もし夫が「俺、政治家になる」と言ったら、どうする?
7月31日に投開票が行われる東京都知事選挙。石田純一さんの出馬騒動、そして妻の理子さんのリアクションを思い出しながら、雑食系恋愛ジャーナリストのおおしまりえさんが「もし、夫が選挙に出ると言い出したら……」そんな妄想を膨らませながら、改めて選挙と政治家の妻について考えます。
今年の夏は選挙が熱い。というのは個人的な印象だけど、参議院選挙があったり、満18歳以上から選挙権が与えられたり、今月末には東京都知事選挙も行われる。昔ほどうるさくなくなったが、外出すれば選挙カーや街頭演説に出くわすことも多い。
そんな中、今回の都知事選では、タレントの石田純一さんが出馬するだかしないだかで話題になっていた。突然のニュースだったから素人ながら驚いたけれど、そのとき一番気になったのは、妻である東尾理子さんの心情だ。
石田さんを通して聞こえてくる声は基本的に「心配」という感じが伺えたが、そもそも夫が突然「俺、選挙に出る!」なんて言い出した場合、妻や彼女、ある程度の身内側の人間としては、どうしたらいいものか。そもそも華やかなイメージのある“議員の妻”だけど、よくよく考え直してみたら、あくまでもそのイメージは総理大臣や有名議員の妻のイメージから来ているもの。
二世でもなんでもない一般市民の夫がもし、選挙に出て政治家を目指すとなったら、一般市民の妻はどうしたらいいのか。そしてどんな素養が必要なのか、ミーハーな好奇心がムクムクと立ち上がってくる。
■うわ、内助の功ってかなり大変そう……
仮にパートナーが議員になったら、私の「雑食系恋愛ジャーナリスト」というイロモノ的肩書きは、非常に厄介な存在になる気もするが、とりあえずそこを忘れてイチから考えてみようじゃないか。
そもそも議員の妻というのは忙しいそうだが、どんな仕事があるのだろう。ここは経験者に……と思ったが、残念ながら政治にまったくご縁のない私は、いろいろなところから情報をかき集めてみた。
すると市議なのか国会議員なのか、また政党によっても大変さは異なる印象を受けるが、基本的には内助の功は必須。
1つは事務的な内助の功が必要だと書かれている。HPの更新やチラシ作成、ポスティングに始まり、経理や郵便物の管理なども行う場合があるんだそうだ……って、思っていた以上に地味な仕事じゃないですか!
「一応 HTMLの知識はあるし、グラフィックソフトも扱える。簿記も持ってる。じゃあこの辺のカバーはできるな」
なーんて、バックオフィス業務は大嫌いなくせに、かなりゆるめに OK判定を出し妄想を続けていく。
そしてもう1つ大切なのは、挨拶周りなど地盤固めである。そもそも区議会議員の場合は、出馬する選挙区に住み(必須ではないが地盤を固めるため住んでいる人が大多数らしい)、地域コミュニティを築くよう努めなければいけない。ご近所付き合いがちょっと苦手で、マンションの更新ごとに東京中をフラフラしている私には、とても不安になる話である。
でも、ぼんやりと想像していた “議員の妻”にも、支える力と人を引き込む力が必要ということがわかり、なんとなーく具体像が見えてきた気がしてくる。
■落選したらそのまま失業者になる
もしも……な妄想が落ち着いてきたところで、次に気になるのは「落選」である。当選する人がいれば当然落選する人もいるわけで、落選した人というのはその後どんな生活を送るものなのだろうか。そのお財布事情はどうなっているのだろうか。
あまり触れてはいけないゾーンな気もするが、もし夫が一大決心をして出馬したら、それなりのリスクヘッジを図るのが妻の務めであるからして、またしても調べていくと、「落選は失業と同じ」なんて文章が目に入る。
「し、失業!?」
一瞬ちびりそうになる。会社員で出馬する場合、退職して政治活動に専念することになるから、落選したらそのまま失業者になるということ、らしい。
もともと会社経営者や自営業者であれば、落選後は元の仕事に戻るか政治活動をしながら事業を継続させることも可能なので、この場合は失業とはいえない。ただ、落選後については党や講演会の人脈が面倒を見てくれる場合もあるらしく、ケースバイケースのようだ。
突然夫が「俺、出馬するから!」と言って、その後「やっぱり落選しちまった! これから二人でまたがんばろう」となった場合、私は微笑みながら彼を迎えてあげられるだろうか。
「自分の意思で財布も私も振り回しといて、いい加減にしろ!」
なんてキレかねない。ああ、なんて器が小さいんだろう。
「政治家は高い志がないと目指すメリットがない」という話をどこかで聞いたことがあるが、金銭的リスクや身内の協力(説得)などを必要とするぶん、覚悟と高い志が必要ということが、妄想の先にわかったことだ。
しこたま知らない世界を覗き見た気分になったけど、一応改めて言っておくが、私が議員の妻になる予定はない。そもそも誰かの妻ですらない。
政策を熟知する前に、議員の妻になる方法を調べ上げている女は、1番きっとその素養がないということだけは、間違いなく言えそうだ。
おおしまりえ
雑食系恋愛ジャーナリスト・イラストレーター
10代より水商売やプロ雀士など人気商売に身を投じ、のべ1万人の男性を接客。20代で結婚と離婚を経験後、現在鋭い観察眼と、男女のコミュニケーションの違いを研究し、各種エッセイを執筆中。
ブログ:http://oshimarie.com
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