「子どもにとらわれすぎるママになるのが怖い」【子どものこと、どう考える?座談会・後編】
https://p-dress.jp/articles/1795子どもを持つ人、持たない人。出産後も働き続ける人、以前のような働き方をやめた人。いまはそれぞれ異なる人生を送る女性3人に話を伺う座談会、後編をお届けします。
子どもを持つ人、持たない人。出産後も働き続ける人、以前のような働き方をやめた人。どんなことがきっかけで、その“選択”をしたのか。座談会・中編をお届けします。
B:もともと自分が子どもをほしくてつくったわけじゃないということもあって、妊婦が受けるいろいろなダメージを納得できなかったんですよね。妊娠中に電車で席を譲ってもらえなかったことも多かったし、切迫早産になりかけていたのでゆっくり歩いていたら、人からぶつかられたこともあったし。わざと妊婦にぶつかる人は多くないと思いますので、おそらく気づいていないんでしょうが、妊娠中のお腹の出る出ないも個人差があって、出産間近になっても「妊婦だ」ってはっきりわからない人もいるんですよ。だからこそ、「妊婦に優しくしよう」ではなく、まわりの人みんなに対して寛大な心を持ってほしいなと思います。だって、外からの見た目だけでは、誰がどんな持病や事情を持っているかなんてわからないですし。
A:私は妊娠、出産、育児、どれもイライラしたことないですね。それよりも仕事が合っていなかったのか、会社員だったときがイヤすぎて。仕事を辞められたし、こんな天国ないって思っちゃいます。
B:私の場合、つわりがひどすぎて、旦那に対して「こんなにつらいのは誰のせいだと思ってんだ! アンタが子どもほしいって言ったからだろ!」という怒りがありました。
A:旦那さんにも当たったの?
B:ものすごい言ってましたね。仕事して帰ってきたら、私に当たり散らされるという(笑)。本当につらかったときは、ほぼ何も食べられなくて、1ヶ月で10kg痩せたんです。会社に行こうとしても、吐き気がひどくて電車に乗れなくて。Aさんはつわりはありましたか?
A:私は少なかったのかなあ。食べないと気持ち悪い“食べつわり”だったけど、仕事よりマシだという思いのほうが強かったですね。私は6時に会社上がって合コンに行くのが楽しみで、会社は完全に腰掛けだんたんです。会議中にもひとりどこかに行ってしまったり、人の顔色を窺うのが苦手だったり。たぶん集団行動が苦手なんですね。
C:会社に合わせきっていないから、それほど苦痛じゃなさそうなイメージですけど、実際は違うんですね。「私はこれだけ働いているのに、なんであの人自由にやってるんだろう」と思っている人のほうがストレス多くないですか?
A:それはあまり感じなかったですね。それよりとにかく会社がイヤで(笑)。毎日のように上司から怒られていたんですよ。
C:逆に結婚して子どもを産むというステージに行けば、そこから解放されると思っていた?
A:それが一番大きかったですね。これでやっと仕事をしなくても認められる「主婦」という肩書ができる!と。
B:旦那さんは合コンで見つけたんですよね。
A:10年前の合コンで。それまでは1日3件ハシゴとかして、5000回くらい合コンしてその中で頂点の人が旦那さんなんです。
C:すごいですね! 今も旦那さんを好きなんですか。
A:大好きです。なんでかわからないけど。セックスレスもなったことがないんです。
C:それはすごくないですか。
A:でもだからこそ逆に、私はワーキングママを尊敬しているんです。昼間は人の顔色を伺って、夜はやっぱり子どもの相手をしなくちゃいけない。本当にすごい、と思っています。
B:うちは夫が夜家にいて、私は毎日のように飲みに行っているので、家に着いたら子どもは寝てます。日付が変わってから帰宅する日が続いたら、先週末ついに夫から怒られました(笑)。
――みなさんは20代前半の学校を卒業したときなど人生の節目に、子どもについて考えたことはありますか?
B:学生の頃は子どもを持つ気がなかったのはもちろん、結婚する気もなかったですね。高校時代の同級生たちが私の今の状況を知ると驚きます。おふたりは子どもほしいなって思ってました?
C:いや特には。それに今は仕事が楽しいから、このタイミングでは産みたくないなと。何より今の仕事を始めてから日が浅く、ようやく軌道に乗り始めたところなのに妊娠してしまったら、さっきのBさんじゃないけどキャリアが途切れてしまうんじゃないかな。なにより今は子どもを産むよりも、仕事への興味のほうが大きいんですよね。
B:Cさんの言うように、出産で何かが止まるって、すごく怖いなと思っていました。私の場合、今の会社に入社2年目で、ちょうど仕事が面白くなってきたところで妊娠したんですね。その結果、無理はできないので、やりたかった仕事を結構断ったんです。これをやっておけば自分のキャリアにプラスになるのに、ということができない。その焦りもあって、病室にパソコンを持ち込んだり、出産直後に打ち合わせを入れたりするくらい切れ目なく仕事していました。
――もしCさんがこの1年以内に妊娠が発覚したらどう感じると思いますか?
