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未来の自分のために、今どんな選択をするべきか?

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20代の女性アナウンサーというのは、若い独身女であることに価値がある。 だから、賢い女たちは婚期を慎重にはかる。結婚するならそれが自分の価値を高める大きな梃にならなければならない。「女子アナ」としての価値の下落を補ってあまりある付加価値が期待できる相手に狙いを定めなくてはならないので、照準を合わせるのにたっぷり時間をかけるのだ。

未来の自分のために、今どんな選択をするべきか?

 20代の女性アナウンサーというのは、若い独身女であることに価値がある。 だから、賢い女たちは婚期を慎重にはかる。結婚するならそれが自分の価値を高める大きな梃にならなければならない。「女子アナ」としての価値の下落を補ってあまりある付加価値が期待できる相手に狙いを定めなくてはならないので、照準を合わせるのにたっぷり時間をかけるのだ。

 しかしもともと独身女子としての価値がそれほど高くない、つまり愛され女子アナとしての人気がなく、高嶺の花的な希少価値を持たなかった私には、そのような打算は必要なかった。普段は狙われもしないのに、たまたま話題の少ない週に写真週刊誌が暇ネタとして事故的に私たちカップルを撮ってしまって、会社に怒られたらどうしよう(でも、どうせ私なんて狙われちゃいないわ、かえって良かった。けど、カメラを気にしてデートする人気者が、確かにちょっと眩しい……)などという屈折した心配をするのも面倒くさかった。結果として当時のアナウンサーとしては早めの28歳での結婚となったのだが、たまたま珍しく同期の女性二人が先に結婚していたので「じゃ私も」と安心して踏み切れたのもあったと思う。

 動機は、きわめて単純。結婚したことがなかったから、してみたかった。結婚という手続き、具体的なその作業を体験したかったということに尽きる。したことないから面白そう、という理由でその後30歳で妊娠・出産もするのだが、確かにどちらも考えに考えていたら踏み切れなかったことかも知れない。

 結果、どうだったか。して良かった。面白かった。思っていたのとは違った。楽しいことも辛いこともあったけど、思った通りのことは一つもなかった。だからもし、結婚していなくて子どもを産んでいなくても、同じように考えていたと思う。思っていたのと違った。思いがけず、これで良かったと。

 未来の自分なんてそんなもので、今どんなに心配してやっても、結局これで良かったんです、などと平気で言う。だから、将来の幸せのために今何かを犠牲にしても報われない。未来の自分は、恩知らずなのだ。

 それより、今自分にとって価値あることをすればいい。好奇心でも勢いでも構わない。結果どうなったって、どの道「これで良かった」と言い張るようにできているのだから。これが、17年前の姉の「結婚はね、勢いよ。若さの勢いがないと出来ないわ」というアドバイスに対する私の答えだ。案外、従順な妹だったのである。

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小島 慶子

タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族と暮らすオーストラリアと仕事のある日本を往復する生活。小説『わたしの神様』が文庫化。3人の働く女たち。人気者も、デキる女も、幸せママも、女であることすら、目指せば全部しんどくなる...

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