仕事で人は成長する。だから、すべての女性が働きやすい社会に
未だ育児の大半を女性が担う日本。その固定概念が消えないためか、幼い子どもを抱える女性は働きづらい状況だ。「働き方」に関する考え方をアップデートしなければ、将来起きる社会の様々な変化に耐えられないのではないか――。
ヒラリー・クリントン氏が「日本の女性の労働力率が男性並みに上昇すれば、GDPは16%上昇する」と発表したのは2011年のこと。それから5年で女性の働きやすさは急激に加速している。
地方では、人材不足も相まって、在宅勤務も積極的に取り入れられている。
安部総理は、意思決定層に女性を採用する企業の割合を30%にすると目標も掲げた。経済産業省は、国家の成長戦略に女性の活躍は欠かせないとし、女性が活躍する場を積極的に作ろうとしている。
小池百合子氏が、東京五輪の建設費や豊洲新市場の“闇”を見える化し、正しいものに変えようとがんばっている姿を見ると、男性は調和を重んじるのに対し、女性は正義を重んじる傾向があるように思う。
男性は、気が弱いのか、良くも悪くも優しいというか優柔不断なのか、よくわからない見積りがきても、「とりあえず、長いものに巻かれておくか」と判断した結果が、豊洲新市場の地下空間を作ってしまったのだろうか。
明らかにおかしいと感じていても、いざその渦中にいると「どう考えてもおかしい。やめよう」と止めることが難しいのかもしれないが、小池都知事はやってみせた。これからが正念場だが、見事だと思う。
■日本に根づく古い習慣が男性を縛っている
頭角をあらわす女性が目立つようになったのは、時代の良い変化だろうけれど、日本には古い習慣が未だ色濃く残っている。
夫は社内接待に時間を費やし、情を育み、評価され、エラくなっていく。付き合いが悪ければ評価されないシステムだ。
僕の父は、バブルのど真ん中で広告代理店に勤めたあと起業し、家にはほとんど帰ってこなかった。バブル崩壊で悪い思いをたくさんした母の口癖は「いい大学を出て、安定した企業に勤めなさい。独立なんてするもんじゃないよ」というものだった。
そんな父との思い出といえば、オープンカーでよくドライブに出かけたこと。見知らぬボディコン女性が毎回助手席にいたから、僕は後部座席に立ったまま乗っていた。あれから30年近く経っているけれど、忘れられない奇妙な光景だ。
遅く帰った夫が妻に「遅いわね」と一言、嫌味っぽく言われたときに、「お前は誰の金で食ってると思ってるんだ。黙って家事してろ!」と怒鳴るシーンは昭和のドラマでよく見た。
この場合、夫は大体ロクなことをしていない。
昔、人気俳優が「不倫は文化」と言い放ち、バッシングされていたが、日本にはリアルにその文化が根づいているからだ。
さらには、漫画やゲームなど、日本の娯楽には世界最高峰の緻密さがある。
漫画やゲームなどは言わずもがなだが、男性向けサービスもハイクオリティである。
男性を誘惑するものはごまんとある。
■今こそ思考のアップデートが必要
先進国では夫が家事を手伝い、妻も仕事に出ることが一般的になっている。
対して日本では、とくに我々男性が思考をアップデートしなければ、少子高齢化など、これからの時代の変化に耐えられないのではないかと思う。
たとえば、仕事は家でもできる。
もちろん家事・育児も手伝える。
そうすれば妻の家事・育児の負担が減り、働きに出られるようになる。
夫婦で生活費を稼ぐほうが、世帯年収は当然多くなるだろう。
その結果、GDPは上がると言われているのだから、できることならそうしたほうがいいと思う。
僕は、仕事が自分自身を成長させたと考えているし、うちの会社で働く男性も女性も日々明らかな成長を見せている。
父や母が仕事と育児に励みながら、人として成長していくことは、彼らの子どもにも良い影響を与えることになるだろう。
安倍政権が取り組んでいるように、今の日本には女性の力が必要だ。
妊娠中・育児中の女性はもちろん、すべての女性が積極的に働ける環境づくりは、社会で生きる誰もが今改めて考えないといけない最重要事項だと思う。