C:とりあえず喜ぶと思います。というのも、子どもがいないということに引け目を感じていて、付き合いの長い友達が子どもを産んだと聞くと2~3時間くらい落ち込んでしまうんですよね。なぜかはわからないのですが、私の中のコンプレックスのひとつになってるんです。だからこそ、できたらできたで喜ぶんだろうなという気がしますね。
B:キャリアのこととか考えない?
C:そこはすっ飛ばして考えちゃってて、できたらできたで何とかなるかなと。たぶん突き詰めたら……。
B:何もできなくなりますよね。
C:そう。働く女性は全員子どもを産めなくなってしまうことになる気がします。ただ、今の世の中的に子どもを産むこと=素晴らしいこと、となっているから、仕事を死に物狂いでやるよりは周りから祝福されるだろうし、自分のコンプレックスも解消されるかもしれないという期待はあります。
A:じゃあ、妊娠したら仕事を辞めるってことですか?
C:うん、たぶん辞める。子どもがいない今でも仕事でつらいときは、「もう子ども産んで、仕事辞めたい」って思っちゃいます。
A:私もよく思ってました(笑)。
C:そう思うときがあるってことは、子どもを産むことが逃げ道になってるんですよね。
A:産めば辞められるし、うまくいかなくてもしょうがないって思えるし。
C:そう、それ。でもそう考えると、女の人っていろいろ選択肢があるので、男性から見るとうらやましいのかもしれないと思いますよね。仕事がんばってもいいし、両立してもいいし、専業主婦やってもいいし。
C:私、小中高一貫の女子高だったので、みんな頭が良くて良妻賢母。いいところに就職して、同じステイタスの旦那さまを見つけて、34歳くらいまでには子どもを産んで、復職もしている人ばかりなんですよね。参考資料が偏りすぎてる。もっと暗い話も聞かせてほしいのに、妊娠出産って崇高なものになっちゃっている。
――マイナスの感情を出しちゃいけないという風潮はありますよね。出産したおふたりは産後うつなどありましたか?
A:私は臨月まで働いたけど、出産したら、もう働かなくてもいい! と希望があったから、気持ちは晴れやかでしたね。
B:私も産後うつにはなってないかな。お腹から子どもを出して、「やっと別々の個体に!」という解放感が大きかったです(笑)。産後すぐも勝手に仕事していたんですけど、通常時に比べるとあのときはすごい暇だったんですよね。だからあんまり追い詰められなかったのかも。
A:育児も暇ですよ! マジで暇なので、たまに個人で仕事も受けているんですね。ほかの専業主婦の人って、空いた時間を何して過ごしているのかなと思うことがあります。
B:まぁ、家事も育児も、細かいところを完璧にしようとすれば、いくらでもやることありますもんね……。私はまったくできてないけど(笑)。
C:私は出産体験漫画が好きで読みまくってるんですが、はるな檸檬さんの『れもん、うむもん!』には出産後は忙しいから、退院したら大変だよって書いてありましたよ。
A:たぶん人によって違うんですよね。産前していた仕事がラクだった人はつらいって聞きますけど、元いた職場が結構ブラックだったりすると、育児なんて別になんでもないですよ。私なんて暇すぎて毎日児童館を4軒ハシゴしてるんですよ。
B:すごい。ちなみに、母乳100%ですか?
A:母乳100%です。
B:うちはほぼミルクだったので、さらに暇だったんですよね。
A:そう? ミルク作る方が大変じゃない? 母乳は出すだけだから。今も1時間おきに起きておっぱいあげてるけど、仕事をしていたときは毎日オールで合コン言っていたので、今のほうが二日酔いもなくて、体はラクだなって思うんです。
B:いやいや母乳のほうが大変だと思いますよ。ミルクは腹持ちがいいので、夜中長時間起きませんし。母乳だと、自分の食べ物にも気をつかいますしね。
C:子どものキャラクターによって変わります?
A:そんなに変わらないですよね、たぶん。よほど泣く子じゃない限り。
B:人によって、それぞれ悩みがあるでしょうけどね。
A:ただ自分のキャパシティが小さい人は大変そう。若くしてでき婚とかした子は、旦那さんに文句言いながらうつ病っぽくなっていたり。
B:まわりに相談できる人がいない場合は、ネットで同じ悩みを持つ人のブログを読むだけでも心が軽くなりますよ。育児で困ったことがあったときにも、すぐにネットで調べられるから。子どものことでも、これまで培った問題解決能力が活かせますよね。
A:だから仕事ができる人は、子育てできますよ。絶対できる。
C:ポジティブな情報が入ってきた。明るい気持ちになりました。
(後編につづく)
「子どもにとらわれすぎるママになるのが怖い」【子どものこと、どう考える?座談会・後編】
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構成=ミノシマタカコ
イラスト素材: Freepikによるデザイン
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