があります。
AMHとは抗ミュラー管ホルモンの略で、自分に残された卵子の数を反映すると言われています。
各年齢での平均値を参考に、自分の「卵巣年齢」を推定するというものです。ただ卵子の質は分からないので「年齢」と言うのはいいすぎだと思うのですが。
今注目する女性が多いこの検査。私が勤務する病院でも測定を希望する患者さんは30代前半から40代後半まで幅広くおられます。
しかし、結果を知った後、どうするのかなぁとちょっと思います。卵子が思いのほかたくさん残されていることが分かったとしても、妊娠できる保証にはならないので、のんびりしていいわけではありません。逆に、年齢に比して少なければ、子作りを始めて出来にくければなるべく早めに不妊治療の門をたたくという目安にはなり得ると思います。
いずれにしても検査は目安でしかありませんが、情報の一つとして興味のある方は調べてみてもよいと思います。ただ、数値に振り回されないようにしてくださいね! それが意外に難しいのです。
※本記事内容は、掲載当時(2013年1月)の情報です。